目標:撤収

庭にハニワ

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既に番外編じゃあない。11

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*今回ちょい短いです……。



彼方から飛来したのは、1本の長剣だった。
どちらかといえば、実用的な装飾の少ない長剣。
目を引くのは、柄に嵌め込まれた直径3㎝ほどの宝玉。
透明な中に、ナニかがゆらゆらと揺らめき微光を放っている。
そして、見るからに何らかの力を宿していた。

今は、真言に叩き落とされて地面に転がっている。

が、カタカタと小さく音を立てている。



その長剣を目にして、血相を変えたじーさんと団長。
慌てる2人を無視して、叩き落とされた長剣はふわり、と浮き上がり。

「……あ?」

真言の目の前に移動して、そのままその形を変え始めた。

「……やっぱり本当に良いモノは、大事に隠してやがったか……」

自分を使え、とばかりにその形を変え、ちょっと長めの──真言の望む形へと変化した剣を前に、真言は少々呆れていた。



精霊武具──精霊の宿る、自我を持つ武具。
使い手を選ぶ。
その為に、自らの形状すら変化させる。

そんな事は知らない真言は。

「あー……。もうちょい刀身長く──そうそう……」

自分好みに注文を出していた。
ある意味、大物だ。

茫然自失のじーさん──魔術師長と団長だったが。
いち早く正気を取り戻した団長が。

「ま……さか、本当に精霊武具が主を──?」

宙に浮かんだ剣に手を伸ばしたが。
剣は、すいっ……と空中を移動して……と、いうより逃げて。
さあ! とばかりに真言の前で光を増した。

真言は。
ある意味空気を読まなかった。
明滅する剣に、言い放つ。

「お前の使い勝手が良かったら、使ってやらん事もない」

思いっ切り上から目線の、傲慢な発言。
それでもいい、とばかりに明滅する剣。

すると──。

「またかよっ!」
「なんと!」
「おお!」



訳も分からず、ただただ口をポカンと開けて、この状況を見ている事しか出来ない召喚者達や城の兵士達の目の前で。
あり得ない事が再び起きた。

1つ……どころか。
ざっと数えて50以上。
剣だけではなく、槍や杖まで真言目掛けて突っ込んできた。
……矢ではなく、弓本体が飛んできたのは、笑うトコだろうか……?

真言は、目の前に浮かんでいた剣を手にした。
そして、自分目掛けて飛来する、武具すべてを傷付けずに叩き落とした。

連続して響く、鋭い金属音──。
今まで日常で聞く事のな無かったその音に、召喚者達は怯えた。
本人達の無意識のうちに、後ろへと後退りしていた。
どこかウンザリした表情を隠そうともしない、真言との間に距離を置こうとして。

平然としていたのは、それなりに長い付き合いの和樹くらいのモノで。

「すげーな、真言」

と、半笑いだった。

……それで済ませるコイツもスゲーな、と、おっさん──冬至は思った。



じーさんと団長は、それぞれ似て非なる事に思いを馳せていた。
じーさんは、魔術師長として精霊武具──意志を持つ武具への探究心が。
団長は、飛来した余多の武具を平然と、すべて叩き落とした真言の技量に興味津々だった。
どこまで闘えるのか、自分で確かめたい……などと、ちょっと物騒な事を企んでいた。



当のご本人たる真言は、というと。

「あー……結構イケるか?」

自分好みに変化した剣を、しみじみと眺めて……。
と、いうよりむしろ冷徹な視線で観察して。

「……よし。採用」

真言の手の中の剣が、盛大に瞬いた。

真言の足元に散らばった多種多様な武具が、不満そうにカタカタと鳴り始め──。
ちょっとしたポルターガイスト状態になった。

「「いやーっ! お化けーっ!」」

矢口と森野が、抱き合って悲鳴を上げた。
正直お前らの悲鳴の方が……。
その悲鳴に触発されたのか、心霊現象? とさわさわする召喚者達だった。



自分の方を使え、とばかりにガタガタする余多の武具に対し、後から来たヤツは黙ってろ! とばかりに明滅する手の中の片刃剣に、真言は。

「……やかましい」

たった一言で黙らせ、更にガタガタと騒ぎ立てる足元の武具に。

「……お前ら、どーせなら今イチ頼り無い、俺の友人達に手を貸してやってくれないか?」

そう言うと、更に続けて。

「まぁ、選ぶのはお前らのようだが、な」

そして視線をオカルト現象? とどこかワクワクしている和樹──和樹達の方へと向けた。







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