167 / 374
なんでリッカさん?
しおりを挟む
さらわれたリッカさん。
銀竜が後を追って行って……。
傷だらけの女の子を抱えて戻ってきた。
「銀さん! リッカさんは──」
スズが叫ぶ中、銀竜は抱えていた女の子をギルド職員に任せると、俺のところへ。
「申し訳ありません……」
深く頭を下げた。
いや、それはいいから、リッカさんは?
「手の者が追っております。──どのあたりまで聞いておられますか?」
手の者……あ、元部下か。
諜報機関のヤツらが俺らにくっついてたんだっけな、そーいや。
まあ、地味に役に立ってるからいいか。
「子供を盾にして、リッカ君を連れて行こうとしてるところまでだね。僕らが聞いたのは」
ミヤさんが答えた。
スズはもう……ぐちゃぐちゃだ。
鷲掴まれて爪が食い込んで痛いので、リーランさんに任せた。
「では、その先は自分が」
リッカさんは知り合いの子供を盾にされて、仕方なくソイツらについて行った、と。
用意されていた馬車に乗せられて、マドゥーニーを出てしばらく街道を走った後、分かれ道で細い、山の方へと続く道を進み──。
「しばらく走っておりましたが、ものすごい金切り声と共に、先ほどの子供が走行中の馬車から放り出されたのです。ついて来ていた元部下に馬車の後を追わせ、自分は子供を。ご覧の有り様ですので自分にはいかんともしがたく。とりあえず、戻った次第です」
おー、ご苦労。
走行中の馬車から女の子放り出すとか。
……ひでーな。
そりゃボロボロにもなるわ。
「それだけじゃないわね」
おやギルド長、いつの間に?
「さっきからいたわよ。スズ君が大騒ぎしてたから、何事かと思って出てきたのよ」
ギルド長は、職員に手当てされている女の子の様子を見て。
「放り出された時のケガだけじゃないわね。殴る蹴る、とまではいかなくても、散々叩かれたりつねられたりしてるわ、この子。それもごくごく最近ね」
うわあ。
すると、ギルド職員の1人が。
「アタシ、昨日この子の屋台に行ったけど、そんなおかしな様子はなかったわ。お姉さんと少ししゃべったけど、普段通りだったと思うわ」
いつも受付にいるおねーさんの証言。
ってことは……。
子供にそんなことするような奴らにリッカさんはさらわれた?
……でも……なんで?
「知り合い、と言うか顔見知りの子供さらって……なんて用意周到だよね……。リッカ君がピンポイントで狙われた……ってことかな?」
ミヤさんの目は笑ってない。
男前が静かに怒るとコワいよな。
なんにも知らずにミヤさんの外見だけ見てポーっとしてる奴ら。
この人キレたらヤバいからな。
サメ狩りとクラーケン討伐の時は、まだまだ余裕だったんだからな。
ヘタに手ぇ出すと、ヤケドじゃ済まねーぞマジで。
それはさておくとして。
とりあえずは銀竜の元部下からの連絡待ちか?
……リッカさん本人から念話が来ないのは何でだ?
そんな余裕が無いってことか?
……今は待つしかないのか……。
イライラ×2……。
ムカムカ×2……。
苛立ちとムカつきが止まらない。
スズはリーランさんにくっついて、なんとか落ち着いている。
ミヤさんは周囲に八つ当たりしないように、目を閉じて身動き1つしない。
……そーしてると人形にしか見えないぞ。
あんたも持っていかれんなよ。
「……バカなことを考えてるんじゃないよ」
パチッと目を開けたミヤさんに怒られた。
と、いうよりたしなめられた。
……うん、そんなバカなこと考えてる場合じゃないって分かってる。
どーしても攻撃的になる気分を、なんとかゴマかしてんだよ。
正月の煮豆みたく、グツグツ煮詰まってんだよ何かが。
ことと次第によっちゃ、犯人ども──最低3人は、殲滅だ。
少なくとも半殺しは確定。
半殺しって……半分にして殺す、って意味じゃないんだよな。
残念だ。
なんかすっげー残念だ。
銀竜が後を追って行って……。
傷だらけの女の子を抱えて戻ってきた。
「銀さん! リッカさんは──」
スズが叫ぶ中、銀竜は抱えていた女の子をギルド職員に任せると、俺のところへ。
「申し訳ありません……」
深く頭を下げた。
いや、それはいいから、リッカさんは?
