目標:撤収

庭にハニワ

文字の大きさ
上 下
309 / 374

既に番外編じゃあない。17

しおりを挟む
武具やら武器やらが重い!

ゲームなんかじゃ平気で装備してたんだろうが。
残念ながら、これは現実だ。
金属製の武器防具なんか、重くて当然だろう?
魔法でなんとか出来ないのか?
その為に、午前中にお勉強の時間を取ってるんだろ?
身体強化って魔法を使えるようにする為にな。
……世界情勢なんか、丸っと置き去りにして、な。
まあ、騎士団の人達みたいな金属製のフルプレートの西洋鎧着込め……って言う訳じゃないカモだけどな。

「ちなみに、鎖帷子も結構重いぞ」

装備の重量を思い、ウンザリした様子の冬至に更に一言付け加えた真言は。
深々とため息をついて、言った。

「……いい加減、妙なウワサを払拭したいトコなんだが」
「あー、あの……」

和樹がナニかを哀れむような目を真言に向けた。
尚人もまた、半笑いで真言を見る。
春香と千里は、なんとなく嬉しそうだ。
……女子って……。

「……職能閣下って時点で、諦めた方が良くね?」
「ナニを!?」

などと和樹らとひとしきりジャレ合った後、真言は。
ずっとこちらを見ていた団長へと視線を向けた。

「正直、面倒以外のナニモノでもないし、勘違いしたヤカラに絡まれんのも……鬱陶しいんだけどな」



脳ミソ筋肉製でも、第二騎士団長を尊敬し、慕う騎士達は多数居て。
団長に気に掛けてもらっている(騎士達には、そう見えている)クセに、団長の希望を叶えないとはナニ様だ! と、訓練にかこつけて地味な嫌がらせを仕掛けてきたりしている。
ランニング中に足を引っ掛けて転ばせようとしたり、真言1人をはぎれっ子にしようとしたり……。
小学生ですか? って聞きたくなるよーな、みみっちい嫌がらせだ。
実のところ、徒党を組んで真言を捕獲した上で、裸に剥いて団長の寝室に献上……なんて、アタマ沸いてんじゃねーの? って計画も、水面下で進行中だったりする。

……実行しようとするヤカラが、夜毎に1人、また1人と数を減らしていってるケドな。
そして、真言のトコの部屋付きメイドのお仲間が、1人、また1人と増えていってる……。

閣下、パネェっす。
マジで、いや、ガチで。



このところの体力作りで、真言がそこそこ……いやかなり動ける、と見た団長の熱視線は更に熱く。
副団長から、団長仕事して下さい! と活を入れられていた。

「本当に、一度っきりでいいから、団長と手合わせしてあげてくれませんか? それによって生ずる何らかの不都合は、私が責任を持って対処しますから」

副団長、真言にこっそりとお願いしていたりする。
かなり必死な様子だった。



……しょーがねーか。

真言は。
団長のところに行って、確認した。

「なあ団長さん? 希望はあくまでも手合わせだよな?」

団長は、嬉しそうだ。
満面の笑みで、何度も頷いている。

「んじゃ……武器魔法何でもアリの決闘、じゃなくて。無手の、素手での体術のみの手合わせならば……。一回だけ。勝っても負けても再戦無し、の、一回だけなら試しにやってみてもいい」

何気なく上から目線の言いぐさだった。



「ほほぅ……。で、結局のところ、どうなったのかね?」

その日の夜。
王と宰相に、第一騎士団(近衛)団長。
それと、暗部の長が勇者達について話していた。
目下の話題は、第二騎士団団長と、勇者の1人が手合わせした件について。
報告しているのは、暗部の長。
当事者の第二騎士団団長と、魔術師長はこの場には居ない。
2人共に、精神的にちょっと……。

「それが……その場に居た者達はおろか、透視していた魔術師達も……我々ですら団長と彼の手合わせを見る事が出来なかったのです」
「……は?」



暗部の長が言うには。
第二騎士団団長と、閣下の職能を持つ青年との手合わせは、閣下が友人の錬金術師に作らせた不可視の結界の中で行われた。
2人だけが結界に入り、騎士団や勇者達が不満を叫ぶ中。
時間だけが流れて。
……と、言っても、ほんの少しの……湯が沸く程度の時間で。
結界が解除された時、そこには。

膝から崩れ落ちた団長と、軽く肩を回しながら。

「まぁ……こんなモンか」

と、平然と立っている閣下の姿があった。

ザワつく騎士達と勇者達。

……中でいったいナニがあったのか……?







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

隠された第四皇女

山田ランチ
ファンタジー
 ギルベアト帝国。  帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。  皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。 ヒュー娼館の人々 ウィノラ(娼館で育った第四皇女) アデリータ(女将、ウィノラの育ての親) マイノ(アデリータの弟で護衛長) ディアンヌ、ロラ(娼婦) デルマ、イリーゼ(高級娼婦) 皇宮の人々 ライナー・フックス(公爵家嫡男) バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人) ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝) ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長) リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属) オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟) エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟) セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃) ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡) 幻の皇女(第四皇女、死産?) アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補) ロタリオ(ライナーの従者) ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長) レナード・ハーン(子爵令息) リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女) ローザ(リナの侍女、魔女) ※フェッチ   力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。  ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

私は、忠告を致しましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。  ロマーヌ様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ?

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

処理中です...