目標:撤収

庭にハニワ

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既に番外編じゃあない。38

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ちょっとだけ時間を遡って。



唐突に、真言が和樹に塩作れや、と言い出した時の事。

真言は精霊武具片手に、周囲を《索敵》しながら和樹に言った。

「清めの塩」
「へ?」
「葬式直後に清酒と塩振る舞われるだろう? 死というケガレを祓う為だよ。諸説あるけど、概ねそんな感じだろ。ある意味形骸化してる……? まぁ、そんな詳しくはどーでもいいか」

いきなり葬式の話になって、目をシロクロさせてる和樹に真言は。

「信仰心もへったくれもない、一般人が出来る一番簡単、確実なお祓いだろ? 塩をまくって」
「……あー」
「ゾンビは──あれ、一説によると仮死状態にした、ただの人間だっつーし。グールって、あれよーするに餓鬼だろ? レイスは亡霊で、スケルトンは──まぁ、ガシャドクロ的な? ちっこいけど。餓鬼なんかは、米があれば施餓鬼米っつって、米バラまけば何とかなったかもしんないけど、米は無いからな。とりあえず、塩だ、塩」
「……なんか納得」
「していいのかなあ?」

真言と和樹の会話を聞いてた春香と千里は、ものすご~く微妙な顔をしていた。
同じく聞いていた尚人は、しばし考えて。

「……じゃあ、お経や讃美歌なんかも効果ありますかね?」
「「「あー」」」
「……そーだな」

真言は、良く気付いたな、と尚人に笑いかけ。

「何でもアリの日本人ばっかでも、ちょっとくらいは効果見込めるんじゃね? 多分。毎週教会に通って、洗礼受けてるよーな気合いの入った本気のキリスト教徒とか居れば、確実だったろうけど……。そう都合良くは行かんか。まぁ、無いよりマシだろーから試してみれば?」

そう軽く言った真言に、春香が言った。

「ちょっ……紅林君? それこそ都合良く讃美歌とか、知ってる訳ないでしょ?」
「えー? 最低でも2・3曲は歌えるんじゃね? だって日本人だし」

真言は左の耳の裏あたりを、人差し指でコリコリと掻きながら、言った。

「少なくとも、経が読めるヤツよりは、讃美歌歌えるヤツの方が確実に居るだろーよ。まぁ讃美歌っつー認識じゃなくて、ただのクリスマスソング的なカンジで。幼稚園児も歌えるじゃんか。『きよしこの夜』とか」
「「あー」」
「あれって讃美歌なのか」
「……そう、ですね。救いの御子とか歌ってますしね」

頷きつつ、納得している春香と千里。
知らんかった……と、首を振る和樹。
尚人は歌詞を思い出して、そーいやそーだな、と納得しつつ、更に真言に聞いた。

「他には……『歓びの歌』とかもですか、ね?」

真言は。
《索敵》でナニか良くないモノを発見したのか、思いっ切り顔をしかめていたが。
意識を和樹達の方へと戻してから言った。

「『アメイジング・グレイス』とか、ハ○ウッド謹製歌って踊る尼さん映画のパート2に出てきたヤツとかも、な。『歓びの歌』……『ジョイフル・ジョイフル』か」

真言はそう言うと、尚人に向き直り。

「讃美歌関係は、委員長に任せた。あと──」

視線を和樹に向けると。

「清めの塩はお前に任せた」
「紅林君? 私達は、どうしよう?」

春香が真言に質問。
千里はその横で、うんうん頷いている。

「……塩まくなり、歌うなり、好きにすれば?」

かなり放置気味な真言の発言に、春香はシブい顔をして。

「……私、音痴なのよね……」

いや、知らんがな。

そう思った真言だが。
本気でそんな場合じゃなくなってきたっポいので。
強引に、和樹と尚人の2人にこの場を任せる方向に持ってって。
シュタっと右手を挙げて。

「んじゃ、ちょっと行ってくっから」

そう言うと、文字通り飛び出していった。

……いったいナニを見たのだろーか……?









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