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酒飲みの為の酒の実。
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何か良さ気な依頼はないものか、と依頼書を眺めていたら。
「酒の実の採集、頼まれたわ…」
「ぅおっ!?」
リッカさんが背後に迫っていた。
あんた音も無くにじりよってくんの、ヤメて下さい。
あとスズとミヤさん、笑ってるけどやられてみろ。心臓に悪いから。
ちなみに酒の実っつーのは、そのまんま酒の元になる果実で。
この世界、味噌やら醤油やら酒やら、の発酵食品が一切無い代わりなのか知らんけども、特定の木の実をドライフルーツにして水に浸すともれなく酒になるっつー何だそりゃ?なモノがある。
初めて見たのは最初の夜営の時。行商人がちびちび呑んでいた。
酒の実には幾つか種類があるらしいんだけど、よく知らん。
酒の木の生息環境によって違うらしい。
赤だの白だの黄色だの茶色だの…乾燥させればさせる程、強い酒になるし、持ち運びも保存も楽になるそうだ。
…生のままだとそんなに保存きかなくて、もれなく汚物になるだけだそーだ。
…発酵は無いのに腐敗はあるんだこの世界…。
この世界作ったヤツ、やっぱどっかオカシい。
つーか、雑。
酒の実は養殖っつーか、栽培もしているらしいけど、やっぱり養殖より天然物の方が味が良いらしく、高額取り引きされるそーだ。
高額取り引き…良い響きだ。
で。
今回リッカさんが持ってきたのは、孫の結婚を祝う席に出したい。というジー様のお願いだそーで。
…結婚式の引き出物かー…。おめでたいね。
ところで。
「な~…多めに取ってって、乾燥させて売るって、アリだと思うか?」
下調べも準備も済んで、受付けでの受注手続きも済ませて出発だーって時に。狩猟部・傭兵部の本日の受付け担当者に、ちょ~っとこっちゃ来い、と手招きされた。
何だなんだと寄っていったら、奥に通された。
…マジで何だ?
「あー。今日、君らが向かう辺りにはー…」
「ドランクモンキーが群れているかもっていう話なら、調べたんで知ってますけど」
スズがきょとんとした顔で答えた。
虚を突かれたような顔してますがね。
ギルド員の人達よ。事前に下調べするのは当然のことでしょうが。
ドランクモンキーの上位種にドランクコングっていうのがいて、そいつが魔物化するとカイザーまたはクィーンコングになるってこと、調べたから知ってますよ。
「知ってんならいいんだ」
傭兵部の人が、ホッとしたように言った。
何でだ?
「誰かが何かをやらかしたのかしらね…?」
リッカさんの追求に。
「採集すら出来ないまダお嬢が、なー…」
狩猟部の人が言った。
ギルド側の話によると、まダお嬢も酒の実の採集依頼を受けて、親が雇ったギルド員を従えて勇んで向かったんだと。
「ギルド員と…って、最近の話じゃ…」
ミヤさんの言葉に、傭兵部の人が。
「一昨日のことです。…まあ、当然失敗しましてね…」
「「「「え」」」」
当然なんだ。
「あのまダお嬢、ただ酒の実を5つばかり取って来るだけだっつってんのに、いきなりドランクモンキーの群れに魔法ぶち込みやがってな~…」
「しかも森の中だと言うのに火属性魔法を、ですよ」
バカだ。バカがいる。
…誰かがどっかで似たようなこと、やらかしかけなかったか…?
なー、リッカさん?
「咄嗟にウチの者が、水属性魔法で打ち消して事なきを得ましたが、ね…」
「…自殺したかったんなら、1人で逝けばいーのに」
何がしたかったんだ?まダお嬢。
俺の疑問に。
ギルド員達は。
「知らん。知りたくもない」
「で、ですね」
傭兵部の人が言った。
「もう面倒見切れない、と学園の方へ伝えることにしました。多分ですけれど、返事と共に迎えの者が来るでしょうね」
「最悪、次に何かやらかしたら、もうどうなっても知らんぞ。って言ってある。お前らが、自分の失敗した採集に行く、と知ったら尾行して横取りしようとするかもしれん。ウチの者は手出ししないだろうが、森の中で火属性魔法ぶっ放すよーなヤツだからな。何やらかすか分からん。分かりたくもないが」
えーと。
よーするに。
「まダお嬢がやらかしたので、ドランクモンキーが暴れてるかも知らん。てのと、余計なチョッカイ出してくるかも、ってのと…」
「その前に、酒の実は無事なのかしら…」
「まダお嬢がやらかした所と違う方向の生息環境の所に行けば良いんじゃね?なー、コウ、他にもあったよな?」
「その分時間かかるし、危険だけどな」
「ああ、でもその分酒の実の価値は高いみたいだよ?」
「よし、そっち行こう」
きっぱり。
価値が高い。イコール、高額取引商品。
やっぱり多めに取ってこよう。
「あー、まてまて。そっちは日帰りじゃ行けない所だ」
知ってます。調べました。
「僕らだけなら行けますよ。…あのまダお嬢はついて来られないでしょうし、お付きになっている人達は、彼女の回収を目指していれば良いんじゃないですか?」
「ついでに、回収後部屋に閉じ込めておけばいいのよ。出歩かなければ余計なことは出来ないでしょ?監視役を兼ねて女の人1人くらい付けておけばいいんじゃないかしら?」
「…そのお付きになった人が、めっちゃ大変でしょーけどね~…」
