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一般人にはキツい。
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首の無い、腹かっさばかれたデカいニワトリもどきをぶら下げて休憩スペースに戻ると、一般人2人に悲鳴を上げられた。
何だよ。血まみれになってるわけでもないのに、何を騒ぐ?
「…君ね…。今殺ってきましたと言わんばかりの鳥の死骸持って、鼻歌混じりに戻ってきたら、普通怖いよ」
えー。
じゃあ冷え切った保存食だけ…それもちょっぴり…食ってろって?そこら辺に食えるモノがいるのに?
「…ダメだこの子野生化してる…」
楽しく羽根をむしってたら、会長が呆れて言った。
一般人2人と御者の人は、呆然としてる。
和樹がおそるおそる言った。
「…お前、なんでそんな事出来んの?」
「あー。言ってなかったっけ?」
羽根をむしり終わった後、適当な大きさに切り分けながら答えた。
「俺、小学校の頃から実戦系の武術習ってたんだよ。中学に入ってからは、長期の休みには山籠もりが入ってきてな。自給自足で稽古してた。…なんか方向性違くね?って思ってたらさ、単に師匠の趣味だった。…キレたね。てめーの趣味に付き合わせんじゃねーっ!って」
…ウソです。
実戦込みの組織の訓練です。
何処でも生きていけるように叩き込まれました。
和樹、なんかショックを受けたような顔でポツリ、と。
「オレ…知らなかった。…親友なのに…」
「親友ったって、四六時中一緒いたワケじゃないだろ?俺だってあのイカれ女がお前の幼馴染みって知らなかったんだし」
和樹、あー…ってカンジで。
「その節はご迷惑おかけしました…」
「…お前のせいじゃないだろ?」
悪いのは、辻家だ。
そんな話をしながらも、手はテキパキと串焼きの準備を進める。
…会長…さり気なく、本当にさり気なくいいカンジに焚き火を起こしてますね…。
やっぱり後2羽くらい狩ってくるべきだったかな?さすがに自分だけモリモリ食うわけにはいかないしな。
切り分けた肉に串を打ち、塩胡椒して火の周りに立てていく。
あぶり焼きである。
んー…時間ないから今日は串焼きにしたけど…やっぱ1回は鳥の丸焼きやろう。
しかしな~…。
チラリと一般人2人を見る。
和樹は肉の焼ける匂いにすっかり心奪われてるけど、副会長は、今だにためらいが残っているらしい。当然のように串をひっくり返したりしてる会長を見てる。
「会長…手馴れてますね…」
会長、俺に視線を飛ばしてきた。
軽く頷いた。
「僕が武術習ってるの、君も知っているでしょ?」
いきなりの関係ない話に、面食らう副会長。
「僕の師匠と紅林君の師匠が同門の同期でさ、兄弟弟子ってカンジかな?で、僕も師匠に引っ張り回された」
和樹がへー、って顔で言った。
「すっげー。偶然ですか?」
「偶然だね」
「じゃあ会長は、以前から紅林君のこと知ってたとか…?」
副会長、目がキラキラしてきた。
…この瞬間に、どんな妄想が繰り広げられているのやら…。
ちょっと怖い。
「師匠の兄弟弟子も同じようなことしてる。ってのは知ってたけど、連れまわしてる子のことまでは知らなかったよ。僕らが兄弟…いや、孫弟子?みたいな感じだって知ったのは、あの暗闇の中で輪になってた時だね。君達が腐女子がどーの肉食系女子がどーのって話してた時だよ」
「…くふふふふ…」
副会長の妄想が止まらない。
腐女子の思考回路は分からんわ。
そして打ち合わせ無しでウソに乗っかってくる会長…。
俺らって、こんなことばっかしてるよなー…。
ちょっと黄昏た。
あ、ヤバい。肉が焦げる。
焼き上がった順に食うぞー。
皆さんもどうぞー。
無理に食えとは言わん。
俺の分が減るからな。
そんなカンジで3日程過ぎて。
馬車に揺られて4日目の昼過ぎ、ようやく城下に一番近い、という街に着いた。
夜間、何もすることが無く余りにもヒマなので、少しずつ魔法のレクチャーをした。
あの禁止図書室には超初心者向けの…いわゆるサルでも分かる魔法の使い方、みたいな本があったので、それを使わせてもらった。
俺?ヘビ様に教えてもらったってコトにしといた。
ありがとうヘビ様。言い訳にもなってくれて。
ただ問題が一つ。
俺らって、物理的科学的に何がどーなってるかって知ってるじゃないか。大気中の水素と酸素で水が出来るとか、人体解剖図とか学校で習ってさ。思いのほか簡単に初級魔法をモノにした一般人2人は。
ちょっと調子に乗った。
「な~、次は?もっと凄いヤツは?」
和樹は威力の強い魔法を求め。
「…私たち、強いわよね?…もっと強くなれるわよね…?」
副会長は妙に強さにこだわりだした。
正直なところ、お前らには攻撃魔法を教える気はないんだわ。
今のこいつらはシロウトがちょっとした武器…ナイフとかな…それを持って調子に乗って、頭に血が登った状態だ。
攻撃魔法覚えたからって、何かの拍子で街中でドッカーン!なんてやられてみろ。どんな参事が繰り広げられるか…。
今は、そんなに一気に詰め込んだって、いざって時には役に立たないから覚えた魔法の練習を…って言って抑えているところだ。
何だよ。血まみれになってるわけでもないのに、何を騒ぐ?
