目標:撤収

庭にハニワ

文字の大きさ
上 下
191 / 374

素晴らしい?

しおりを挟む
急に湧いて出たのは、のじゃロリババアの家に仕えているという、執事長のアレキサンダーさん。
偉そうに語っていた上から目線のじーさんは、執事見習いのレンフィールド、とか。
ここにきて初めて、上からじーさんの名前判明。
そして……。

「執事のお約束、セバスチャンじゃないんだな、名前」
「ウォルターでもないんだね……」

なんとなく、がっかり。

しかしさ……のじゃロリババアって、いいトコのお嬢だったんだな……。
だからか。
あんな人を人とも思わないよーなこと、平然とやらかしたのは。

まあそれよりもさ。

「……レンフィールドって名前だったんだね、あのじーさん。彼が言うまで知らなかったね」
「名乗りもしないで1人滾ってましたからねー。……ブ○ム・ストーカーの小説の登場人物と同名か。……確かアレも小者の名前だったよーな」
「ドラキュラのパシリにされた人間の名前だったよね……」

俺とミヤさんが、そんなことをコソコソっと話していたら、思いのほか低い声でアレキサンダーさんが。

「……まさか、アレは名乗りもせずに無礼を働いたとか……?」

笑顔を浮かべてはいるが、その目は笑っていない。
そんなアレキサンダーさんに、残念なお知らせです。

「わたくしのことは、どうかアレックスとお呼び下さい」

そう言ったあと、微かに眉間のあたりにシワを寄せて。

「……なんでしょう……イヤな予感しかしないのですが、お伺い致します。アレは何を仕出かしたのでしょうか?」

アレックスさんの笑顔が微妙にひきつっている。

が、気にせず行こう。

正直あのじーさん、何をしに来たのか皆目分かんなかった。

きっぱりと言いきられて、一瞬呆けたアレックスさん。
ミヤさんが畳み掛ける。

「人族に憑依して、わざわざここまでやって来て、ウチの子達やここのギルドの副支部長に難癖付けてね。副支部長から1発──いや、2発か?──食らったあと、憑依を解除して出てきてね……」
「あとは名乗りもしないで、ただひたすらに自分の理想の少女像を滔々と語っていただけだな」

ケンカ越しで来たけど、大したことなかったしな。
実際に、俺らに何か仕掛けて来ようってんなら、相場の3倍返しにしただけだろーし。
……このあたりのケンカの相場、知らんけど、さ。

「そうですか……。それは大変なご迷惑を……」

コメカミをヒクつかせながら、アレックスさんは何かを期待するかのよーに、俺らに向かって言った。

「実際のところ、アレをどうなさるおつもりでしたか?」

……ゑ、なんで?

「参考にさせて頂こうかと」

……コメカミの血管が浮いている。
どーやら、アレックスさんはヤる気らしい。
ミヤさんは楽しそーに俺に見た。
……俺か?
まあ、随分と少女に執着してるみたいだからな。
そこらへんを突こうかな、と。

「ほう……。具体的にはどうなさいます?」

アレックスさん……。
なんか、ワクワクしてないか?
まあいいけど。

具体的には、な。

「暗黒魔法で、あのじーさんの中身を作り変えてやろーかな、と。で、心は少女を求めるけど、身体は熟女を求めるってのと。少女萌えから熟女萌えに変化したけど理由が分からないっての、どっちがイヤだと思う?」

あと思考と発言内容が真逆になるとか。
少女を褒め称えているつもりで、思いっ切り貶してるとか、熟女を貶めるつもりで賛美してるとか。
当然、自分が何言ってんのかは、きっちり自覚有りそして把握済みな。

「ちなみにこの場合の熟女って、外見が50歳以上な。いくら中身が200歳越えてても、見た目が小娘だったら身体が拒否る、とかどーよ? 本人はすっげ~イヤだと思ってても、身体は熟女とか……老女とかにのみ反応するってのは?」
「……君、楽しそうだね。……だからドSって言うんだよ。本当に、父親そっくりになってきて……」

うるさいですよ、ミヤさん。
アレほど非道くはない、多分。
……多分、な?

