323 / 374
既に番外編じゃあない。30
しおりを挟む
金成潤子。
操影師のヒナ(生まれたて)。
自分の影を操る。
影を伸ばして、絡みつかせたり締めあげたりする。
百瀬珠美。
投術師のヒナ(生まれたて)。
石ころだろうが手裏剣、投げナイフだろうが、確実に狙った対象に命中させる。
2人共に、クラスでは大人しい、物静かな文系女子という認識であった。
……まさか王子達に夜這いをかけようとするとは、誰1人思いもよらず。
大人しく見える子が、その精神まで大人しいとは限らない……という証明になってしまった。
「清水は、まぁ……なんか納得、とゆーか」
「姫サマにまとわりついてたモンな~」
清水は、厨二っぷりを発揮して、勇者たるもの姫と結ばれる未来を……なんて。
夢見ちゃったんだろうな~。
部屋付きメイドを好きにしてるクセにな。
今回の標的となった王族達は、魔術師長が即行王城に連れ戻した。
王女がなんかゴチャゴチャ言ってたらしいが、問答無用で、な。
自分付きだった護衛騎士(思いの外肉食系女子)が、どうなるのか気になって仕方ないんだろーけど。
王子達は、狙ったエモノ(副担任とバスガイド)に、しっかりアピールして帰った。
王女も、勇者のヒナ4人との仲を深めたようだから、目的自体は達していたようだし。
王女としては、明確に勇者の職能を持つ4人の内、誰か1人でもキープ出来れば良いんだろう。
……そこに勇者オブ勇者のおっさんが入っていないのは、やはり年齢的な釣り合いを考慮した、というコトだろーか。
召喚した勇者全員に仕掛けたハニートラップを、華麗にスルーされたから、脈無し、と早々に切り捨てただけかもしれない。
まぁとにかく。
予想外なコトは、いつどんな形で起きるか分からないから予想外って言うんだぞー。
魔術師長は、王族を王城に送ってとんぼ返りでまた夜営地に戻ってきた。
忙しいな。
勇者関連以外の仕事はどうしてるのか……。
冬至が心配して「老人は労れよ……」と言ってんのに対し、尚人が「まあまあ」と宥めている。
とにかく。
やらかした4人の事情聴取……は、ともかくとして。
他の勇者の訓練はやっとかないと、ここまで何しに来たのか分からん……ってコトで。
やらかし4人衆は、団長と魔術師長と、一つの馬車に閉じ込もってOHANASHI しながらの移動となった。
他の勇者達と騎士団は、予定通りの行程で『嘆きの森』へGo !だ。
「……王城出て一泊目でやらかすとか、ナニ考えてんだろーな。まぁどーでもいいけど」
真言は、一連の出来事をざっくりと切り捨てた。
地味に疲労の溜まる馬車での移動。
休憩の度に、するっと姿を消しちゃあ何らかの獲物──狩った動物だったり、食用の木の実や野草、ハーブなんかも採取してくる真言。
そんな真言に、尚人は半分呆れ、半分感心していた。
採取してきた物を手に。
「よー、賢者殿。これ食える?」
と、聞いてくるのは、賢者の職能アップに協力してくれてるつもりなのか……?
「実際のところ、ソレが食用かどーか、分かってて採取してきてるんじゃないのかな?」
尚人が半笑いで、真言が今採取してきたハーブ類を鑑定しているその脇で。
和樹が。
「味噌……味噌味噌味噌……ついでに醤油……」
と、日本人的にたまらない調味料を、錬金術で作っている。
自分達だけが使う分には、さほどの量はいらないが。
うっかり醤油の味を覚えてしまった騎士達は。
「……なんか、こっちをものすごい目で見てるんだけど……」
和樹が微妙に怯えている。
しょうがないよね、今んトコ唯一の醤油生産者だもの。
作ったそばからこっちに寄越せ、とギラついた目で見られてるんだし。
「調味料関係握った和樹は強いな。誰もナンかしようとは思わないだろ。あと、確実に獲物を狩ってくる真言にも」
「む~……。あたし達も狩りの……。実際に狩ってくるのはムリでも、ナニか手伝った方がいいかな?」
「……木の実の採取とかなら……?」
冬至に千里、春香の3人は、狩りに同行すべきか考えだした。
……いまだにゲーム感覚が抜けていないようだ。
他の勇者達はナニをしてるか?
