目標:撤収

庭にハニワ

文字の大きさ
上 下
4 / 374

世界とようやく動く状況。

しおりを挟む
知ってる人は知ってるけれど、知らない人はまったく知らない。世界って、卵みたいなモノで。
俺らが普段暮らしているのは外殻、つかカラの部分だな。
その下に薄皮みたいに外と内との境界があって、奥にドロドロといろんなモノが混じり合った部分がある。
更にその奥にも何かあるらしいが、そこまで行ったヤツはいない。行き着く前に、自我が消えるらしい。
そんなモノが、ごろごろ転がっている。

世界は一つじゃない。
ネット小説とかラノベとかアニメとか…そーゆーモノに類似した世界だって、どっかに転がってるだろーな。その世界に生きているモノにとっちゃ、それが当然。でも外から見りゃあ何だそれ?なコトだって山盛り。
…さっきのでろんっとしたスライムもどきも、この世界じゃ当然のコトなのカモだわ。
うん、あんなモンが這いずってる時点で、ここは俺らの世界じゃない、って分かった。

で。
俺ら…会長もそうだって分かったけど、俺らはその卵のカラが何かの拍子でひび割れたり欠けたりした所を補う…つか、そのひび割れから出てくるモノと対峙してるワケだ。
そんな組織は幾つもあって。
中にはひび割れを大きくして、世界を混乱させて笑ってる。って、タチの悪いヤツらもいたりする。
そんなタチの悪いヤツらとはモロにバトルになるワケだが。
…対人戦も、対バケモノ戦もこなす俺らはいったい何なんだろーな…。
天堂さんは「互助会♪」って言ってるけど。なんか気が抜けるから互助会はやめろ、と親父が説教してるが聞いちゃいないらしい。
ウチの親父…紅林憲人はウチの組織のNo.2だったりする。そりゃ息子の教育ハードになるわな。
ガキの頃…って今もガキだが、俺が3歳の時に他界した母親も当然組織の人間で。主に術式開発とかしてたらしい。
で、親父は自分が今までに身に付けてきた体術、術式に加えて母親が開発した術式まで俺に叩き込んだ。未発表の術式まで、な。
母親の術式に関しちゃ、自分が使えないモノも、文字通り俺に刻み込んだ。
普通にしてる分にはまったく分からない刺青として、な。
一つの刺青に一つ、その術式を完全に自分のモノにすると消えるって、刺青を開発したのも母親だったそうだ。
…それを息子に使うなよ…。
中二くさいじゃないか。

まあ、親が親だったからか、いろんなコトがありました、状態なワケだが。
交通量の多い道路の反対側で、血まみれの子供がおいでおいでしてるとか。
小学校の学校の怪談がみんな実話だったり、七不思議が八つあったり。
幼稚園からずーっと同じモノが付いてまわってると思ったら、ただのストーカーだったとか。
…このストーカー、小学校卒業前に存在自体が消えたからな…。親父が動いたのかも知れない。

ちょっとぐるぐるしてたら、会長が。

『…進藤君と立花君、寝ちゃったみたいだよ』

え。

そっちに意識を向けると、確かに。
2人、手を取り合って穏やかーな眠りに入っていた。
…この状況で…。
まあ、一般人だし。泣き喚いてパニック起こさなかっただけ偉い!かな。

『どうしよう、僕らも少し眠っとく?この先何時まで此処にいるか分からないし』

あー、そうかも。
休息取っておくのも大事かも。

て。

『会長?今何か魔力的なモノが…』

俺らが座ってる床、和樹達が寝てる床、松院の女の所。金色の光がすぅっと走り…。

『魔法陣?』

3重の輪の中に幾何学的なラインが走り、見たこともない記号が浮かんでいく。

『とにかく、離れないように』

会長に抱え込まれた。
またか。


部屋に魔力が満ちていく。
魔法陣が、ひときわ強く輝きを放ちーー。
次の瞬間。
今度は明るい、やっぱり石作りの部屋にいた。



「へ…あ!」

和樹目覚める。副会長も起きる。
副会長と手を取り合っていたのに気付いた和樹。慌てて手を離そうにも、副会長、しっかりと手を握って離さない。

「ここ…どこ?何?」

怯えが混じる副会長の声に、和樹はしっかりと手を握り返す。

「ちょ…何よここ…。…あーっ!アンタ何会長サマにくっついてんのよ!そこはアタシの場所でしょ!さっさとどきなさいよ!」

いきなり喚き出した松院の女。
俺?
会長に抱え込まれたままさ。

『いー加減、離してくれませんかね』
『…お客さんだよ…っていうか、僕らを拉致した犯人達かな?』

会長が示す先に、妙に偉そうな白ヒゲにずるずるローブの爺さんと、そこそこ美人なドレスの女。その2人を囲むように、腰に剣を挿した男達…兵士達か?

「和樹…これってまさか…」
「ネット小説でお馴染みの…」

和樹も爺さん達を見て呆然。
副会長は、和樹の側から離れない。
1人、離れた所にいた松院の女がこっちに来ようとしている。
と。
そこそこ美人が言い放った。

「よくぞいらして下さいました、勇者様方!ワタクシ達を、お救い下さいませ!」

何の寝言だ?ってか今更?

「…異世界召喚…微妙にテンプレじゃなかったケド…」

和樹、問題はソコじゃない。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話

yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。 知らない生物、知らない植物、知らない言語。 何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。 臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。 いや、変わらなければならない。 ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。 彼女は後にこう呼ばれることになる。 「ドラゴンの魔女」と。 ※この物語はフィクションです。 実在の人物・団体とは一切関係ありません。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

処理中です...