目標:撤収

庭にハニワ

文字の大きさ
上 下
280 / 374

真っ正面からケンカ売ってる。

しおりを挟む
モノは試しだ。
スズにも《壺中天》作らせてみるか?

軽い気持ちで提案すると。

「いや、今更スズ君に作らせる必要ないでしょ」

ミヤさんに、ストップかけられた。
……まぁ、それもそーだな。
元の世界に帰ったら、必要無い知識と技術だもんなぁ。
……スズ達が、元の世界で魔法使えないコトを祈る。
マジで。
いや、ガチで。



ギルド長とリーランさんは、出来上がった《壺中天》を手に、あーだこーだと話している。
リドラさんは、ぴとっとギルド長にくっついて、《壺中天》を不思議そーに見ている。
……仲良しだな。
あー、うん。
好きにすれば?



リッカさんが百物語再び、本当は残酷なおとぎ話をやってるけどさ。

「……で。継母の王妃は、真っ赤に焼けた鉄の靴を……」
「「……(ガクガクブルブル)……」」
「……白○姫って、そんな話だったか……?」

すげー楽しそーなリッカさんに、ガクブルってる猫科親子。
スズは……自分の知ってる話とは微妙に違うおとぎ話に首をひねっている。

……おとぎ話って、元来は相当残酷なモノだったよーだしな。
確か『赤○靴』ってのも、最後女の子の足を足首のところで切り落として。
靴を履いた足首だけが、踊りながらどっかに行く……ってオチじゃなかったか?
うろ覚えだけどな。

まぁ、夜中じゃないし、ロウソク立ててもないし。
思いっ切り百物語の作法とかガン無視してるから、別に何も起こらないだろーしな。

ただ単に、俺らとの温度差がハンパないだけだ。
うん。



「……こっちはちょっと考えられないくらいの豪華仕様になるわね。……っていうか、普通に家として暮らせるんじゃないかしら?」
「建築業界に、真っ正面からケンカ売っちゃってますよねー。ギルドとしては、こっちの……」

ギルド組は何か具体的に話を始めている。
その前に、まず作れるかどーか、じゃねーかと思うんだが……。

「「あ」」

うん。
我に返ってくれてナニより。

ま、今回は素材提供するからさ。
リーランさんや。
まず一回、作ってみ?

俺は、ざらざらと魔石やら鉱石やらテーブルに出すと、ギルド組は。

「……これだけの素材、集めるのにどれだけかかると……。費用もだけど、手間とか……」
「うわ、魔銀に魔宝石……。質も……」
「……これ、採算取れるかしら……?」

そこらへんは、実験を繰り返して。
良い素材使って、魔法特化の人が頑張って練度上げれば……うっかり城なんか、出来るかもな?

「「そこまで豪華なモノはいらないわ(よ)」」

えー。
どーせなら、最高級目指してみれば?

しれっと煽る俺を、ミヤさんが生温かい目で見て。

「……君、完全にヒトゴトだよね」

ボソッと言った。

……いや、俺らはもう帰るんだからさ。
どーしても商売したいってゆーんなら、地元民が頑張んなきゃ……な?



さあ。
モノは試しだ。
リーランさん、チャレンジしてみよーか?

リーランさんは《壺中天》現物を手にしたまま、レシピを見てナニやらぶつぶつ言ってる。
そんなパンダを見ながら、リドラさんが言った。

「……コウ。これの中も見たいんだけど」

あ。
そーだな。
実際に展開させてみるか。

「えーと……使用時に必要なモノは……。ちょっと、ランちゃん。一度、実際に展開させてみるから、どちらか貸してちょうだい?」

……リーランさんは、俺らが作ったばかりの《壺中天》を2個とも、ボクの! といわんばかりにわしっと掴んで離さない。
子供か。
5歳児か。

……しょーがねーか。
ちょっと失礼しますよーっと。

俺はギルド長らに断りを入れて、一旦外に出た。
適当な器に、適当に土を盛って再びギルド長の家に。

「わざわざナニをしに行くのかと思ったら……土?」
「……砂じゃ、ダメなのか?」

ギルド長とリドラさんが、2人揃って小首を傾げている。
うん。
ダメ。
土が良いんだよ。

では実際に体験していただきましょ~。
リーランさん。
どっちか貸してくれ。



で。
ギルド組とリドラさんに、実際に展開した《壺中天》に入っていただいて。

「……やっぱり建築業界にケンカ売ってるわ。販売するんなら、コウ君のじゃなくて、ミヤ君が作ったくらいのヤツじゃないと……」

その辺は、ギルド長らのさじ加減じゃね?

ギルド長とリーランさんは、実際に《壺中天》を作ってみた。
さすがに初めてなので、狭いワンルームがやっと、だった。
四畳半とか……お一人様用か。
まさに寝るだけ、だな。



さーて。
魔法具については、こんなモンでいいか?
魔改造馬車は、ナイショにしておくか?
……ギルド組の様子見てると、ナイショにする方が良いかな?







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】

ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
おなじみ異世界に転生した主人公の物語。 転生はデフォです。 でもなぜか神様に見込まれて魔法とか魔力とか失ってしまったリウ君の物語。 リウ君は幼児ですが魔力がないので馬鹿にされます。でも周りの大人たちにもいい人はいて、愛されて成長していきます。 しかしリウ君の暮らす村の近くには『タタリ』という恐ろしいものを封じた祠があたのです。 この話は第一部ということでそこまでは完結しています。 第一部ではリウ君は自力で成長し、戦う力を得ます。 そして… リウ君のかっこいい活躍を見てください。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

悪役令嬢の中身はハイスペック男子

黒木メイ
ファンタジー
この小説の主人公ユーリ・シュミーデルは所謂乙女ゲームの『悪役令嬢』……のはずだった。 前世の記憶を持つ主人公。ただし、彼女の前世は乙女ゲームについて全く知識を持たないハイスペ男子だった。 アセクシュアル気味な彼女(彼)は、乙女ゲームの世界観を壊しながら突き進んでいく。 ※執筆活動復活に伴い、予告無しで、修正加筆していきます。ご了承ください。 尚、小説家になろう・カクヨムでも掲載中。

エルティモエルフォ ―最後のエルフ―

ポリ 外丸
ファンタジー
 普通の高校生、松田啓18歳が、夏休みに海で溺れていた少年を救って命を落としてしまう。  海の底に沈んで死んだはずの啓が、次に意識を取り戻した時には小さな少年に転生していた。  その少年の記憶を呼び起こすと、どうやらここは異世界のようだ。  もう一度もらった命。  啓は生き抜くことを第一に考え、今いる地で1人生活を始めた。  前世の知識を持った生き残りエルフの気まぐれ人生物語り。 ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバ、ツギクルにも載せています

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

処理中です...