「…君ね…。今殺ってきましたと言わんばかりの鳥の死骸持って、鼻歌混じりに戻ってきたら、普通怖いよ」
えー。
じゃあ冷え切った保存食だけ…それもちょっぴり…食ってろって?そこら辺に食えるモノがいるのに?
「…ダメだこの子野生化してる…」
楽しく羽根をむしってたら、会長が呆れて言った。
一般人2人と御者の人は、呆然としてる。
和樹がおそるおそる言った。
「…お前、なんでそんな事出来んの?」
「あー。言ってなかったっけ?」
羽根をむしり終わった後、適当な大きさに切り分けながら答えた。
「俺、小学校の頃から実戦系の武術習ってたんだよ。中学に入ってからは、長期の休みには山籠もりが入ってきてな。自給自足で稽古してた。…なんか方向性違くね?って思ってたらさ、単に師匠の趣味だった。…キレたね。てめーの趣味に付き合わせんじゃねーっ!って」
…ウソです。
実戦込みの組織の訓練です。
何処でも生きていけるように叩き込まれました。
和樹、なんかショックを受けたような顔でポツリ、と。
「オレ…知らなかった。…親友なのに…」
「親友ったって、四六時中一緒いたワケじゃないだろ?俺だってあのイカれ女がお前の幼馴染みって知らなかったんだし」
和樹、あー…ってカンジで。
「その節はご迷惑おかけしました…」
「…お前のせいじゃないだろ?」
悪いのは、辻家だ。
そんな話をしながらも、手はテキパキと串焼きの準備を進める。
…会長…さり気なく、本当にさり気なくいいカンジに焚き火を起こしてますね…。
やっぱり後2羽くらい狩ってくるべきだったかな?さすがに自分だけモリモリ食うわけにはいかないしな。
切り分けた肉に串を打ち、塩胡椒して火の周りに立てていく。
あぶり焼きである。
んー…時間ないから今日は串焼きにしたけど…やっぱ1回は鳥の丸焼きやろう。
しかしな~…。
チラリと一般人2人を見る。
和樹は肉の焼ける匂いにすっかり心奪われてるけど、副会長は、今だにためらいが残っているらしい。当然のように串をひっくり返したりしてる会長を見てる。
「会長…手馴れてますね…」
会長、俺に視線を飛ばしてきた。
軽く頷いた。
「僕が武術習ってるの、君も知っているでしょ?」
いきなりの関係ない話に、面食らう副会長。
「僕の師匠と紅林君の師匠が同門の同期でさ、兄弟弟子ってカンジかな?で、僕も師匠に引っ張り回された」
和樹がへー、って顔で言った。
「すっげー。偶然ですか?」
「偶然だね」
「じゃあ会長は、以前から紅林君のこと知ってたとか…?」
副会長、目がキラキラしてきた。
…この瞬間に、どんな妄想が繰り広げられているのやら…。
ちょっと怖い。
「師匠の兄弟弟子も同じようなことしてる。ってのは知ってたけど、連れまわしてる子のことまでは知らなかったよ。僕らが兄弟…いや、孫弟子?みたいな感じだって知ったのは、あの暗闇の中で輪になってた時だね。君達が腐女子がどーの肉食系女子がどーのって話してた時だよ」
「…くふふふふ…」
副会長の妄想が止まらない。
腐女子の思考回路は分からんわ。
そして打ち合わせ無しでウソに乗っかってくる会長…。
俺らって、こんなことばっかしてるよなー…。
ちょっと黄昏た。
あ、ヤバい。肉が焦げる。
焼き上がった順に食うぞー。
皆さんもどうぞー。
無理に食えとは言わん。
俺の分が減るからな。
そんなカンジで3日程過ぎて。
馬車に揺られて4日目の昼過ぎ、ようやく城下に一番近い、という街に着いた。
夜間、何もすることが無く余りにもヒマなので、少しずつ魔法のレクチャーをした。
あの禁止図書室には超初心者向けの…いわゆるサルでも分かる魔法の使い方、みたいな本があったので、それを使わせてもらった。
俺?ヘビ様に教えてもらったってコトにしといた。
ありがとうヘビ様。言い訳にもなってくれて。
ただ問題が一つ。
俺らって、物理的科学的に何がどーなってるかって知ってるじゃないか。大気中の水素と酸素で水が出来るとか、人体解剖図とか学校で習ってさ。思いのほか簡単に初級魔法をモノにした一般人2人は。
ちょっと調子に乗った。
「な~、次は?もっと凄いヤツは?」
和樹は威力の強い魔法を求め。
「…私たち、強いわよね?…もっと強くなれるわよね…?」
副会長は妙に強さにこだわりだした。
正直なところ、お前らには攻撃魔法を教える気はないんだわ。
今のこいつらはシロウトがちょっとした武器…ナイフとかな…それを持って調子に乗って、頭に血が登った状態だ。
攻撃魔法覚えたからって、何かの拍子で街中でドッカーン!なんてやられてみろ。どんな参事が繰り広げられるか…。
今は、そんなに一気に詰め込んだって、いざって時には役に立たないから覚えた魔法の練習を…って言って抑えているところだ。
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