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ホラーとスプラッタの違いって?
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で。
俺とミヤさんの繰り広げた血の惨劇について詳しく話すにあたり、耐性の無い一般人2人──スズとリッカさんな──は、ギルド長の部屋の隣り──猫科親子がお泊まりした部屋に、一時避難した。
……そーいやスズって、ホラーはともかくスプラッタはダメだったな……。
うん、忘れてた。
……って、ジェイも顔色悪いな。
でもお前、当事者だろ。
全部その目で見てただろーが。
ジェイは青い顔で、力無く言った。
「……だから、思い出したくないんだろーが……」
げんなりしてるジェイを、猫又母が慰めている。
ジェイに頬ずりしたりして。
……やっぱり、スズ隣りに行ってて正解だわ。
すっげー羨ましそーに、猫科親子をガン見したことだろう。
あ、そーいやリッカさんって、あれだけムダな知識ため込みまくってんだから、スプラッタの一つや二つ、別に何てコト無いんじゃねーの?
と、俺が不思議がっていたらミヤさんが。
「あのね……リッカ君は、あれでも一応女の子、なんだからね?」
いや、だからこそな。
女子の方が、野郎より血に強いじゃんか、根本的に。
「フィクションと現実を一緒にするんじゃないよ」
そー言って、ミヤさんは俺の頭をぺし、と叩いた。
痛くはないけど……なんか釈然としない……。
むう、と口をへの字に曲げてると、ギルド長が言った。
「ほらほら、おフザケはここまでにして、話を進めましょ。……じゃ、コウ君達が錬金術師の館に着いたあたりからよろしくね?」
うぇ~い。
………。
………………。
……!………!?………。
玄関ホールの惨劇については、まあこんなモンかな?
途中、ジェイが人イヌどもに死にたくなきゃ逃げろって叫んだり、糖分補給したりしたけど。
ギルド長とリーランさんは。
「……確かに、やってる事はサメ狩りの時と変わらないわね……」
「そうですねー。屋内っていうのと、やっぱり対象が人のカタチしてるってトコがネックですかね~……」
微妙に納得してた。
んじゃ、続きな。
病原体のカタマりと化していた人ウサギは──。
……。
…………!
…………………。
これまた詳しく話したところ。
「それは……」
なんか絶句してた。
えー、だってヤバいだろ?
こーゆーのは確実に処理しとかなきゃ、な。
ギルド長は微妙な顔しながら言った。
「ねぇ、コウ君? その、焼却っていうのはともかく……」
ともかく、でいーんだ?
「いいわよ。それは火属性魔法でしょうからね。問題はその前の、玄関ホールで使った魔法よ。……あなた、暗黒魔法使ったわね?」
あ、うん。
……いや、この世界の魔法じゃないけど、説明メンドくさいから暗黒魔法でいーか。
塵芥にして消し飛ばすって時点で、暗黒魔法だな。
それが何か?
「何か? じゃないわよ、もう……」
ギルド長は、深々とため息をついた。
俺とミヤさんは、顔を見合せて首を傾げた。
なんかあるのか?
「対外的な言い訳として、暗黒魔法の魔導書一冊、ギルドに販売しましたよね? モノを塵芥にしてキレイに片付けるって、掃除にもってこいな魔法だって」
「暗黒魔法を掃除に便利って……。そんな使い方するの、あなたくらいよ、コウ君……」
えー。
あるモンは使おうや。
確かに魔素はめっちゃ食うけどな。
俺とミヤさんは、今イチ納得してない。
が、ギルド組──ギルド長とリーランさんは、各々ため息ついたり、頭抱えたり……。
頭を抱えるパンダは、かわいいだけだ。
そして、ジェイと猫又母の猫コンビは。
「……暗黒魔法って、そーゆー使い方するモノだったっけ?」
「……にゃ。あたしが知ってる限りじゃ、そんなノンキな魔法じゃにゃかったハズにゃんだが……」
サワサワと囁き合っていた。
ヤバさ加減は、今イチ分かってなかった。
まあ、失われた魔法とか言われてるらしいからな~、暗黒魔法って。
……俺の中で、“秘色”がちょっとご機嫌ナナメになってるけどな。
“シロ”と“クロ”……光と闇の魔導書が宥めてくれてる。
仲良しで、何より。
まあとりあえず。
血の惨劇に関しては、こんなカンジかな。
聴衆は、ぐったりしてた。
血まみれ、についてではなく、失われた魔法の使用について……。
んじゃ、次行くか。
それとも、ちょっと休憩するか。
全員の気がゆるんだ時、不意にドアがノックされた。
……何だ?
俺とミヤさんの繰り広げた血の惨劇について詳しく話すにあたり、耐性の無い一般人2人──スズとリッカさんな──は、ギルド長の部屋の隣り──猫科親子がお泊まりした部屋に、一時避難した。
……そーいやスズって、ホラーはともかくスプラッタはダメだったな……。
うん、忘れてた。
……って、ジェイも顔色悪いな。
でもお前、当事者だろ。
全部その目で見てただろーが。
ジェイは青い顔で、力無く言った。
「……だから、思い出したくないんだろーが……」
げんなりしてるジェイを、猫又母が慰めている。
ジェイに頬ずりしたりして。
……やっぱり、スズ隣りに行ってて正解だわ。
すっげー羨ましそーに、猫科親子をガン見したことだろう。
あ、そーいやリッカさんって、あれだけムダな知識ため込みまくってんだから、スプラッタの一つや二つ、別に何てコト無いんじゃねーの?
と、俺が不思議がっていたらミヤさんが。
「あのね……リッカ君は、あれでも一応女の子、なんだからね?」
いや、だからこそな。
女子の方が、野郎より血に強いじゃんか、根本的に。
「フィクションと現実を一緒にするんじゃないよ」
そー言って、ミヤさんは俺の頭をぺし、と叩いた。
痛くはないけど……なんか釈然としない……。
むう、と口をへの字に曲げてると、ギルド長が言った。
「ほらほら、おフザケはここまでにして、話を進めましょ。……じゃ、コウ君達が錬金術師の館に着いたあたりからよろしくね?」
うぇ~い。
………。
………………。
……!………!?………。
玄関ホールの惨劇については、まあこんなモンかな?
途中、ジェイが人イヌどもに死にたくなきゃ逃げろって叫んだり、糖分補給したりしたけど。
ギルド長とリーランさんは。
「……確かに、やってる事はサメ狩りの時と変わらないわね……」
「そうですねー。屋内っていうのと、やっぱり対象が人のカタチしてるってトコがネックですかね~……」
微妙に納得してた。
んじゃ、続きな。
病原体のカタマりと化していた人ウサギは──。
……。
…………!
…………………。
これまた詳しく話したところ。
「それは……」
なんか絶句してた。
えー、だってヤバいだろ?
こーゆーのは確実に処理しとかなきゃ、な。
ギルド長は微妙な顔しながら言った。
「ねぇ、コウ君? その、焼却っていうのはともかく……」
ともかく、でいーんだ?
「いいわよ。それは火属性魔法でしょうからね。問題はその前の、玄関ホールで使った魔法よ。……あなた、暗黒魔法使ったわね?」
あ、うん。
……いや、この世界の魔法じゃないけど、説明メンドくさいから暗黒魔法でいーか。
塵芥にして消し飛ばすって時点で、暗黒魔法だな。
それが何か?
「何か? じゃないわよ、もう……」
ギルド長は、深々とため息をついた。
俺とミヤさんは、顔を見合せて首を傾げた。
なんかあるのか?
「対外的な言い訳として、暗黒魔法の魔導書一冊、ギルドに販売しましたよね? モノを塵芥にしてキレイに片付けるって、掃除にもってこいな魔法だって」
「暗黒魔法を掃除に便利って……。そんな使い方するの、あなたくらいよ、コウ君……」
えー。
あるモンは使おうや。
確かに魔素はめっちゃ食うけどな。
俺とミヤさんは、今イチ納得してない。
が、ギルド組──ギルド長とリーランさんは、各々ため息ついたり、頭抱えたり……。
頭を抱えるパンダは、かわいいだけだ。
そして、ジェイと猫又母の猫コンビは。
「……暗黒魔法って、そーゆー使い方するモノだったっけ?」
「……にゃ。あたしが知ってる限りじゃ、そんなノンキな魔法じゃにゃかったハズにゃんだが……」
サワサワと囁き合っていた。
ヤバさ加減は、今イチ分かってなかった。
まあ、失われた魔法とか言われてるらしいからな~、暗黒魔法って。
……俺の中で、“秘色”がちょっとご機嫌ナナメになってるけどな。
“シロ”と“クロ”……光と闇の魔導書が宥めてくれてる。
仲良しで、何より。
まあとりあえず。
血の惨劇に関しては、こんなカンジかな。
聴衆は、ぐったりしてた。
血まみれ、についてではなく、失われた魔法の使用について……。
んじゃ、次行くか。
それとも、ちょっと休憩するか。
全員の気がゆるんだ時、不意にドアがノックされた。
……何だ?
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