目標:撤収

庭にハニワ

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姉妹は。

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実はこっそりやらかしてるくさい姉妹。
っつーか、姉。
周囲から向けられた冷たい目に耐えきれず、逃げ出した。
……そっち方面には根性無しだったよーだ。



リッカさんのやらかしについての質問を受けたので。
俺らは軽く頷いて答えた。

「残念ながら、事実ですよ~」
「あああ……またぶり返すー」

リッカさんは、耳まで真っ赤になっている。
そんなリッカさんを見て、こそっとカワイイとか言ってるおっさんども。
……聞こえてるからな?
後でナニかするかも知れないし、ナニもしないかも知れない……。

「……ナニかって、なんだよ!」
「さて?」

などと、気分転換におっさんどもをからかって遊んでいたら、話はサクサク進んでいて。
宿にわいたのは、クモじゃなかった……ってトコまで話していた。

「えーっと……。ちょっと、待って下さい?」

話の途中でおキツネ様は。

「魔法は、実際に発動した?」

首をかしげて言った。
もふもふのキツネ尻尾がひょこ、と動いた。

リッカさんは耳をふさいでいる。
何も聞こえない、と、態度で示している。

「やらかしたっスよね~」
「やらかしたねぇ」
「まあすぐに潰したから、実際に被害は出なかったけど」
「……つぶした?」

おキツネ様をはじめとして、俺ら4人以外が全員揃って小首をかしげた。
……獣人の人はともかく、人族や魔人族のおっさんが、小首かしげても可愛くはない。
鱗系の人は、以外とカワイイ。
……って、何の話だ。

まあとにかく。
いちいち説明するのも面倒なんで、さっくりと言うと。

予想外にデカいクモ見てパニクったリッカさんが、燃やしてしまえ! と発動した火属性魔法を、危ないから握り潰した。

「……え。誰が」

はい。

と、素直に手を挙げた俺。
俺を指差すスズとミヤさん。

「……私、そのあたりの記憶、曖昧なのよねぇ」

聞こえてんじゃねぇか、リッカさん。
追及はしない。
リッカさん本人、やらかした自覚と共に気をつけるつもりらしいし。
……カニ(森歩き)の時に、はっちゃけた気はするが……これはナイショのことだし。

「あ」

おキツネ様、何かに気づく。
多分、クモ、と言いはってるモノについてだろ?

「マクリール国との国境沿いの街のギルドに、森妖虫が持ち込まれたことがありましたね。……あれ、君達ですか……?」

はい、その通りです。
エ○リアンこと森妖虫。
何故か街中の宿に発生したんだよな。
それをうっかり見つけたのが、リッカさんだ。
……早期発見、早期解決で良かったんじゃね?



いろんな意味でギルド員が青冷めた頃。
ギルドの出入り口を物陰から見ている大小の影。
あの逃げ出した肉食系姉妹だ。
姉は爪を噛みながらギルドの方を睨んでいる。
妹はゆらゆらと身体を揺らしている。
相当退屈してるらしい。

冷たい視線に耐えきれず、とっとと逃げ出した姉妹がここに居る理由……まあ、だいたい想像通りだ。

姉はぶつぶつと不穏なことを呟いている。

「……わたしの何が悪いのよ。稼ぎの良い男を捕まえて、一緒になろうとするのは女として当然のことじゃないの。それが良い男だったら尚更早く捕まえなきゃ……」

完全に自分の都合しか考えていない。
妹の方は。

「ねぇ、お姉ちゃーん……。あのお兄さんいないんなら、もう帰ろーよー……」

完全にアキている。
10歳児なんてそんなモンだ。

「だいたいあの子も……ちょっとあの人と同じチームだからって、ベタベタして……。友達ならわたしに協力してくれるのが当然じゃないの? ……使えないったら……」

自分に都合の良い妄想に、片足突っ込みかけている姉。
いつからリッカと友人関係になったのだろうか。
リッカ本人が聞いたら全否定するだろう。



無意味に時は流れて。

「……! 出てきた! エイミ、行くわよ!」
「……んにゅ~……」

妹は居眠りしていた。
……寝かせてやれよ。
ってゆーか、もう帰れよ。

「既成事実さえ作っちゃえば、もうこっちのモノよね。エイミは……まあ、服脱がして寝かせておけばいいか……」

10歳女児にナニをやらす気か。
ロクなことじゃないコトは確かだ。







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