休憩なんだから、思いっ切り休んでるよ。
遠足気分は、だいぶ抜けてきたようだけどね。
操影師のヒナ(生まれたて)。
自分の影を操る。
影を伸ばして、絡みつかせたり締めあげたりする。
百瀬珠美。
投術師のヒナ(生まれたて)。
石ころだろうが手裏剣、投げナイフだろうが、確実に狙った対象に命中させる。
2人共に、クラスでは大人しい、物静かな文系女子という認識であった。
……まさか王子達に夜這いをかけようとするとは、誰1人思いもよらず。
大人しく見える子が、その精神まで大人しいとは限らない……という証明になってしまった。
「清水は、まぁ……なんか納得、とゆーか」
「姫サマにまとわりついてたモンな~」
清水は、厨二っぷりを発揮して、勇者たるもの姫と結ばれる未来を……なんて。
夢見ちゃったんだろうな~。
部屋付きメイドを好きにしてるクセにな。
今回の標的となった王族達は、魔術師長が即行王城に連れ戻した。
王女がなんかゴチャゴチャ言ってたらしいが、問答無用で、な。
自分付きだった護衛騎士(思いの外肉食系女子)が、どうなるのか気になって仕方ないんだろーけど。
王子達は、狙ったエモノ(副担任とバスガイド)に、しっかりアピールして帰った。
王女も、勇者のヒナ4人との仲を深めたようだから、目的自体は達していたようだし。
王女としては、明確に勇者の職能を持つ4人の内、誰か1人でもキープ出来れば良いんだろう。
……そこに勇者オブ勇者のおっさんが入っていないのは、やはり年齢的な釣り合いを考慮した、というコトだろーか。
召喚した勇者全員に仕掛けたハニートラップを、華麗にスルーされたから、脈無し、と早々に切り捨てただけかもしれない。
まぁとにかく。
予想外なコトは、いつどんな形で起きるか分からないから予想外って言うんだぞー。
魔術師長は、王族を王城に送ってとんぼ返りでまた夜営地に戻ってきた。
忙しいな。
勇者関連以外の仕事はどうしてるのか……。
冬至が心配して「老人は労れよ……」と言ってんのに対し、尚人が「まあまあ」と宥めている。
とにかく。
やらかした4人の事情聴取……は、ともかくとして。
他の勇者の訓練はやっとかないと、ここまで何しに来たのか分からん……ってコトで。
やらかし4人衆は、団長と魔術師長と、一つの馬車に閉じ込もってOHANASHI しながらの移動となった。
他の勇者達と騎士団は、予定通りの行程で『嘆きの森』へGo !だ。
「……王城出て一泊目でやらかすとか、ナニ考えてんだろーな。まぁどーでもいいけど」
真言は、一連の出来事をざっくりと切り捨てた。
地味に疲労の溜まる馬車での移動。
休憩の度に、するっと姿を消しちゃあ何らかの獲物──狩った動物だったり、食用の木の実や野草、ハーブなんかも採取してくる真言。
そんな真言に、尚人は半分呆れ、半分感心していた。
採取してきた物を手に。
「よー、賢者殿。これ食える?」
と、聞いてくるのは、賢者の職能アップに協力してくれてるつもりなのか……?
「実際のところ、ソレが食用かどーか、分かってて採取してきてるんじゃないのかな?」
尚人が半笑いで、真言が今採取してきたハーブ類を鑑定しているその脇で。
和樹が。
「味噌……味噌味噌味噌……ついでに醤油……」
と、日本人的にたまらない調味料を、錬金術で作っている。
自分達だけが使う分には、さほどの量はいらないが。
うっかり醤油の味を覚えてしまった騎士達は。
「……なんか、こっちをものすごい目で見てるんだけど……」
和樹が微妙に怯えている。
しょうがないよね、今んトコ唯一の醤油生産者だもの。
作ったそばからこっちに寄越せ、とギラついた目で見られてるんだし。
「調味料関係握った和樹は強いな。誰もナンかしようとは思わないだろ。あと、確実に獲物を狩ってくる真言にも」
「む~……。あたし達も狩りの……。実際に狩ってくるのはムリでも、ナニか手伝った方がいいかな?」
「……木の実の採取とかなら……?」
冬至に千里、春香の3人は、狩りに同行すべきか考えだした。
……いまだにゲーム感覚が抜けていないようだ。
他の勇者達はナニをしてるか?
休憩なんだから、思いっ切り休んでるよ。
遠足気分は、だいぶ抜けてきたようだけどね。
10
お気に入りに追加
574
あなたにおすすめの小説
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる