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神の加護?知らんなあ。
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真っ暗な部屋から転移させられて。
そこそこ美人と白ヒゲ爺さん達に促されて、俺達は移動した。通されたのは、いわゆる玉座の間ってヤツで。
王冠かぶった王様と、何か書類持ったおっさん。着飾った兄ちゃんと、着飾ってるけど剣を挿したおっさんとか何も持ってないおっさんとか…。
王様と王族への拝謁、みたいな?
「…王サマ、縦ロールじゃないんだ…」
…和樹…テンプレを求めるな。
書類を持ったおっさんが言った。
「王の御前である。失礼のなきように」
俺らの格好って、高校生の正装だけど…ある意味失礼かな?
制服だけど、俺は学ラン羽織ったカンジで前全開だし、会長もボタン上3つ開けてるし。和樹も、襟元はくつろげてるしな。うん、マトモなのは女子だけか。
オマケに会長は、俺の肩を抱いたままで、副会長は和樹から離れない。
松院の女は妙に静かだ。周囲の雰囲気に飲まれたか。
…現代日本の高校生が為政者とご対面、なんてしたことある訳がない。
どんな態度取れば良いやらーー。
『うん、その辺は僕に任せてくれて良いから。何も話さないで。言質を取られるかもしれないから』
『あ、分かりました。和樹達の方は…畏縮してるみたいだし、大丈夫かと』
畏縮してるってのはハタから見ればってことで。神妙な顔してるけど、和樹は内心異世界召喚テンプレを探ってるみたいだし。副会長は俺らーー俺と会長をちらちら見ては、妙に嬉しそうだし。
…そうか、俺と会長の今の状態って…。
うん、考えるのヤメよう。
とりあえず、接触テレパスって面倒くさいと。
『うるさいよ』
へーい。
半ば逃避気味に、くだらないことを考えてる。
王様はそのまんま王様。書類持ってしゃべってるおっさんは宰相。きらびやかな服着て王様に似ているイケメン(笑)は王太子殿下。白ヒゲ爺さんは神官長で、そこそこ美人は王女殿下だった。王女殿下、神殿の巫女も兼ねてるんだってさ…その割には…。
この世界、神職であっても結婚OKなのか、王女殿下の会長を見る目が尋常じゃない。
肉食系女子のロックオンだ。
いやね?王様だの貴族だのが俺らを思いっきり値踏みしてるのは分かるよ?こいつらは使えるのか?自分達に利益をもたらすのか?って、そういう目で見るのは分かるわ。
ちょっとオカシイな?と思うのは、王太子殿下の女子2人を見る目と、王女殿下(笑)のロックオンだな。勇者様、なんて言っておきながら、勇者を見る目じゃない。
王様は、長々とこの国…マクリール王国だと…マクリール王国の現状とやらを語っていたらしい。
会長が神妙な顔して相手してたので、王様の口が滑る滑る。
「…で、あるからして……神の加護をその身に受けたその方らに……」
神の加護?
そんなモン知らん。
会長、そこは、はっきりさせておこう。
「失礼致します。加護、と申されましたが、僕達はそのようなモノ、受けた覚えはございません」
俺ら、一斉に頷く。
白ヒゲ爺さん…神官長が出てきた。
王様に相対して、一礼。
「御前失礼致します。…勇者様方、あなた方は我らの呼びかけにお答え下さった後、一昼夜過ごされておいでです」
「一昼夜?どこでですか?何の為に?」
会長が、眉を寄せて神官ーー爺さんでいいや。爺さんを問い詰める。
そんな会長を、王女殿下はうっとりと見つめている…色ボケ姫かよ?
『色ボケ姫に一票』
会長、気付いてたらしい。
「呼びかけにお答え下さった方々は、神殿の地下にて一昼夜、お過ごし頂きます。その際に、神の加護をその身に宿されるのです」
あー、あのスライムもどきか。
起きていた4人が顔をしかめた。
「勇者様?」
「すみません。僕達4人は、受けていません」
会長の爆弾発言。
慌てたのは爺さん。色ボケ姫もなんか困ってるみたいだが、知らん。
王様は今イチ興味がないのか静観。
王太子殿下はーー何だか楽しそうだ。
「僕達があそこで見たのは、何だかでろんっとした…」
「スライム」
「ゲル」
「粘菌」
「…まあ、そんな感じのモノが、彼女の方へ向かっていったコトくらいです」
松院の女を指し示した。
その場にいた全員の視線が、松院の女に向けられた。
何で見えたんだ?なんてツッコミはなかった。
「な…何…アタシ、知らないんだケド…」
怯える松院の女。そりゃずーっと寝てたしな。
と、声を上げる色ボケ姫。
「そんな…そんなハズありません!加護は、皆様すべてに…!」
「…いや、姫様。彼の言ったことは本当ですぞ」
爺さんが認めた。
どうやら俺らのことを、何らかのスキルを使って見たらしい。顔の前で、右手の平ですっ…と空間を撫でるような仕草をしたのは、その為か。
「かの少女に、5人分の加護が備わっております」
ざわつく人々。
勇者召喚成功と共に、俺ら4人はいらない子決定ーーと。
『いらない子って素直に放り出してくれればいいんだけどね』
『や~、あの色ボケ姫の様子じゃ~。…絶対手に入れる。ってカンジですよね』
『迷惑な』
会長、ざっくりと切り捨てた。
そこそこ美人と白ヒゲ爺さん達に促されて、俺達は移動した。通されたのは、いわゆる玉座の間ってヤツで。
王冠かぶった王様と、何か書類持ったおっさん。着飾った兄ちゃんと、着飾ってるけど剣を挿したおっさんとか何も持ってないおっさんとか…。
王様と王族への拝謁、みたいな?
