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既に番外編じゃあない。59
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何か言いたげな周囲の視線を、思いっきりよくすっぱりスルーした真言は。
「まぁそんなワケで、だ。帰還の為に必要なエネルギー確保、的なカンジで魔力集めに勤しまなきゃならんのだが」
真言は、すっかり空になった全員のカップに、新たに茶を入れて。
「まぁ、他のヤツらのヘコみっぷりが、ちょっと尋常じゃないからな。またしばらくは、王城の中に囲い込み~……になるんじゃないかと思うんだが。……ホント、やってるコトがグダグダだよな」
「あ~……」
「……うん、そうかもしれないですね」
なんか納得する一同。
正直な話、勇者達はしばらくの間、使いモノにならないだろう。
何人かは王国に取り込まれるだろう。
……もう取り込まれた者達も居るし。
少なくとも2人は。
死霊軍団が『嘆きの森』に大量発生した理由も分からないまま、王城に戻った一団を迎えた王国上層部──王子王女は。
全力で、自分が目を付けた勇者の取り込みに走った。
王族がわざわざ出迎えに来た、という事実に。
騎士団一同は驚いていたが、何も知らない勇者達──特に、職能勇者の柴田達と大人女子2人は、あっさりコロッといったらしい。
こう、フラフラ~……と王族2人に寄ってって、王族と一緒にどこかに行ってしまった。
柴田達は、すぐに戻ってきて他の勇者達と合流したが。
王子に着いていった2人は、そのまま姿を消した。
っつーと、すっごい不穏なカンジだが、どうやらまんまと王子のモノになった……らしい。
こう、18禁的に。
まぁ、大人だし?
自分から望んで着いていったって事実もあるしな。
ただ……。
『矢ぐっちゃんとガイドの姉さん、王子とくっついたのはまぁどーでもいいんだけど……。まさか、自分は正妃になれるとは思って無いだろーな?』
不穏極まりない現実が、大口を開けて大人女子2人をぱっくりと飲み込んだよーだ。
この先、2人は華やかな王宮ロマンどころか、後宮でのドロドロした女の戦いに突入するのだろう。
まぁ、ガンバれ~。
さて。
他の勇者達に帰還の是非を質問するには、ちょっと時期が悪いかな? と判断した真言は。
とりあえず、身近な人達に帰るか? と聞いてみたワケだが。
結果、6人全員が帰還希望という……。
こりゃ、勇者達全員連れて帰れるだけの魔力が必要か?
……うん、ついでに王国の上層部に嫌がらせもしてやろうかな?
そんなコトを考えて、真言は言ってみた。
「なぁ、俺がちょーっとこの城出てって、魔力集めるついでに、この国の上層部に嫌がらせしに行くって言ったら……」
「止めないから行ってこい」
和樹が、あっさりと言った。
むしろ推奨した。
「……お前、1人で行くつもりか?」
冬至が、眉間にシワを寄せながら真言に言った。
「まぁ……そのつもりだが。王城に俺が居ないってコト、俺1人だけならゴマかせるんだよ」
「いや、紅林ほどインパクトある人間が姿消したら、ちょっとした騒ぎになるでしょうが。絶対に」
尚人の言葉に、その場に居る全員が大きく頷いた。
しかも何度も。
一瞬絶句した真言だったが、気を取り直して。
「……書庫の婆さまとか、一部の暗部連中とか一部のメイドどもとか、協力してくれるヤツらが居るし。婆さまが、俺は書庫に籠って調べモノしてるってコトにしてくれるそーだし。……何かあったら、和樹よ。お前が念話してくれりゃいい。……まぁ、速攻終わらせて戻ってくるつもりだがな」
正直、本気出すなら1人で動いた方が……。
言外に、そう言っている真言に春香が寂しそうに言った。
「無理に着いていっても……私達、足手まといになるのね」
まぁ、ぶっちゃけそーだけど。
「まぁそんなワケで、だ。帰還の為に必要なエネルギー確保、的なカンジで魔力集めに勤しまなきゃならんのだが」
真言は、すっかり空になった全員のカップに、新たに茶を入れて。
「まぁ、他のヤツらのヘコみっぷりが、ちょっと尋常じゃないからな。またしばらくは、王城の中に囲い込み~……になるんじゃないかと思うんだが。……ホント、やってるコトがグダグダだよな」
「あ~……」
「……うん、そうかもしれないですね」
なんか納得する一同。
正直な話、勇者達はしばらくの間、使いモノにならないだろう。
何人かは王国に取り込まれるだろう。
……もう取り込まれた者達も居るし。
少なくとも2人は。
死霊軍団が『嘆きの森』に大量発生した理由も分からないまま、王城に戻った一団を迎えた王国上層部──王子王女は。
全力で、自分が目を付けた勇者の取り込みに走った。
王族がわざわざ出迎えに来た、という事実に。
騎士団一同は驚いていたが、何も知らない勇者達──特に、職能勇者の柴田達と大人女子2人は、あっさりコロッといったらしい。
こう、フラフラ~……と王族2人に寄ってって、王族と一緒にどこかに行ってしまった。
柴田達は、すぐに戻ってきて他の勇者達と合流したが。
王子に着いていった2人は、そのまま姿を消した。
っつーと、すっごい不穏なカンジだが、どうやらまんまと王子のモノになった……らしい。
こう、18禁的に。
まぁ、大人だし?
自分から望んで着いていったって事実もあるしな。
ただ……。
『矢ぐっちゃんとガイドの姉さん、王子とくっついたのはまぁどーでもいいんだけど……。まさか、自分は正妃になれるとは思って無いだろーな?』
不穏極まりない現実が、大口を開けて大人女子2人をぱっくりと飲み込んだよーだ。
この先、2人は華やかな王宮ロマンどころか、後宮でのドロドロした女の戦いに突入するのだろう。
まぁ、ガンバれ~。
さて。
他の勇者達に帰還の是非を質問するには、ちょっと時期が悪いかな? と判断した真言は。
とりあえず、身近な人達に帰るか? と聞いてみたワケだが。
結果、6人全員が帰還希望という……。
こりゃ、勇者達全員連れて帰れるだけの魔力が必要か?
……うん、ついでに王国の上層部に嫌がらせもしてやろうかな?
そんなコトを考えて、真言は言ってみた。
「なぁ、俺がちょーっとこの城出てって、魔力集めるついでに、この国の上層部に嫌がらせしに行くって言ったら……」
「止めないから行ってこい」
和樹が、あっさりと言った。
むしろ推奨した。
「……お前、1人で行くつもりか?」
冬至が、眉間にシワを寄せながら真言に言った。
「まぁ……そのつもりだが。王城に俺が居ないってコト、俺1人だけならゴマかせるんだよ」
「いや、紅林ほどインパクトある人間が姿消したら、ちょっとした騒ぎになるでしょうが。絶対に」
尚人の言葉に、その場に居る全員が大きく頷いた。
しかも何度も。
一瞬絶句した真言だったが、気を取り直して。
「……書庫の婆さまとか、一部の暗部連中とか一部のメイドどもとか、協力してくれるヤツらが居るし。婆さまが、俺は書庫に籠って調べモノしてるってコトにしてくれるそーだし。……何かあったら、和樹よ。お前が念話してくれりゃいい。……まぁ、速攻終わらせて戻ってくるつもりだがな」
正直、本気出すなら1人で動いた方が……。
言外に、そう言っている真言に春香が寂しそうに言った。
「無理に着いていっても……私達、足手まといになるのね」
まぁ、ぶっちゃけそーだけど。
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