スズよ…脳裏に浮かんだヤカラのことは、キレーさっぱり忘れてしまえ。
「酒の実の採集、頼まれたわ…」
「ぅおっ!?」
リッカさんが背後に迫っていた。
あんた音も無くにじりよってくんの、ヤメて下さい。
あとスズとミヤさん、笑ってるけどやられてみろ。心臓に悪いから。
ちなみに酒の実っつーのは、そのまんま酒の元になる果実で。
この世界、味噌やら醤油やら酒やら、の発酵食品が一切無い代わりなのか知らんけども、特定の木の実をドライフルーツにして水に浸すともれなく酒になるっつー何だそりゃ?なモノがある。
初めて見たのは最初の夜営の時。行商人がちびちび呑んでいた。
酒の実には幾つか種類があるらしいんだけど、よく知らん。
酒の木の生息環境によって違うらしい。
赤だの白だの黄色だの茶色だの…乾燥させればさせる程、強い酒になるし、持ち運びも保存も楽になるそうだ。
…生のままだとそんなに保存きかなくて、もれなく汚物になるだけだそーだ。
…発酵は無いのに腐敗はあるんだこの世界…。
この世界作ったヤツ、やっぱどっかオカシい。
つーか、雑。
酒の実は養殖っつーか、栽培もしているらしいけど、やっぱり養殖より天然物の方が味が良いらしく、高額取り引きされるそーだ。
高額取り引き…良い響きだ。
で。
今回リッカさんが持ってきたのは、孫の結婚を祝う席に出したい。というジー様のお願いだそーで。
…結婚式の引き出物かー…。おめでたいね。
ところで。
「な~…多めに取ってって、乾燥させて売るって、アリだと思うか?」
下調べも準備も済んで、受付けでの受注手続きも済ませて出発だーって時に。狩猟部・傭兵部の本日の受付け担当者に、ちょ~っとこっちゃ来い、と手招きされた。
何だなんだと寄っていったら、奥に通された。
…マジで何だ?
「あー。今日、君らが向かう辺りにはー…」
「ドランクモンキーが群れているかもっていう話なら、調べたんで知ってますけど」
スズがきょとんとした顔で答えた。
虚を突かれたような顔してますがね。
ギルド員の人達よ。事前に下調べするのは当然のことでしょうが。
ドランクモンキーの上位種にドランクコングっていうのがいて、そいつが魔物化するとカイザーまたはクィーンコングになるってこと、調べたから知ってますよ。
「知ってんならいいんだ」
傭兵部の人が、ホッとしたように言った。
何でだ?
「誰かが何かをやらかしたのかしらね…?」
リッカさんの追求に。
「採集すら出来ないまダお嬢が、なー…」
狩猟部の人が言った。
ギルド側の話によると、まダお嬢も酒の実の採集依頼を受けて、親が雇ったギルド員を従えて勇んで向かったんだと。
「ギルド員と…って、最近の話じゃ…」
ミヤさんの言葉に、傭兵部の人が。
「一昨日のことです。…まあ、当然失敗しましてね…」
「「「「え」」」」
当然なんだ。
「あのまダお嬢、ただ酒の実を5つばかり取って来るだけだっつってんのに、いきなりドランクモンキーの群れに魔法ぶち込みやがってな~…」
「しかも森の中だと言うのに火属性魔法を、ですよ」
バカだ。バカがいる。
…誰かがどっかで似たようなこと、やらかしかけなかったか…?
なー、リッカさん?
「咄嗟にウチの者が、水属性魔法で打ち消して事なきを得ましたが、ね…」
「…自殺したかったんなら、1人で逝けばいーのに」
何がしたかったんだ?まダお嬢。
俺の疑問に。
ギルド員達は。
「知らん。知りたくもない」
「で、ですね」
傭兵部の人が言った。
「もう面倒見切れない、と学園の方へ伝えることにしました。多分ですけれど、返事と共に迎えの者が来るでしょうね」
「最悪、次に何かやらかしたら、もうどうなっても知らんぞ。って言ってある。お前らが、自分の失敗した採集に行く、と知ったら尾行して横取りしようとするかもしれん。ウチの者は手出ししないだろうが、森の中で火属性魔法ぶっ放すよーなヤツだからな。何やらかすか分からん。分かりたくもないが」
えーと。
よーするに。
「まダお嬢がやらかしたので、ドランクモンキーが暴れてるかも知らん。てのと、余計なチョッカイ出してくるかも、ってのと…」
「その前に、酒の実は無事なのかしら…」
「まダお嬢がやらかした所と違う方向の生息環境の所に行けば良いんじゃね?なー、コウ、他にもあったよな?」
「その分時間かかるし、危険だけどな」
「ああ、でもその分酒の実の価値は高いみたいだよ?」
「よし、そっち行こう」
きっぱり。
価値が高い。イコール、高額取引商品。
やっぱり多めに取ってこよう。
「あー、まてまて。そっちは日帰りじゃ行けない所だ」
知ってます。調べました。
「僕らだけなら行けますよ。…あのまダお嬢はついて来られないでしょうし、お付きになっている人達は、彼女の回収を目指していれば良いんじゃないですか?」
「ついでに、回収後部屋に閉じ込めておけばいいのよ。出歩かなければ余計なことは出来ないでしょ?監視役を兼ねて女の人1人くらい付けておけばいいんじゃないかしら?」
「…そのお付きになった人が、めっちゃ大変でしょーけどね~…」
スズよ…脳裏に浮かんだヤカラのことは、キレーさっぱり忘れてしまえ。
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