「手の者が追っております。──どのあたりまで聞いておられますか?」
手の者……あ、元部下か。
諜報機関のヤツらが俺らにくっついてたんだっけな、そーいや。
まあ、地味に役に立ってるからいいか。
「子供を盾にして、リッカ君を連れて行こうとしてるところまでだね。僕らが聞いたのは」
ミヤさんが答えた。
スズはもう……ぐちゃぐちゃだ。
鷲掴まれて爪が食い込んで痛いので、リーランさんに任せた。
「では、その先は自分が」
リッカさんは知り合いの子供を盾にされて、仕方なくソイツらについて行った、と。
用意されていた馬車に乗せられて、マドゥーニーを出てしばらく街道を走った後、分かれ道で細い、山の方へと続く道を進み──。
「しばらく走っておりましたが、ものすごい金切り声と共に、先ほどの子供が走行中の馬車から放り出されたのです。ついて来ていた元部下に馬車の後を追わせ、自分は子供を。ご覧の有り様ですので自分にはいかんともしがたく。とりあえず、戻った次第です」
おー、ご苦労。
走行中の馬車から女の子放り出すとか。
……ひでーな。
そりゃボロボロにもなるわ。
「それだけじゃないわね」
おやギルド長、いつの間に?
「さっきからいたわよ。スズ君が大騒ぎしてたから、何事かと思って出てきたのよ」
ギルド長は、職員に手当てされている女の子の様子を見て。
「放り出された時のケガだけじゃないわね。殴る蹴る、とまではいかなくても、散々叩かれたりつねられたりしてるわ、この子。それもごくごく最近ね」
うわあ。
すると、ギルド職員の1人が。
「アタシ、昨日この子の屋台に行ったけど、そんなおかしな様子はなかったわ。お姉さんと少ししゃべったけど、普段通りだったと思うわ」
いつも受付にいるおねーさんの証言。
ってことは……。
子供にそんなことするような奴らにリッカさんはさらわれた?
……でも……なんで?
「知り合い、と言うか顔見知りの子供さらって……なんて用意周到だよね……。リッカ君がピンポイントで狙われた……ってことかな?」
ミヤさんの目は笑ってない。
男前が静かに怒るとコワいよな。
なんにも知らずにミヤさんの外見だけ見てポーっとしてる奴ら。
この人キレたらヤバいからな。
サメ狩りとクラーケン討伐の時は、まだまだ余裕だったんだからな。
ヘタに手ぇ出すと、ヤケドじゃ済まねーぞマジで。
それはさておくとして。
とりあえずは銀竜の元部下からの連絡待ちか?
……リッカさん本人から念話が来ないのは何でだ?
そんな余裕が無いってことか?
……今は待つしかないのか……。
イライラ×2……。
ムカムカ×2……。
苛立ちとムカつきが止まらない。
スズはリーランさんにくっついて、なんとか落ち着いている。
ミヤさんは周囲に八つ当たりしないように、目を閉じて身動き1つしない。
……そーしてると人形にしか見えないぞ。
あんたも持っていかれんなよ。
「……バカなことを考えてるんじゃないよ」
パチッと目を開けたミヤさんに怒られた。
と、いうよりたしなめられた。
……うん、そんなバカなこと考えてる場合じゃないって分かってる。
どーしても攻撃的になる気分を、なんとかゴマかしてんだよ。
正月の煮豆みたく、グツグツ煮詰まってんだよ何かが。
ことと次第によっちゃ、犯人ども──最低3人は、殲滅だ。
少なくとも半殺しは確定。
半殺しって……半分にして殺す、って意味じゃないんだよな。
残念だ。
なんかすっげー残念だ。
30
お気に入りに追加
574
あなたにおすすめの小説
隠された第四皇女
山田ランチ
ファンタジー
ギルベアト帝国。
帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。
皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。
ヒュー娼館の人々
ウィノラ(娼館で育った第四皇女)
アデリータ(女将、ウィノラの育ての親)
マイノ(アデリータの弟で護衛長)
ディアンヌ、ロラ(娼婦)
デルマ、イリーゼ(高級娼婦)
皇宮の人々
ライナー・フックス(公爵家嫡男)
バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人)
ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝)
ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長)
リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属)
オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟)
エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟)
セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃)
ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡)
幻の皇女(第四皇女、死産?)
アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補)
ロタリオ(ライナーの従者)
ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長)
レナード・ハーン(子爵令息)
リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女)
ローザ(リナの侍女、魔女)
※フェッチ
力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。
ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる