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どこからわいた?
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本来王都の人獣専門の高級娼館で、きっちり管理されているハズの…ヒトウサギがそこにいる。
白い髪、金の瞳、白い肌。
頭には白いウサギ耳がニョッキリと伸びている。
ムダに乳がデカいな…。正直バランス悪いんじゃないか?片方の乳が顔よりデカいってさぁ…。マンガやアニメじゃあるまいし。
どーしてもウサギ耳と乳に目が行くけど、顔もまあカワイイ系かな?10代後半から20代前半くらいの娘さんだ。
そんな娘がスズの左腕を胸に抱え込んでいる。
…羨ましがってるおっさんども。
薄い──夏場の女子の──なんつったかな?あの薄い生地のヒラヒラしたワンピースみたいなの…まあ何でもいーけど。
とにかく薄っぺらい服でムダに色気振りまいているけど、こっちの世界でそんなナリしてるのは…。
「なんだって王都の高級娼館にしかいないハズの人獣がここにいるんだよ…」
支部長が呻くように言った。
さっきの厄ネタ2連発──のじゃロリババアと勇者(笑)ども──の時よりは人数の減ったフロアの真ん中。
ウンザリした顔のスズが。
「コウ~…助けてくれ…」
…お前どこからそんなモン拾って来たの?
拾うとかヒドいですう~、とかナンとかヒトウサギが鳴いているが、知らん。
「気分転換に、リッカさんと屋台ひやかしてたら、いつの間にか張り付いてきて──」
「自分の食べた分まで、私たちに押しつけようとしたのよ。女のイヤな部分が全面に出ているわ」
…言い切ったよリッカさん…。
「なあスズよ。じゃあお前らの後ろでどーしたモンか…って顔してるおっさんは──」
人数は減ったけど、まだフロアに残っていたおっさんども、カウンター内外のギルド職員。俺らと一緒に降りてきたギルド上層部。
全員の視線を向けられたおっさんは。
「あ、スイマセン。このウサギ娘の食べた分の代金を、何とかしてもらえないかと…。こっちの2人連れは無関係だって言うし、このウサギ娘は話にならないし、どーしたモンだか…」
通りすがりの兵隊さんに言えばいーのに。
「タイミング悪かったのか、1人も会わなかったんだよ…詰め所に行くよりギルドに戻った方が早かった」
ものスゴ~くイヤそうに、ヒトウサギを剥がそうとしているスズ。
離さない!とばかりにガッシリと腕を抱え込むヒトウサギ。
リッカさんが反対側で、目をつり上げている。
…これ、何も知らずにハタから見れば、ただの痴話ゲンカじゃね?
なんとなく生温かい気分になりながらも、まあ言っとこーかな。
「スズよ」
「なに」
なんか必死だな。
「元いた所に返してきなさい」
ウチでは飼えません。
「…お母さん…」
ミヤさんが笑いをこらえながら…ってゆーか、もう笑ってるよなあんた。
誰がお母さんか。
「…でも、その言い方はお母さんよ…」
肩を震わせているリッカさん。
…まあ、トゲが引っ込んだのは良かった…のか?半笑いになってるし。
ギルド中が、なんとなくヌルい雰囲気に包まれた。
なんでだ。
「ちょ…ひどぉい!なんですか、返してこいってぇ!」
ヒトウサギが鳴いている。
語尾が妙に伸びるのは、お前らの習性か。
観察する目で見ていると。
「ちょっとぉ、ナンとか言ってくださいよぉ。わたしがあんなにヒドいこと言われてるんですよぉ?」
スズの腕に、グイグイ胸…つか、乳を押し付けながら鳴いている。
彼女ヅラか。
でもな?
お前の態度はスズが一番嫌いなタイプの…よーするに、肉食系女子の姉のモノだ。
ほーら。
「うっわ気持ちわるっ!姉ちゃん達にすり寄られてるみたいで気持ちわるっ!どーせ腹ん中ではコイツ上手いコト利用してやれ、とか企んでるクセに、気持ちわるっ!」
暴れだした。
とりあえず、リッカさんはさっさとこっちにおいでなさい。
あーなったスズは、ちょっとしばらく吠えまくるから。肉食系女子への毒を吐きながら、な。
「ひっどぉい!気持ち悪いってナンですかもぉ!こぉんなカワイイ女の子に胸押しつけられて、喜ばないとかオカシイですよぉ!みんなみ~んな、わたしのカラダ、ステキだって言ってくれるのにぃ!」
「うっわ気持ちわりー!すっげートリ肌立った!ちょ、そばにくんな!胸を押し付けんな!ウサギなんか嫌いなんだよ根本的に!!」
…そーいや去年のハロウィンで何をとち狂ったのか、あいつの一番上の姉がバニーガールのコスプレしてたな…。
トラウマウサギ…。
何だったんだろ~アレ…。
ひどいひどいと鳴くヒトウサギと、すべての肉食系女子への毒を吐き出しまくるスズ。
ちょっとしたカオスだ。
…常日頃、普通のガキにしか見えないスズの口から流れるように溢れ出る罵詈雑言に、何人かのギルド女子職員が居たたまれない顔をして、そっと視線を逸らしている。
どーやら思いあたるフシがあるよーだ。
大概のヤツは、スズのあの状態に驚いているがな。
虐げられた弟の心の闇は、尋常じゃないってことだよ、うん。
まあ、あーやってヒトウサギの意識がスズの方に向いてる内にさ、やることあるんじゃねーの支部長?
