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既に番外編じゃあない。36
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押し寄せる死霊軍団。
レイス、ゾンビ、グール、スケルトン等々。
確実に、物理攻撃の効かない敵も居る。
レイスとかな。
霊体に物理とか、ムダだろう?
騎士達は、静かに闘志を燃やしている。
予定外の敵だが、自らの務めを果たすだけだ。
勇者達は、浮き足立っている。
ぶっちゃけ、使いモンにならない……。
まぁ、ね。
普通、そーだよね。
勇者達は、清々しいまでに一般人オンリーだ。
……約一名を覗いてな。
何処ぞのアトラクションじゃあるまいし、目の前にゾンビが群れでやって来る……なんて事は、いまだかつて無かった事だ。
そりゃあ、パニック再びだわ。
騎士団が前面に立つ形で、陣形が整えられた。
勇者達を庇う形だ。
死霊軍団との接触は、もうすぐ。
冬至が鈍器扱いしてる剣を手に、最前列──騎士達と魔術騎士が前面に立つ場所へと向かおうとするのを止めて、真言が言った。
「和樹よ。本気で鉄パイプとか作ってやれよ。冬至さん、どーせ撲殺オンリーだろーし」
「どーせって……おい」
「……ゾンビって、基本死んでますよね?」
真言の雑な言い種に、まぁ確かに、と思いながらもツッコまずにはいられない冬至。
あと尚人も。
和樹は、ナニをどんな風にしようかと考えながら、錬金術を発動。
足元の地面から、鉄やらナニやら集めて造り始めた。
顔をひきつらせながら、弓を構えて、凄い遠くでどっか行って! と、死霊軍団がこちらに近づいて来る前に、何とかしようとしている春香。
ホラー系は苦手のようだ。
「ゾンビって……人体構造的に何とか……」
頭の中に人体解剖図を思い浮かべながら、どのあたりを狙うべきか考えている千里。
こちらは、虫じゃないので結構平気なようだ。
物理攻撃一択の騎士達と、魔術も使う魔術騎士が、何とか夜営地前で死霊軍団の進行を食い止めている。
が、多勢に無勢。
勇者達も、守られているだけじゃダメだ、と覚悟を決めた者から戦列に加わり始めた。
対死霊、というコトで、なかなかの地獄絵図が繰り広げられている。
ゾンビ、グールと言えども、ヒトの形に近いモノを相手取って攻撃する事に拒否感を覚える勇者は多い。
彼らの2/3は使いモノにはならないだろう。
「出~来た♪」
緊迫した場面なのに、和樹は軽い調子で鈍器を精製し終えた。
「冬至さん、釘バット! ……金属製だけど」
「ここで敢えての釘バットとか……釘バット?」
真言は半笑いだ。
和樹が造りあげたのは……。
「なぁ……」
釘バット(?)を手渡された冬至は、微妙な顔で手渡されたモノをしみじみと見つめながら、言った。
「これ、どう見ても、釘バットじゃねぇよな?」
「うん……。どう見ても、鬼の金棒ですね」
尚人もまた、半笑いだ。
そーだね。
どこからどー見ても、金棒だね。
黒々として、トゲも鋭いしなんとなく禍々しい、地獄の鬼御用達の金砕棒だ。
少なくとも、おっさんが片手で持って軽々とぶん回していいようなシロモノじゃない。
……実際のところ、冬至は軽くぶん回しているが。
和樹よ……ナニを造った?
え? 冬至さんって、そんな力持ちだった?
驚愕の目で、金棒の使い勝手を確めてる冬至を見る春香と千里。
和樹が種明かしをした。
「あ、その釘バット、細かく釘を造るのが面倒くさくなったから、そんなフォルムになった。で、冬至さんにだけ軽く、比較的壊れにくいって概念を付与しといた。……絶対に、なんてモノはどーすりゃいいのか分からなかったからな。分かる範囲で壊れにくいってしといた。……んじゃ、物理攻撃ガンバってな~♪」
軽~く和樹に送り出された冬至。
なんとなく釈然としないモノを感じながら、金棒を肩に担いで最前列へと向かった。
奇妙な圧力を振り撒きながら……。
「んじゃ、俺もそろそろ行くかな」
真言が冬至の後を追おうとしている。
騎士団が頑張ってはいるが、物理的な攻撃が効く相手は無数。
プラス、物理の効かないヤツもいる。
魔術騎士達は、レイスの対応に追われてゾンビどもの浄化にまでは、手が回らない。
とりあえずは、身動き出来なくするので精一杯だ。
なので。
「和樹。塩作れ。目一杯。出来るだけ」
レイス、ゾンビ、グール、スケルトン等々。
確実に、物理攻撃の効かない敵も居る。
レイスとかな。
霊体に物理とか、ムダだろう?
