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トラウマえぐった、らしい。
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人魚の現実について学んだガキとジーさんは、ものすご~くガッカリしてた。
どーやらガキは、人魚って生き物に夢を見ていたらしいな。
ガキは、ジーさんに言った。
「……何のためにここまで来たんだ……。ボクは、清らかなお姫様が見たかったんだ……。それなのに、姉上達のような事をするだなんて……」
……おい。
お前の姉ってコトは、お貴族サマだろ?
お貴族サマのご令嬢が人魚並みの肉食系って……。
アレか。
肉食系のご令嬢に幻滅してるところに、真珠の涙がどーのって話を聞いて、清らかな乙女ってイメージ持っちゃったか。
で、人魚見たい!
出来れば欲しい!
とか思っちゃったのか。
そしてソコに大人の思惑が絡んだか。
人魚を手に入れて、散々泣かせて真珠の涙を流させて、貴婦人方に売ってウハウハ……とか考えたか。
考えるのは勝手だけどな。
そこで大人が動くんじゃなくて、ガキにやらせるってのはどーなんだよ、ジーさん?
じとっとした目線が、ジーさんに向けられた。
……ジーさん、ガキの専属じゃなくて、家付きの執事かナンかか。
優先するのは、ガキよりも家=家の繁栄か。
……まぁ、いいけどね、別に。
俺個人には関係ない話だし。
「坊っちゃん、せめて人魚だけでも見に行きませんか。遠くから見るだけならば、麗しい乙女のはずですから……」
ジーさんが、ガキを慰めるよーに言った。
まぁ確かに?
ガキとジーさんとおっさんじゃ、人魚も誘惑しようと寄って来ることもないだろ。
でもな。
ここで更に問題が。
「……今度は何ですか……」
ジーさんは、どこか疲れたよーに呟いた。
俺はあっさりと言った。
もう、マドゥーニーには人魚は来ないぞ。
「「え?」」
いや、だからな?
自分勝手にやらかしまくった人魚どもは、竜種のライカンたるギルド長だけじゃなく。
南方面を統べる黒の御方こと、バカデカいジンベイザメにも目ぇ付けられててな。
マドゥーニーには近づけないんだよ。
近づいたら命が無いからな。
つまりな。
お前ら、ムダ足だったってコトだ。
ガキとジーさんは、がっくりと崩れ落ちた。
そんな様子に哀れみを覚えたのか。
ギルド長は。
「この町には人魚は来ない……ってだけの話だから。そうね……。海沿いの、この先のリシュの町は、ワタシの結界からは外れてるから、リシュに行けば……運が良ければあなた達のお望みのモノが見られるんじゃないかしらね」
そう言って、リシュの町への移動を進めていた。
真珠は……まあ、諦めろ。
住人の中で、譲っても良いってヤツ、探すの面倒だろ?
多分いないと思うし。
それに、ナンやかんや言うだろう姉どもにはさ。
そんなに真珠が欲しいなら、身内にねだるんじゃなくて男から贈られる、くらいの良い女になればいいって言ってやれ。
ばあちゃんと母親は……親父がナンとかするべきじゃね?
ガキにすべてやらせよーって方が、どーかしてると思うぞ。
お前は、真珠を手に入れる為じゃなく、人魚を見る為に海沿いの町に来た。
そーゆーコトで、いいんじゃねぇの?
さて。
ガキとジーさんはそれでいいとして、だ。
あのおっさんは、ナニがどーしてあんな状態になったんだ?
おっさんは、いまだに落ち込んだ様子で、その目は中空をさ迷い……。
正直、なんかアブないおっさんと化している。
おっさんのこの状態を説明出来るのは、お前らしかいないワケなんだが。
ジーさん、何か知らないか?
その場にいた全員の目が、ジーさんに集中した。
ガキがポツリ、とジーさんに言った。
「じい……ボクもランスがこんな風になるの、初めて見るんだ。何か知ってるんなら、ボクにも教えて欲しい……」
お子様の、真っ直ぐな瞳にジーさんは。
「くっ……」
何故か、衝撃を受けていた。
……まさかお前も妙な性癖持ってるワケじゃ、ないだろうな?
そんなコトしてる間も、おっさんは虚ろなままだった。
コホン、とわざとらしく咳をして。
ジーさんは、話し始めた。
今でこそガキの家──子爵家だった──に仕えているおっさんだったが。
若い頃は他国のギルドに所属してたらしい。
その国で活動中、おっさんのチームはとあるチームとモメたそーだ。
若い、駆け出しに毛が生えたくらいに見えたそのチームは、おっさんのチームと公開でやり合ったそーで。
モメた切っ掛けってのが、おっさんのチームのお調子者が若いチームの1人に、要らんチョッカイ出したせい……だそーで。
さっさとゴメンナサイしとけば良かったのに、妙なプライドが邪魔して、対決する羽目になったとさ。
見た目で判断して失敗したって案件だな。
その若いチーム、人族と魔人族の混合チームで、若いのは見た目だけで中身はおっさんチームよりもベテランが混じってたんだと。
その若いチームは、魔法と物理と両方使えるオールラウンダーだけで構成されてて。
おっさん──当時は中堅の兄ちゃんだった──は、短距離転移しまくる若いチームに翻弄されて、最後は体力尽きたところに一発物理攻撃食らって終わったそーだ。
短距離転移に物理で一撃。
……さっき似たよーなコトが起きたよーな?
ひょっとして、何らかのトラウマだったか?
