目標:撤収

庭にハニワ

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忘れた頃に、お役立ち。

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銀竜が起きて、なんとなくグダグダして。うっかり寝入って、起き出して。

ドアがノックされた。
銀竜がドアを開けると、年長組が立っていた。

「おはよう、って時間じゃ無いよ、もう。君達良く寝るね~…」

呆れた顔したミヤさんとリッカさん。

「…スズ君、まだ寝てるのね~」

リッカさんがスズの肩を突っついた。
寝返り打っただけだった。

…コイツ昼夜逆転するんじゃね?
爆睡にも程がある。
とりあえず、起こすか。

「スズ~。今シマネコが目の前を…」
「何っ!」

ガバッと起き上がった。
一発だな。
さすがネコ狂い。

「…なんだ…そんな簡単に一言で起きるのか…」

ミヤさん…何でそんなに残念そうなのか…。

時間的にはブランチだな。
まあとりあえず、メシにしようか。
なんだか無性に腹が減った。



ゆっくりと時間をかけて、5人でブランチ?を済ませた。
さて、今日この先どーする?
3日間は何にもしないでぼーっとするのも良いよな~。まあ銀竜が起きる前に言ってたことなんだが…改めて、確認。

「なんか絡まれそ~だから、ギルド行きたくないでござる」

…ござる?
急に何言ってんだスズ?

キョトンとしてたらリッカさんがうんうん頷いて。

「お約束よね~」

何の。

ミヤさんの方を見たら、苦笑いで済まされた。
…訳が分かってないの、俺と銀竜だけだった。
別にいいけど…。

とにかく。

「今日から丸3日、サボりってことで、OK?」
「「「OK」」」

ヒマ潰し用の無害な本と、初心者に毛が生えた程度の魔法使い用の教本(無難)はリビングに山積みにしておこう。
後は──。

「はーい」

リッカさんが手を挙げて、元気に言った。

「銀さん助けてくれたカーラさんに、お礼言いたいで~す。ムリなら何か粗品でも送りたいわ」

あ~。
日本人気質が出てきたか。
良いことだよ?
良いことだろ~けどさ…。

「…そのカーラさんと旦那さんの馴れ初めでも聞こう…ってことですか?」
「ぎくっ」

…何で口で言うかな…。
分かりやすいけどさ~。

まあ、その辺口出しはしないから、好きにすれば良いんじゃね?
ただし、他人に迷惑かけない方向で。
…でもまあ…銀竜が世話になったのは確かだし…。

あ。

付け届けに最適なモノが、山盛りあるじゃんか。

「リッカさんリッカさん。これどーです?」

酒の実(清酒・特上)を、ごろごろと5・6個転がした。

「これ加工して送ったら良いんじゃないですか?」

滅多に出回らないって言う特上品だし。
スズとコソコソやってた乾燥用の魔法陣使えるし?

「ありがとうコウ君!スズ君行くわよ、手伝って!」
「えぇ~…」

リッカさんは酒の実を異次元倉庫に入れると、スズの手を取り引っ張っていった。

…元気が一番、ってことかな…?

ミヤさんと銀竜と、顔を見合わせてため息一つ、肩をすくめた。



さて、2人が元気に出ていったので、今のうちに進めておきたいことがある。
あんたは俺と一蓮托生なんだから、ここに居て貰うぞミヤさん。
なに、悪い話じゃない。

「何をする気なのかな?」
「や、銀竜の顔の古傷、完全に消してやろうかな…と」

もしも女ギツネがうっかり生き延びてたりしてたら、またしつこく銀竜を狙ってくるかもしれないし?なんか妙な方向に固執してるみたいだから。
ちょっとした嫌がらせに。

「そう…。で、具体的にはどーする気なのかな?」
「せっかくあるモノは、使わないと」

“秘色”、光属性魔法の最上級の魔法書頼む。
…どうした?何か問題でも?
……光属性だけだとバランス悪いから、闇属性も一緒に契約した方が良い?
そうか…。んじゃ両方頼む。

目の前に、魔法書が二冊。
一冊は神々しく、もう一冊は禍々しく。

「へえ…『光の轍』と『暗闇の翼』ねえ…。また強力な魔法書だね」
「主様…何をなさるおつもりですか?」

何をなさるって…こーするんだよ。

二冊の魔法書の表紙を同時に開き、同時に契約を始めた。

あ、ヤバい──。
分かってたけど…。

一気になだれ込んできた、尋常じゃない知識量に意識が押し流されて──。

俺はそのまま気を失った、らしい。






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