ちょっと目が泳いでる俺に、アレックスさんが、つかつかと近寄ってきて……。
がしっと両手を掴まれて。

「素晴らしい!」

ぶんぶんと、そのまま両手を振られた。

シェイクハンド?

なんで?








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】赤獅子の海賊〜クマ耳の小人種族となって異世界の海上に召喚されたら、鬼つよの海賊が拾ってくれたのでちやほやされながら使命果たします〜

るあか
ファンタジー
 日本からの召喚者ミオがクマ耳の小人種族となって相棒のクマのぬいぐるみと共に異世界ヴァシアスへ転移。  落ちた場所は海賊船。  自分は小さくなって頭に耳が生えてるし一緒に来たぬいぐるみは動くし喋るし……挙句に自分は変な魔力を持ってる、と。  海賊船レーヴェ号の乗組員は4名。  船長のクロノ、双子のケヴィン、チャド。  そして心も身体もおじさんのエルヴィス。  実はめっちゃ強い?彼らの過去は一体……。  ミオは4人で善良にクエストや魔物ハント活動をしていた愉快な海賊の一員となって、自分の召喚者としての使命と船長のルーツの謎に迫る。  仲間との絆を描く、剣と魔法の冒険ファンタジー。  ※逆ハー要素があります。皆の愛はミオに集中します。ちやほやされます。  ※たまに血の表現があります。ご注意ください。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

傭兵ヴァルターと月影の君~俺が領主とか本気かよ?!~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 船旅を終えて港町オリネアに辿り着いた旅の傭兵ヴァルターは、幼いセイラン国の姫巫女アヤメと出会い、彼女によってキュステンブルク王国を救う騒動に巻き込まれて行く。  アヤメにはとんでもない秘密があり、それによってヴァルターは傭兵から領主へと転身する。  一見すると万夫不当で粗暴な男、だがその実、知略に富んだヴァルターの成り上がり物語。

排泄時に幼児退行しちゃう系便秘彼氏

mm
ファンタジー
便秘の彼氏(瞬)をもつ私(紗歩)が彼氏の排泄を手伝う話。 排泄表現多数あり R15

伝説のドラゴン 世界をかけた戦い~記憶がない俺が天龍から授かった魔法で無双になる?!~

杏子
ファンタジー
俺はふと目が覚めると、崖の下に寝転がっていた。 頭が割れるように痛い。 『いって~······あれ?』  声が出ない?!! 『それよりも······俺は·········誰?』  記憶がなかった。  振り返るとレインボードラゴン〈天龍〉が俺の下敷きになっていたようで気を失っている。 『こいつのおかげで助かったのか?』  レインボードラゴンにレイと名付け、狼の霊獣フェンリルも仲間になり、旅をする。  俺が話せないのは誰かが魔法をかけたせいなのがわかった。 記憶は?  何も分からないまま、なぜか魔法が使えるようになり、色々な仲間が増えて、最強(無双)な魔法使いへと成長し、世界を救う物語です。

異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ) 安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると めちゃめちゃ強かった! 気軽に読めるので、暇つぶしに是非! 涙あり、笑いあり シリアスなおとぼけ冒険譚! 異世界ラブ冒険ファンタジー!

魔女の弾く鎮魂曲

結城芙由奈 
ファンタジー
【魔女フィーネが姿を消して300年…その名は今も語り継がれる】 かつて親族と愛する婚約者に裏切られ、恐ろしい魔女と化したフィーネ。彼女はこの上ないほどの残虐非道な方法で城中の人間を殺害し…城を燃やし、その痕跡は何も残されてはいない。しかし今尚、血に塗れたアドラー城跡地は呪われた場所として人々に恐れられ、300年を隔てた今も…語り継がれている―。 『闇に捕らわれたアドラーの魔女』の続編です ※他サイトでも投稿中 ※10話以内の短編です

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

処理中です...