俺ら、トラウマえぐっちゃったか?
どーやらガキは、人魚って生き物に夢を見ていたらしいな。
ガキは、ジーさんに言った。
「……何のためにここまで来たんだ……。ボクは、清らかなお姫様が見たかったんだ……。それなのに、姉上達のような事をするだなんて……」
……おい。
お前の姉ってコトは、お貴族サマだろ?
お貴族サマのご令嬢が人魚並みの肉食系って……。
アレか。
肉食系のご令嬢に幻滅してるところに、真珠の涙がどーのって話を聞いて、清らかな乙女ってイメージ持っちゃったか。
で、人魚見たい!
出来れば欲しい!
とか思っちゃったのか。
そしてソコに大人の思惑が絡んだか。
人魚を手に入れて、散々泣かせて真珠の涙を流させて、貴婦人方に売ってウハウハ……とか考えたか。
考えるのは勝手だけどな。
そこで大人が動くんじゃなくて、ガキにやらせるってのはどーなんだよ、ジーさん?
じとっとした目線が、ジーさんに向けられた。
……ジーさん、ガキの専属じゃなくて、家付きの執事かナンかか。
優先するのは、ガキよりも家=家の繁栄か。
……まぁ、いいけどね、別に。
俺個人には関係ない話だし。
「坊っちゃん、せめて人魚だけでも見に行きませんか。遠くから見るだけならば、麗しい乙女のはずですから……」
ジーさんが、ガキを慰めるよーに言った。
まぁ確かに?
ガキとジーさんとおっさんじゃ、人魚も誘惑しようと寄って来ることもないだろ。
でもな。
ここで更に問題が。
「……今度は何ですか……」
ジーさんは、どこか疲れたよーに呟いた。
俺はあっさりと言った。
もう、マドゥーニーには人魚は来ないぞ。
「「え?」」
いや、だからな?
自分勝手にやらかしまくった人魚どもは、竜種のライカンたるギルド長だけじゃなく。
南方面を統べる黒の御方こと、バカデカいジンベイザメにも目ぇ付けられててな。
マドゥーニーには近づけないんだよ。
近づいたら命が無いからな。
つまりな。
お前ら、ムダ足だったってコトだ。
ガキとジーさんは、がっくりと崩れ落ちた。
そんな様子に哀れみを覚えたのか。
ギルド長は。
「この町には人魚は来ない……ってだけの話だから。そうね……。海沿いの、この先のリシュの町は、ワタシの結界からは外れてるから、リシュに行けば……運が良ければあなた達のお望みのモノが見られるんじゃないかしらね」
そう言って、リシュの町への移動を進めていた。
真珠は……まあ、諦めろ。
住人の中で、譲っても良いってヤツ、探すの面倒だろ?
多分いないと思うし。
それに、ナンやかんや言うだろう姉どもにはさ。
そんなに真珠が欲しいなら、身内にねだるんじゃなくて男から贈られる、くらいの良い女になればいいって言ってやれ。
ばあちゃんと母親は……親父がナンとかするべきじゃね?
ガキにすべてやらせよーって方が、どーかしてると思うぞ。
お前は、真珠を手に入れる為じゃなく、人魚を見る為に海沿いの町に来た。
そーゆーコトで、いいんじゃねぇの?
さて。
ガキとジーさんはそれでいいとして、だ。
あのおっさんは、ナニがどーしてあんな状態になったんだ?
おっさんは、いまだに落ち込んだ様子で、その目は中空をさ迷い……。
正直、なんかアブないおっさんと化している。
おっさんのこの状態を説明出来るのは、お前らしかいないワケなんだが。
ジーさん、何か知らないか?
その場にいた全員の目が、ジーさんに集中した。
ガキがポツリ、とジーさんに言った。
「じい……ボクもランスがこんな風になるの、初めて見るんだ。何か知ってるんなら、ボクにも教えて欲しい……」
お子様の、真っ直ぐな瞳にジーさんは。
「くっ……」
何故か、衝撃を受けていた。
……まさかお前も妙な性癖持ってるワケじゃ、ないだろうな?
そんなコトしてる間も、おっさんは虚ろなままだった。
コホン、とわざとらしく咳をして。
ジーさんは、話し始めた。
今でこそガキの家──子爵家だった──に仕えているおっさんだったが。
若い頃は他国のギルドに所属してたらしい。
その国で活動中、おっさんのチームはとあるチームとモメたそーだ。
若い、駆け出しに毛が生えたくらいに見えたそのチームは、おっさんのチームと公開でやり合ったそーで。
モメた切っ掛けってのが、おっさんのチームのお調子者が若いチームの1人に、要らんチョッカイ出したせい……だそーで。
さっさとゴメンナサイしとけば良かったのに、妙なプライドが邪魔して、対決する羽目になったとさ。
見た目で判断して失敗したって案件だな。
その若いチーム、人族と魔人族の混合チームで、若いのは見た目だけで中身はおっさんチームよりもベテランが混じってたんだと。
その若いチームは、魔法と物理と両方使えるオールラウンダーだけで構成されてて。
おっさん──当時は中堅の兄ちゃんだった──は、短距離転移しまくる若いチームに翻弄されて、最後は体力尽きたところに一発物理攻撃食らって終わったそーだ。
短距離転移に物理で一撃。
……さっき似たよーなコトが起きたよーな?
ひょっとして、何らかのトラウマだったか?
俺ら、トラウマえぐっちゃったか?
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