目標:撤収

庭にハニワ

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猫又って、わりとその辺にいる。

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スズが愛して止まないこの辺りのボス猫的存在、青灰色のデカい猫、スミレ(命名スズ)。
ずっと鎖に繋がれていて、足腰弱ってジェイに抱えられてる猫又母の元へ行くと話しかけた。
俺らにも分かるよーな、明確な言葉でしゃべった。

……この猫、ただの猫じゃない?

「……スミレ?」

スズが恐るおそるスミレに声を掛けると、スミレは。

「にゃ……びつくりさせたようにゃ。すまないのにゃ。実は……」

そう言うと、くるりと後ろを向いて尻尾をこっちに見せてきた。
……うん。
普通の猫の尻だ。
尻尾も普通……って、え?
増えた?

「にゃあの尻尾も2本なんだにゃあ」

そう言って、こっちに向き直るスミレ。

「普段は必要にゃいから、見えないように引っ込めてるにゃ。こいつはぶきっちょにゃから、出しっぱにゃしだけどにゃ」
「にゃんことばが抜けにゃいあんたに言われるのは……」
「おみゃえも抜けきって無いにゃ」
「にゅうぅ……」

あー、なんだ。
青灰色のデカい猫と三毛猫又が、顔つき合わせて何やらにゃごにゃご言ってる様は、ただひたすらに心なごむ光景以外のナニモノでもないんだが。
スズが微妙にトロけた顔してるし、リッカさんですらほんわかしてる。
ミヤさんと銀竜は、あまり興味は無いらしい。
しれっとした顔で、スルー中。
そして猫又母の移動手段と化したジェイは。

「母者……良かった……」

とにかく涙目で喜んでいた。

俺としては、にゃんことばってのが微妙に気になるが。
……まあ、いーか。



猫又2匹でにゃごにゃご言ってる話を、ざっくりとまとめると。
この2匹は妖猫と分類されるよーだ。
普通の猫よりも、魔素に対する耐性とか、体内にため込める魔素の量とかが優れているらしい。
そして長寿、とか。
ついでに言うと、尻尾の数は最大で9本まで増えるそーだ……。

九尾の狐ならぬ、九尾の猫か……。
狐のもふっとした尻尾が9本だと、迫力満点だが。
猫の細い尻尾が9本になっても、あんまし迫力無いよーな……。

と、想像して半目になってたら。

「長毛種の猫の尻尾が9本とか。……毛玉?」

スズよ。
何を想像してほっこりしてんだよ。
マドゥーニーギルドの受付担当の、おキツネ様に謝れ。
なんとなく。



などとぐだぐだ意味の無いことを話して、程よく時間を潰したところで。
そろそろいーか? とギルドに向かった。
積もる話が尽きそーにない猫又ズには、後日改めて、ゆっくり話してもらうって方向で。

さて。
ギルドに着くと、既ににリーランさんからざっくり話を聞いてたらしく。
即行でギルド長の部屋に通された。

「あぁら、お帰んなさぁーい! 待ってたわよぉ~♪」

……うん。
ギルド長は、相変わらず細マッチョのおネェさんだ。
そしてその横には、パンダが控えている。
働いてるよな~、リーランさん。
……お疲れ様。
後でこっそりミルクレープ(ノーマル)1ホール、進呈しよう。

「さ、1から10まで、きっちり話してもらうわよ~」

めっちゃ張り切ってるギルド長。

……どーしよう。
話す前からくたびれそーな……。
自然とため息が洩れた。



長い話になるだろう、ということで。
全員ソファセットに座ってのお話、となった。

椅子が足りん?
大丈夫だ問題無い。
錬金術で、でっち上げりゃいーのさ。
どーせ使うのは今日だけだし、簡単なモノでいいだろ。

で、全員着席。
まずは、救出班から行こうか。

………。
………………。
…………………………。

いや~……。
銀竜の過去に出てきたヤツまで出てくるとは、な~。
しかも、思いっ切りバケモノ化して。
ジェイは本当に、何でもかんでも拾っていったんだな。
……そりゃ、さっくり殺って終わりにしたくもなるよな。
話の間、銀竜は。

「……」

無言。
既に過去の話、のよーだ。
その辺の割り切りっぷりは、いっそ清々しいほどで。

……よっぽど迷惑してたんだな。

良かったな。
もう二度と、お前に絡んでくることは無いぞ。







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