「…王サマ、縦ロールじゃないんだ…」
…和樹…テンプレを求めるな。
書類を持ったおっさんが言った。
「王の御前である。失礼のなきように」
俺らの格好って、高校生の正装だけど…ある意味失礼かな?
制服だけど、俺は学ラン羽織ったカンジで前全開だし、会長もボタン上3つ開けてるし。和樹も、襟元はくつろげてるしな。うん、マトモなのは女子だけか。
オマケに会長は、俺の肩を抱いたままで、副会長は和樹から離れない。
松院の女は妙に静かだ。周囲の雰囲気に飲まれたか。
…現代日本の高校生が為政者とご対面、なんてしたことある訳がない。
どんな態度取れば良いやらーー。
『うん、その辺は僕に任せてくれて良いから。何も話さないで。言質を取られるかもしれないから』
『あ、分かりました。和樹達の方は…畏縮してるみたいだし、大丈夫かと』
畏縮してるってのはハタから見ればってことで。神妙な顔してるけど、和樹は内心異世界召喚テンプレを探ってるみたいだし。副会長は俺らーー俺と会長をちらちら見ては、妙に嬉しそうだし。
…そうか、俺と会長の今の状態って…。
うん、考えるのヤメよう。
とりあえず、接触テレパスって面倒くさいと。
『うるさいよ』
へーい。
半ば逃避気味に、くだらないことを考えてる。
王様はそのまんま王様。書類持ってしゃべってるおっさんは宰相。きらびやかな服着て王様に似ているイケメン(笑)は王太子殿下。白ヒゲ爺さんは神官長で、そこそこ美人は王女殿下だった。王女殿下、神殿の巫女も兼ねてるんだってさ…その割には…。
この世界、神職であっても結婚OKなのか、王女殿下の会長を見る目が尋常じゃない。
肉食系女子のロックオンだ。
いやね?王様だの貴族だのが俺らを思いっきり値踏みしてるのは分かるよ?こいつらは使えるのか?自分達に利益をもたらすのか?って、そういう目で見るのは分かるわ。
ちょっとオカシイな?と思うのは、王太子殿下の女子2人を見る目と、王女殿下(笑)のロックオンだな。勇者様、なんて言っておきながら、勇者を見る目じゃない。
王様は、長々とこの国…マクリール王国だと…マクリール王国の現状とやらを語っていたらしい。
会長が神妙な顔して相手してたので、王様の口が滑る滑る。
「…で、あるからして……神の加護をその身に受けたその方らに……」
神の加護?
そんなモン知らん。
会長、そこは、はっきりさせておこう。
「失礼致します。加護、と申されましたが、僕達はそのようなモノ、受けた覚えはございません」
俺ら、一斉に頷く。
白ヒゲ爺さん…神官長が出てきた。
王様に相対して、一礼。
「御前失礼致します。…勇者様方、あなた方は我らの呼びかけにお答え下さった後、一昼夜過ごされておいでです」
「一昼夜?どこでですか?何の為に?」
会長が、眉を寄せて神官ーー爺さんでいいや。爺さんを問い詰める。
そんな会長を、王女殿下はうっとりと見つめている…色ボケ姫かよ?
『色ボケ姫に一票』
会長、気付いてたらしい。
「呼びかけにお答え下さった方々は、神殿の地下にて一昼夜、お過ごし頂きます。その際に、神の加護をその身に宿されるのです」
あー、あのスライムもどきか。
起きていた4人が顔をしかめた。
「勇者様?」
「すみません。僕達4人は、受けていません」
会長の爆弾発言。
慌てたのは爺さん。色ボケ姫もなんか困ってるみたいだが、知らん。
王様は今イチ興味がないのか静観。
王太子殿下はーー何だか楽しそうだ。
「僕達があそこで見たのは、何だかでろんっとした…」
「スライム」
「ゲル」
「粘菌」
「…まあ、そんな感じのモノが、彼女の方へ向かっていったコトくらいです」
松院の女を指し示した。
その場にいた全員の視線が、松院の女に向けられた。
何で見えたんだ?なんてツッコミはなかった。
「な…何…アタシ、知らないんだケド…」
怯える松院の女。そりゃずーっと寝てたしな。
と、声を上げる色ボケ姫。
「そんな…そんなハズありません!加護は、皆様すべてに…!」
「…いや、姫様。彼の言ったことは本当ですぞ」
爺さんが認めた。
どうやら俺らのことを、何らかのスキルを使って見たらしい。顔の前で、右手の平ですっ…と空間を撫でるような仕草をしたのは、その為か。
「かの少女に、5人分の加護が備わっております」
ざわつく人々。
勇者召喚成功と共に、俺ら4人はいらない子決定ーーと。
『いらない子って素直に放り出してくれればいいんだけどね』
『や~、あの色ボケ姫の様子じゃ~。…絶対手に入れる。ってカンジですよね』
『迷惑な』
会長、ざっくりと切り捨てた。
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