目標:撤収

庭にハニワ

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既に番外編じゃあない。6

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一夜明けて。

被召喚者達は、全員食堂での朝食を済ませると。
昨日とは違う、だが同じくらいの広さの部屋へと連れて行かれた。

白ヒゲにずるずるローブのじーさんが、同じようなローブ姿の10人程の男女を指揮して何やらやっている。
被召喚者達は、ローブの男女の言うがままに、1列に並ばされて。

白ヒゲじーさんが、説明を始める。

「えー……今ワシが持っているこの石は……」

長くなるので、そこそこ省略すると。
手のひらに乗るサイズの白っぽい石は、1人1個の使い捨てになる、判明石、と言うアイテムだそうだ。
この石を手に、自分の職能は──と問いかけると、石が割れて中から職能が刻み込まれたプレートが現れる……とかナンとか。
プレートのサイズはドッグタグ程度。
職能には、成長するモノと既に確定してるモノとあるそうだ。
また、何らかの理由で増減もあるとか。
ちなみに、人の手による加工は不可能、だそうだ。

「何その謎道具」

和樹がぽつり、と言うと、真言もまた。

「何で昨日のウチにやらなかったんだよ、その職能判定」

軽く疑問を口にすると。
近くに居た生徒の1人が、振り返って真言の疑問に答えた。

「何でも、予定以上の召喚者が現れてしまったから、あの判明石の在庫が足りなくなったそうだよ」
「「委員長」」

真言と和樹が、声を揃えて言った。
おっさんが、前方ではしゃいでいる三十路五十路のおっさんコンビをシラケた目で見ながら、委員長と呼ばれた少年に聞いた。

「お前さん、そんな情報、どこで仕入れた?」

委員長は、はしゃぐ大人どもと違い落ち着いた、冷静なおっさんの様子に、ふ、と笑った。
どうやらマトモな大人の存在に、安心したらしい。

「改めまして。僕はクラス委員をやらせてもらってる、小林尚人と言います。えと、あなたは──」
「おぅ、しがないトラック運ちゃんの、佐伯冬至ってモンだ。おいちゃんでもおっさんでも、おっちゃんでも好きに呼んでくれや」

おっさんは、気さくだった。
委員長は、ちょっと考えて。

「……では、冬至さん」

おっさんは、急に下の名前で呼ばれてびつくりした。

「そうきたか」
「なぁ、委員長。何で名前呼び?」

和樹が、素直に疑問を委員長にぶつけた。
その隣りで、真言も頷いている。
委員長は、呆れた顔を隠さずに、前方のはしゃぐおっさんコンビといまだにぐずぐずしてる、大人なはずの成人女子2人を見てから言った。

「あんな連中と、この人を同列にはとても出来ないな、と」

なるほど納得。

あー……と、盛んに頷いた、真言と和樹だった。



「……まぁ、好きに呼べって言ったのはおれだからな。別にいいか。……で、だ。委員長サンは、何で判明石とやらの情報持ってたんだ?」

おっさんは、話を戻した。
すると、委員長は。
少しイヤそうな顔をして、言った。

「……部屋付きだから、と言いはるメイドから聞き出しました。勇者様のお役に立つんですぅ、とかナンとか言いながらすり寄ってきたから、ソイツが現状知ってるだけの情報を、聞き出せるだけ聞き出しました。その後で、『僕らの役に立ちたいのなら、そのくらいはしてもらわないと……』そう言って、スパイの真似事を命じてから部屋から放り出しました」
「わー、なんか真言がやりそうなコトを……」
「やってねぇよ。俺んトコのメイドは、ただの色ボケだったし。そーゆー方向で役に立つとは、とても思えなかったしな」

……ってコトは、使えそうなメイドだったら、スパイに仕立て上げたりしたのか……。
おっさんは、ちょっと真言を見る目を改めた。



などとやっているうちに、前方では。
職能とやらが判明した者が出始めたようだ。

勇んで最初に判明石を手にした、厨二満載な担任教師は。

「……拳闘師の卵って、ナンだよ……」

当人的に、とっても不満な結果だったようだ。

その後も、槍術師の卵だの剣術師の卵だの、魔術師の卵だの治癒師の卵だの……。

「卵って付いてるってコトは、未熟者! 修行しろや! ってコトなんだろうけど」

勇者召喚しといて、勇者! ってのが出て来ないとか笑える。

真言は、半笑いで既に判明させてる連中を眺めている。
とりあえず、あまり性格はよろしくない、と思われる。



真言達の番がやってきた。

おっさんは。

「んじゃ、ちょいと行ってくる」
「その次は、僕ですかね」

委員長と連れ立って、場を取り仕切る白ヒゲじーさんの元へと行った。

他の、判明した者達が一喜一憂してる中。
ローブ集団がざわめいた。
そして、おっさんがなんとなくゲンナリした顔で戻ってきて。

「勇者オブ勇者ってナンだよ……ふざけてんのか?」
「僕なんか、賢者のヒナですよ」

真言と和樹は、顔を見合せて。

「問答無用で、おっさんが勇者ってコトなんじゃね? んで、委員長のヒナってのは、卵より早くその職能になるってコトじゃねーの?」

真言がそう言うと、2人はなんかモヤモヤしたモノを感じつつも、一応納得? したようだ。
とりあえず、厨二な担任からおっさんに向けられる、トゲだらけの視線が……。

「……ラスト、オレらかな」

和樹は、真言と共にローブ集団の元へと向かった。







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