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組んでみた、らしい。
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「サメの肝、5匹分な」
肩に、尻尾が2本ある猫を乗せた青年が、ギルドに依頼された品物を納品しに来た。
ここは、マドゥーニーギルド。
海沿いの町にあるギルドである。
最近、クラーケンが討伐された関係なのか、大量の真珠の産地と認識された町でもある。
本日の受付担当、キツネの獣人──コウにおキツネ様と呼ばれていた──は、納品書に依頼完了の印を押して、青年に質問した。
「肝以外の素材──サメ肉とか皮とかは、どうしました?」
「にゃ。身は美味しくいただいたのにゃ」
青年の肩にいた猫又は、ぐるぐると喉を鳴らしている。
実に満足そうだ。
えー……。
サメ5匹分のサメ肉、全部食べちゃったっていうワケ?
おキツネ様は、内心冷や汗が滝のように流れ落ちている。
いや、だってさ?
人の肩にちんまり乗っかる大きさの猫が、この大きさの肝を胎内に持ってたサメを、5匹分ペロッといったって……。
どんだけ食うんだ、この猫……。
無いわー……という目で猫又を見るおキツネ様。
その視線に気付いたのか、猫又は慌てたように言いつのる。
「にゃ! あたしが一匹で、サメ5匹も食ったと思ってるにゃ? さすがにそれは無いにゃ。友達連中と一緒に、ちょっとサメ肉パーティーしただけにゃ!」
「……踊り食いって、あーゆーの言うのかな……。狂喜乱舞する猫達が……」
青年の──ジェイドの目は、どこか遠くを見ていた……。
しばし沈黙……。
は、と我に返ったおキツネ様は。
「……そう、サメ肉以外の素材ですよ。皮とか歯とか、あと骨とか……」
皮や歯はともかく、骨なんか何に使うのか……。
まぁ、素材として欲しいって人がいるんならいいか。
ジェイドは、詳しく考えるのを止めた。
「サメ皮とかなら銀竜さんが、まとめて預かっててくれてる……って、あれ? 銀竜さんは?」
ジェイドはキョロキョロと周囲を見渡して、解体場の方から戻ってくる銀竜を見つけて。
「銀竜さん!」
「にゃ!」
銀竜の元に飛んで行った。
あまりに急な動きに、猫又がツメを立ててジェイドの肩にしがみついてるぞ。
お前……虎種じゃなかったのか。
その行動は、飼い主になついたワンコだ。
「……獣化してないのに、ブンブン振り回す尻尾が見えるようだ……」
おキツネ様は、なんとなく生温かくジェイドを見送った。
報酬はちゃんと貰うように。
銀竜に窘められたジェイドは、わたわたと受付にやってきて。
「ごめん、サメの肝の報酬……」
「あいよ」
おキツネ様は、ちょっと頼りないお子様を見る目でジェイドに報酬を渡すと。
後方で見守る姿勢に入っている銀竜に、視線を向けた。
コウ達が国に帰っても、銀竜がここに居ることで、また彼らが戻ってきてくれるのでは……。
と、儚い望みを持つ者が多いのは、ここマドゥーニーギルドだけではない。
ガランギルドでも、いまだに彼らが再びやって来るのを待ちわびているらしい。
コウ達と一度接触しただけのラクナギルドも。
銀竜によると、彼らの故郷は遠く、遥か遠くにあるらしい。
故に、再び彼らに会えるかどうかは運次第、というところらしいが。
この人も、謎な人ではあるんだよな~……。
おキツネ様は、颯爽とギルドを後にする銀竜を見送った。
ジェイドが仔犬のように、その後を追っていく。
……やっぱりワンコ系?
虎って、猫科だよね?
あれ?
首を傾げて2人を見送ると、ジェイドの肩に乗っていた猫又が顔だけ振り向いて、にやり、と笑った。
猫のにやにや……ある意味レア……。
ちょっと得した気分になったおキツネ様だった。
銀竜と、猫又連れのジェイドが去ったギルドでは、さまざまな企みが渦巻いていた。
「……あの子達はもう居ないけど……銀竜さんは残ってくれたのね。……相変わらず良い男……」
「アイツらならば、勧誘しても良いか?」
「んー、銀竜さんの、あの腕は捨てがたい」
「あの若いのは使えるのか?」
「猫又かわいい」
……なんか視点が違うのもいるが。
優良物件2人+α。
本人達の預かり知らぬところで、争奪戦がこっそりと幕を開けていた。
中には。
「嫁と子供が居てもかまわない!」
という、銀竜の愛人希望もいたりする。
……銀竜は、のらりくらりとかわしているが。
ジェイドも、色恋方面で狙われているぞ。
猫又母よ。
息子の嫁チェック、がんばれー。
肩に、尻尾が2本ある猫を乗せた青年が、ギルドに依頼された品物を納品しに来た。
ここは、マドゥーニーギルド。
海沿いの町にあるギルドである。
最近、クラーケンが討伐された関係なのか、大量の真珠の産地と認識された町でもある。
本日の受付担当、キツネの獣人──コウにおキツネ様と呼ばれていた──は、納品書に依頼完了の印を押して、青年に質問した。
「肝以外の素材──サメ肉とか皮とかは、どうしました?」
「にゃ。身は美味しくいただいたのにゃ」
青年の肩にいた猫又は、ぐるぐると喉を鳴らしている。
実に満足そうだ。
えー……。
サメ5匹分のサメ肉、全部食べちゃったっていうワケ?
