目標:撤収

庭にハニワ

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既に番外編じゃあない。60

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それから。

真言は、基本的に大書庫に籠るようになり、本当に姿を見せなくなった。
他の勇者達、騎士達を始め、王城に居る者達も誰1人として真言の不在を気にしていない。

たまに、稀に。
そう言えば紅林はどこだ? 閣下は何処に行かれた? と頭を過るコトもあったようだが。
その都度和樹ら6人が。
或いはメイド達や従僕達の一部が。
何処其処に行かれた、先程あちらでお見かけした、書庫に入り浸ってる、部屋に向かわれた……等々。
煙に巻くよーに、アチラコチラに誘導しまくった挙げ句、一部の暗部連中が一般人に使ってはいけないおクスリを使用しての思考誘導をして、真言の不在を不思議に思わないよーにした、という……。

つまり。
王城の上層部が勇者達に仕掛けたコトを、真言がマルっとやり返してるコトになる。
が、その事実に気付く上層部の者達は……1人も居なかった。
真言がそんなコトまでやらかすとは、思ってもいなかったのである。



上手いコト取り込みに成功した勇者達をガッチリと、逃がさないよーに、逃げようと思う事すら考えられないよーに囲い込む方が重要だった、というコトもある。

王子のモノになった副担任矢口とバスガイド森野は。
王子の後宮で、散々に甘やかされトロけさせられ……。
自分達は、いわゆる愛人、愛妾という立場であると理解していない。
ただひたすらに、日々うっとりと過ごしている。
ここでも暗部特製イケないおクスリは、お役立ちまくりである。

ぶっちゃけ、王子には他国の姫という正式な婚約者──いわゆる正妃になる姫が居たりするのだが。
愛人になった2人は、まだ知らない。
先に子供──王子を産んだ方が正妃になれると思い込み、いろんな意味で頑張っている。



柴田、青山、村上、田中の職能勇者の4人は。
完全に、王女の逆ハーレム要員になっていた。
召喚された当初は、オレ達は勇者だ、この国を救うんだ、などと薄っぺらい正義感を持っていたはずだが。
今となっては。
王女に相応しくなる為に、勇者を目指している。
動機はともかく、努力は地味に報われて。
最近、勇者(雛)から勇者(若鶏)にランクアップした。
……妙な(○○)が取れるまで、勝手にガンバれ勇者達。



そー言えば。
やらかした厨二教師の清水だったが。
同じくやらかした女騎士と、なんか上手いコト纏まってしまった。
男なら姫狙い、という厨二丸出しな清水。
いろいろ諸々話しているうちに、女騎士が伯爵家のご令嬢だと分かると。

伯爵家の姫、キター♪

と、あっさりと女騎士の誘いになびいた。
あと、いろんな意味で、相性バッチリだったらしい。
本当に、イロんなイミでな。

女騎士は、没落寸前の伯爵家復興の為に勇者を婿養子に迎え入れたかった。
どうせなら、目標は高く。
そう思って真言に目を付けたワケだが。
何の接点も持てずに、思い詰めた挙げ句に夜這いを仕掛ける、なんてコトをやらかした。
まぁ、結果的に似た者同士で纏まったんだから、いいんじゃね?

正直な話、どうでもいい些細なコトである。



王国側の仕掛けたハニートラップに、引っ掛からなかった勇者も居る。
勇者同士でカップル成立した者達、15の純情ならぬ、17・8の純情を大事に抱えた者……。
どーしても、状況が気にいらない者とかも。

そんな連中の中に、ちょっと精彩を欠く者が2人ばかり。

「……紅林君、いつの間にか行っちゃってたんだけど。誰にも、なんにも言わずに……」

ちょっと仲良くなれたかな? と思っていた春香。
だが、実際には自分も、紅林にとってはその他大勢と大差ないらしい……と、がっかりしている。

千里もまた。

「……進藤君、彼女居たんだー……」

ただ見ているだけで、満足していた。
その時間が、長すぎた。
付き合いたて、というコトは、3年になってすぐに、付き合い始めたというコトだ。
もっと早く行動していたら……。
そう思うと、もう、ね……。

後悔先に立たずって、こーゆーコトかな。











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