白い髪、金の瞳、白い肌。
頭には白いウサギ耳がニョッキリと伸びている。
ムダに乳がデカいな…。正直バランス悪いんじゃないか?片方の乳が顔よりデカいってさぁ…。マンガやアニメじゃあるまいし。
どーしてもウサギ耳と乳に目が行くけど、顔もまあカワイイ系かな?10代後半から20代前半くらいの娘さんだ。
そんな娘がスズの左腕を胸に抱え込んでいる。
…羨ましがってるおっさんども。
薄い──夏場の女子の──なんつったかな?あの薄い生地のヒラヒラしたワンピースみたいなの…まあ何でもいーけど。
とにかく薄っぺらい服でムダに色気振りまいているけど、こっちの世界でそんなナリしてるのは…。
「なんだって王都の高級娼館にしかいないハズの人獣がここにいるんだよ…」
支部長が呻くように言った。
さっきの厄ネタ2連発──のじゃロリババアと勇者(笑)ども──の時よりは人数の減ったフロアの真ん中。
ウンザリした顔のスズが。
「コウ~…助けてくれ…」
…お前どこからそんなモン拾って来たの?
拾うとかヒドいですう~、とかナンとかヒトウサギが鳴いているが、知らん。
「気分転換に、リッカさんと屋台ひやかしてたら、いつの間にか張り付いてきて──」
「自分の食べた分まで、私たちに押しつけようとしたのよ。女のイヤな部分が全面に出ているわ」
…言い切ったよリッカさん…。
「なあスズよ。じゃあお前らの後ろでどーしたモンか…って顔してるおっさんは──」
人数は減ったけど、まだフロアに残っていたおっさんども、カウンター内外のギルド職員。俺らと一緒に降りてきたギルド上層部。
全員の視線を向けられたおっさんは。
「あ、スイマセン。このウサギ娘の食べた分の代金を、何とかしてもらえないかと…。こっちの2人連れは無関係だって言うし、このウサギ娘は話にならないし、どーしたモンだか…」
通りすがりの兵隊さんに言えばいーのに。
「タイミング悪かったのか、1人も会わなかったんだよ…詰め所に行くよりギルドに戻った方が早かった」
ものスゴ~くイヤそうに、ヒトウサギを剥がそうとしているスズ。
離さない!とばかりにガッシリと腕を抱え込むヒトウサギ。
リッカさんが反対側で、目をつり上げている。
…これ、何も知らずにハタから見れば、ただの痴話ゲンカじゃね?
なんとなく生温かい気分になりながらも、まあ言っとこーかな。
「スズよ」
「なに」
なんか必死だな。
「元いた所に返してきなさい」
ウチでは飼えません。
「…お母さん…」
ミヤさんが笑いをこらえながら…ってゆーか、もう笑ってるよなあんた。
誰がお母さんか。
「…でも、その言い方はお母さんよ…」
肩を震わせているリッカさん。
…まあ、トゲが引っ込んだのは良かった…のか?半笑いになってるし。
ギルド中が、なんとなくヌルい雰囲気に包まれた。
なんでだ。
「ちょ…ひどぉい!なんですか、返してこいってぇ!」
ヒトウサギが鳴いている。
語尾が妙に伸びるのは、お前らの習性か。
観察する目で見ていると。
「ちょっとぉ、ナンとか言ってくださいよぉ。わたしがあんなにヒドいこと言われてるんですよぉ?」
スズの腕に、グイグイ胸…つか、乳を押し付けながら鳴いている。
彼女ヅラか。
でもな?
お前の態度はスズが一番嫌いなタイプの…よーするに、肉食系女子の姉のモノだ。
ほーら。
「うっわ気持ちわるっ!姉ちゃん達にすり寄られてるみたいで気持ちわるっ!どーせ腹ん中ではコイツ上手いコト利用してやれ、とか企んでるクセに、気持ちわるっ!」
暴れだした。
とりあえず、リッカさんはさっさとこっちにおいでなさい。
あーなったスズは、ちょっとしばらく吠えまくるから。肉食系女子への毒を吐きながら、な。
「ひっどぉい!気持ち悪いってナンですかもぉ!こぉんなカワイイ女の子に胸押しつけられて、喜ばないとかオカシイですよぉ!みんなみ~んな、わたしのカラダ、ステキだって言ってくれるのにぃ!」
「うっわ気持ちわりー!すっげートリ肌立った!ちょ、そばにくんな!胸を押し付けんな!ウサギなんか嫌いなんだよ根本的に!!」
…そーいや去年のハロウィンで何をとち狂ったのか、あいつの一番上の姉がバニーガールのコスプレしてたな…。
トラウマウサギ…。
何だったんだろ~アレ…。
ひどいひどいと鳴くヒトウサギと、すべての肉食系女子への毒を吐き出しまくるスズ。
ちょっとしたカオスだ。
…常日頃、普通のガキにしか見えないスズの口から流れるように溢れ出る罵詈雑言に、何人かのギルド女子職員が居たたまれない顔をして、そっと視線を逸らしている。
どーやら思いあたるフシがあるよーだ。
大概のヤツは、スズのあの状態に驚いているがな。
虐げられた弟の心の闇は、尋常じゃないってことだよ、うん。
まあ、あーやってヒトウサギの意識がスズの方に向いてる内にさ、やることあるんじゃねーの支部長?
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