騎士達は、静かに闘志を燃やしている。
予定外の敵だが、自らの務めを果たすだけだ。
勇者達は、浮き足立っている。
ぶっちゃけ、使いモンにならない……。
まぁ、ね。
普通、そーだよね。
勇者達は、清々しいまでに一般人オンリーだ。
……約一名を覗いてな。
何処ぞのアトラクションじゃあるまいし、目の前にゾンビが群れでやって来る……なんて事は、いまだかつて無かった事だ。
そりゃあ、パニック再びだわ。
騎士団が前面に立つ形で、陣形が整えられた。
勇者達を庇う形だ。
死霊軍団との接触は、もうすぐ。
冬至が鈍器扱いしてる剣を手に、最前列──騎士達と魔術騎士が前面に立つ場所へと向かおうとするのを止めて、真言が言った。
「和樹よ。本気で鉄パイプとか作ってやれよ。冬至さん、どーせ撲殺オンリーだろーし」
「どーせって……おい」
「……ゾンビって、基本死んでますよね?」
真言の雑な言い種に、まぁ確かに、と思いながらもツッコまずにはいられない冬至。
あと尚人も。
和樹は、ナニをどんな風にしようかと考えながら、錬金術を発動。
足元の地面から、鉄やらナニやら集めて造り始めた。
顔をひきつらせながら、弓を構えて、凄い遠くでどっか行って! と、死霊軍団がこちらに近づいて来る前に、何とかしようとしている春香。
ホラー系は苦手のようだ。
「ゾンビって……人体構造的に何とか……」
頭の中に人体解剖図を思い浮かべながら、どのあたりを狙うべきか考えている千里。
こちらは、虫じゃないので結構平気なようだ。
物理攻撃一択の騎士達と、魔術も使う魔術騎士が、何とか夜営地前で死霊軍団の進行を食い止めている。
が、多勢に無勢。
勇者達も、守られているだけじゃダメだ、と覚悟を決めた者から戦列に加わり始めた。
対死霊、というコトで、なかなかの地獄絵図が繰り広げられている。
ゾンビ、グールと言えども、ヒトの形に近いモノを相手取って攻撃する事に拒否感を覚える勇者は多い。
彼らの2/3は使いモノにはならないだろう。
「出~来た♪」
緊迫した場面なのに、和樹は軽い調子で鈍器を精製し終えた。
「冬至さん、釘バット! ……金属製だけど」
「ここで敢えての釘バットとか……釘バット?」
真言は半笑いだ。
和樹が造りあげたのは……。
「なぁ……」
釘バット(?)を手渡された冬至は、微妙な顔で手渡されたモノをしみじみと見つめながら、言った。
「これ、どう見ても、釘バットじゃねぇよな?」
「うん……。どう見ても、鬼の金棒ですね」
尚人もまた、半笑いだ。
そーだね。
どこからどー見ても、金棒だね。
黒々として、トゲも鋭いしなんとなく禍々しい、地獄の鬼御用達の金砕棒だ。
少なくとも、おっさんが片手で持って軽々とぶん回していいようなシロモノじゃない。
……実際のところ、冬至は軽くぶん回しているが。
和樹よ……ナニを造った?
え? 冬至さんって、そんな力持ちだった?
驚愕の目で、金棒の使い勝手を確めてる冬至を見る春香と千里。
和樹が種明かしをした。
「あ、その釘バット、細かく釘を造るのが面倒くさくなったから、そんなフォルムになった。で、冬至さんにだけ軽く、比較的壊れにくいって概念を付与しといた。……絶対に、なんてモノはどーすりゃいいのか分からなかったからな。分かる範囲で壊れにくいってしといた。……んじゃ、物理攻撃ガンバってな~♪」
軽~く和樹に送り出された冬至。
なんとなく釈然としないモノを感じながら、金棒を肩に担いで最前列へと向かった。
奇妙な圧力を振り撒きながら……。
「んじゃ、俺もそろそろ行くかな」
真言が冬至の後を追おうとしている。
騎士団が頑張ってはいるが、物理的な攻撃が効く相手は無数。
プラス、物理の効かないヤツもいる。
魔術騎士達は、レイスの対応に追われてゾンビどもの浄化にまでは、手が回らない。
とりあえずは、身動き出来なくするので精一杯だ。
なので。
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