目標:撤収

庭にハニワ

文字の大きさ
上 下
34 / 374

な~、“秘色”さ~。

しおりを挟む
ミヤさんを頭からしめ出したあと、異次元倉庫内の禁止図書室の本を改めて調べる。
なんか、生産系っつーか、錬金術関係の本がないか…。

…“秘色”さ~…。

頭の奥底で、眠っていた“秘色”を起こした。
…何?
誰かの精神崩壊させるのか?って?
…やらん。
えー、じゃない。
やるのは別にいいけど、後の始末が面倒じゃないか。
…おっと、本音が…。

…嬉しそーだな“秘色”…。
何でもいいから構ってくれるのが嬉しい?
自分たちは使われる為の本なのに、もう長いこと誰の手にも取られなかった。
だから今は凄く幸せだ。
他の本達も、マスターに使われる時を待っているよ、…だって?

マスターって誰だ?
………。
……。
あ、俺か!

そーいや“秘色”とは契約したから、俺が“秘色”のマスターか。
…何、他のヤバめな魔法書も、自分と契約してくれって?
…その話はまた今度な。時間作るから。
…や、マジでさ。

今日はお前に聞きたいことがあったんだよ。
禁止図書室の中で生産系っつか錬金術関係。あと…サポート用の魔法書…初心者用な。そんな本は…。

なになに?

“東西錬金術大全”、“愛の妙薬”、“初心者向けの製薬術”、“二十三夜の月”、“栄光の付与魔法”、“枝葉祭文書”…。
…なあ、ヤバいヤツが自己偽装して混じってる、なんてことは…。
あ、それはしない…良し、OK。
えーと…まずは…。
“東西錬金術大全”
まんま錬金術の本だな。黄金の作り方からホムンクルスまで。まあ基本っちゃ基本だな。
“愛の妙薬”
…薬っつか媚薬系ばっかじゃん。媚薬だの性病の薬だの…もっと基本的なヤツは…。
ああ、“製薬術”がそうなのか。
題名にきっちり書いてあるもんな。初心者向けって。…確かに基本か。傷薬、風邪薬、お約束のポーションとか…。そのまんま過ぎる気がしなくもないが。
“二十三夜の月”
これが生産系の基本か?…半分錬金術なんだな~…。あー…錬金術も被ってくんのか…。
で、“栄光の付与魔法”
…書いたヤツ、何かあったのか…?
まあ、中身はマトモだから良し、としとこう。
“枝葉祭文書”が付与魔法の複合型、と。

…これ、スズとリッカさん、3日でなんとかなるかね?
…って、“秘色”?
…何?そんな時こそ自分を使え、だ?
マスターが理解していることならば、知識を複写して対象の頭に直接転写することも出来る、だ?
その逆も可能だと?

…何それ怖い。
要らんことまでやらかしそうで、怖い。
…暗黒魔法って、何でも有りか~。
まあいっか。今ん所、お前には禁止図書室の司書やってもらえりゃ充分だから。

…ん?役に立ってるかって?
おお、十二分に役立ってるぞ。
さすがにあんなバカげた数の本、把握するなんてムリだわ。
お前がいろいろ教えてくれて、本当に助かってるぞ。
…えへー♪…って…。
本のクセして妙に可愛いな、コイツ。暗黒魔法なんておっかない魔法の本なクセになー。



あ、ヘビ様に貰った魔法銀と魔宝石、ぶっ壊れ異次元倉庫腕輪バージョンに入れとこう。
この先お世話になるだろうし。
とりあえずは地味な作業、〖壺中天〗の展開図っつか設計図っポいのでも書いておくか。ガワだけ作っときゃ、中身は後からでもなんとかなるしな。

あ、“秘色”、魔法改造に関する本とかあるか、探しといてくれ、な?
…はーい♪って…本当に嬉しそうだな。
…まあ、今はいーや。



その頃の銀竜。

とにかく、主様方が向かわれる先に危険がないか、確認しなければ。
情報収集として、手っ取り早く盗賊ギルドに向かう。
…マクリール国の関係者がいるやも知れんが、襲われたなら返り討ちにするだけだ。
主様方ほどではないが、自分もある程度の強さは持っているつもりだ。元の部下達程度ならば、後れをとることもない。
それに…。
おれはそっと自分の左耳に触れた。
主様より賜った、精神・神経系統のーー毒・麻痺・魅了・混乱・石化・呪い全て反射する、という不可解な魔法具…これを複製する為に、主様は自らの魔法具を3日間外してらした。自らの危険もかえりみずに。

『まあ、実験の結果だからそう気にするな。正直お前が居てくれて、色々助かってんだ。この先もよろしく頼むってワイロみたいなモンだと思っとけ』

そう言って、主様は笑っておられたが…。
国宝クラスの魔法具を、実験の結果とはいえ影草ごときにポンと下さるとは…。
欲が無いのだろうか?
国によっては王族ですら手にする事を許されず、神殿にて神宝…神の宝として納められ、二度と表には出てこないという品なのに。
渡された魔法具の稀少さにおののいていたおれに、主様は。

『道具は使わなきゃ意味ないぞ?大事にしまい込んでても、何にもならん。それは、お前のだ。使うなり、売り飛ばすなりお前の好きにすればいい』

そう言って、主様は笑った。
呆然としていると、ミヤ様ーー始めにおれを捕らえた方だーーミヤ様が。

『君も素直じゃないよね』






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

隠された第四皇女

山田ランチ
ファンタジー
 ギルベアト帝国。  帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。  皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。 ヒュー娼館の人々 ウィノラ(娼館で育った第四皇女) アデリータ(女将、ウィノラの育ての親) マイノ(アデリータの弟で護衛長) ディアンヌ、ロラ(娼婦) デルマ、イリーゼ(高級娼婦) 皇宮の人々 ライナー・フックス(公爵家嫡男) バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人) ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝) ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長) リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属) オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟) エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟) セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃) ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡) 幻の皇女(第四皇女、死産?) アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補) ロタリオ(ライナーの従者) ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長) レナード・ハーン(子爵令息) リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女) ローザ(リナの侍女、魔女) ※フェッチ   力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。  ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

処理中です...