おキツネ様は、内心冷や汗が滝のように流れ落ちている。
いや、だってさ?
人の肩にちんまり乗っかる大きさの猫が、この大きさの肝を胎内に持ってたサメを、5匹分ペロッといったって……。
どんだけ食うんだ、この猫……。
無いわー……という目で猫又を見るおキツネ様。
その視線に気付いたのか、猫又は慌てたように言いつのる。
「にゃ! あたしが一匹で、サメ5匹も食ったと思ってるにゃ? さすがにそれは無いにゃ。友達連中と一緒に、ちょっとサメ肉パーティーしただけにゃ!」
「……踊り食いって、あーゆーの言うのかな……。狂喜乱舞する猫達が……」
青年の──ジェイドの目は、どこか遠くを見ていた……。
しばし沈黙……。
は、と我に返ったおキツネ様は。
「……そう、サメ肉以外の素材ですよ。皮とか歯とか、あと骨とか……」
皮や歯はともかく、骨なんか何に使うのか……。
まぁ、素材として欲しいって人がいるんならいいか。
ジェイドは、詳しく考えるのを止めた。
「サメ皮とかなら銀竜さんが、まとめて預かっててくれてる……って、あれ? 銀竜さんは?」
ジェイドはキョロキョロと周囲を見渡して、解体場の方から戻ってくる銀竜を見つけて。
「銀竜さん!」
「にゃ!」
銀竜の元に飛んで行った。
あまりに急な動きに、猫又がツメを立ててジェイドの肩にしがみついてるぞ。
お前……虎種じゃなかったのか。
その行動は、飼い主になついたワンコだ。
「……獣化してないのに、ブンブン振り回す尻尾が見えるようだ……」
おキツネ様は、なんとなく生温かくジェイドを見送った。
報酬はちゃんと貰うように。
銀竜に窘められたジェイドは、わたわたと受付にやってきて。
「ごめん、サメの肝の報酬……」
「あいよ」
おキツネ様は、ちょっと頼りないお子様を見る目でジェイドに報酬を渡すと。
後方で見守る姿勢に入っている銀竜に、視線を向けた。
コウ達が国に帰っても、銀竜がここに居ることで、また彼らが戻ってきてくれるのでは……。
と、儚い望みを持つ者が多いのは、ここマドゥーニーギルドだけではない。
ガランギルドでも、いまだに彼らが再びやって来るのを待ちわびているらしい。
コウ達と一度接触しただけのラクナギルドも。
銀竜によると、彼らの故郷は遠く、遥か遠くにあるらしい。
故に、再び彼らに会えるかどうかは運次第、というところらしいが。
この人も、謎な人ではあるんだよな~……。
おキツネ様は、颯爽とギルドを後にする銀竜を見送った。
ジェイドが仔犬のように、その後を追っていく。
……やっぱりワンコ系?
虎って、猫科だよね?
あれ?
首を傾げて2人を見送ると、ジェイドの肩に乗っていた猫又が顔だけ振り向いて、にやり、と笑った。
猫のにやにや……ある意味レア……。
ちょっと得した気分になったおキツネ様だった。
銀竜と、猫又連れのジェイドが去ったギルドでは、さまざまな企みが渦巻いていた。
「……あの子達はもう居ないけど……銀竜さんは残ってくれたのね。……相変わらず良い男……」
「アイツらならば、勧誘しても良いか?」
「んー、銀竜さんの、あの腕は捨てがたい」
「あの若いのは使えるのか?」
「猫又かわいい」
……なんか視点が違うのもいるが。
優良物件2人+α。
本人達の預かり知らぬところで、争奪戦がこっそりと幕を開けていた。
中には。
「嫁と子供が居てもかまわない!」
という、銀竜の愛人希望もいたりする。
……銀竜は、のらりくらりとかわしているが。
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猫又母よ。
息子の嫁チェック、がんばれー。
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