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はなしもどって。
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あの変態錬金術師が、自分は50年前にムリヤリこの世界に送られた……とかナンとかほざいてるが。
俺としては、ぶっちゃけどーでもいい話で。
ミヤさんは気になるよーだけど、俺はまったく気にならない。
変態が喚いているのを、思いっ切りよくスルーする。
ミヤさんは、ふんふん……と興味深げに聞いてるけどな。
んじゃ、このスキに。
俺はちょっと毒でもまいてこようか。
うっすい嫌がらせを、な。
部屋のすみっこに、バリケード築いて隠れている人ネコどもの所に行く。
こそっと目だけ覗かせて、こっちの様子を伺ってた人ネコどもは。
俺が近寄ってくると分かると、ぴゃっ、と頭を引っ込めて。
でもちょっとだけ……とこっちを覗いては、ぴゃっ、と引っ込んで……。
という、小動物っぽい動きを繰り返してる。
「おい、お前ら」
俺が声を掛けると、人ネコどもはおそるおそる顔を出して。
……なんだその、いじめないで? って雰囲気は。
……スズがここにいなくて良かった……のかもしれない。
そんなことを考えさせるくらい、人ネコどもの見た目は猫っぽくてかわいいんだろう。
ネコミミついてるだけなんだけどな。
だかしかし。
その瞳はどこか枯れきった……。
と、ゆーか、何かを諦めたよーな虚無感を漂わせていて。
……こいつら、見た目より苦労してる?
「……お前ら、こっち見てたんだろ?」
そう言うと、人ネコどもはこっくりと頷いた。
ちなみに。
ベースになった猫は、小さい順に白・黒・茶トラのよーだ。
耳と髪の色が同じだ。
あと尻尾も。
「まあ、見てたんなら分かると思うが。あの通り、あの変態はヨワッヨワになって、今はただのガリガリのおっさんだ。何つーの? 今までにアレにやられた事をやり返すんなら、今がチャンス──おすすめだぞ? あの変態、どーせお前らにやりたい放題やらかしてたんだろーし。少しくらいはお返ししてもいいと思うぞ? 俺らの間じゃ、ケンカの借りとか恨みつらみは、基本相場の3倍返しなんだが。……この辺の相場は知らないな。一人でやるのが怖いなら、3人でやりゃあいいと思うが、どーか?」
まあ、言外にやるなら今だ、とけしかけてるワケなんだが。
「そこいらに隠れてる人イヌどもだって、言いたいことくらいあるんじゃねーの? ……全部ぶちまけちまえよ。あ、後、殺すのは無し、な。死んで楽になんかさせるな。……後の事は、ギルドあたりがナンとかするだろーしな」
人ネコどもは、顔を見合わせて──って。
何だ?
ミヤさんの方から、人ネコどもがビクッとするくらい、大きな音がした。
振り向くと、ミヤさんは立ち位置をちょっとだけ変えていて。
ミヤさんが立っていたはずの所には、変態が床にべたん、とうつ伏せに倒れ込んでいた。
……あー、ミヤさん?
何が起きたし?
ミヤさんは、変態をそのまま放置してこっちに歩いてきた。
「急にボルテージ上がって、僕に飛びかかってきたんだよ、あの変態。だから避けるついでに、足に糸を絡みつかせて転がしたんだけど」
さっきのは、その音かよ。
ものの見事に車に引かれて、平たくなったカエルみたいになってる変態は。
「うぅ……」
呻いていた。
思いっ切りよく顔面から行ったらしい。
ま、どーでもいいか。
「なぁミヤさんや。もうここに用は無いよな? さっさとギルドに行こうぜ。スズ達が待ってるだろーし」
これ以上、コイツに関わる気も無いわ。
完全に、やる気をなくした俺に、ミヤさんは。
「あー……うん。アキたんだね、君……。じゃ、行こうか……」
半笑いになってた。
と、いうわけで。
俺らはさっさと館を出た。
後ろの方で、何やら叫ぶ声がしてたんだがスルーで。
後の事は、ラクナギルドに丸投げ、でいいか。
あの変態の技術とか知識とか、ギルドで取り込むのか、国が出てくるのか知らんけど。
地味に需要があるっぽい人獣どもの生みの親だ。
たとえその辺で色々やらかしてるとしても、すぐに排除、とはならないだろーよ。
少なくとも、人獣どもに関する様々なノウハウを握ってる間は、な。
何処かの組織に洩らした時点で用済みになるだけだ。
その後、どーなるか……。
明るい未来は無いだろうな。
俺としては、ぶっちゃけどーでもいい話で。
ミヤさんは気になるよーだけど、俺はまったく気にならない。
変態が喚いているのを、思いっ切りよくスルーする。
ミヤさんは、ふんふん……と興味深げに聞いてるけどな。
んじゃ、このスキに。
俺はちょっと毒でもまいてこようか。
うっすい嫌がらせを、な。
部屋のすみっこに、バリケード築いて隠れている人ネコどもの所に行く。
こそっと目だけ覗かせて、こっちの様子を伺ってた人ネコどもは。
俺が近寄ってくると分かると、ぴゃっ、と頭を引っ込めて。
でもちょっとだけ……とこっちを覗いては、ぴゃっ、と引っ込んで……。
という、小動物っぽい動きを繰り返してる。
「おい、お前ら」
俺が声を掛けると、人ネコどもはおそるおそる顔を出して。
……なんだその、いじめないで? って雰囲気は。
……スズがここにいなくて良かった……のかもしれない。
そんなことを考えさせるくらい、人ネコどもの見た目は猫っぽくてかわいいんだろう。
ネコミミついてるだけなんだけどな。
だかしかし。
その瞳はどこか枯れきった……。
と、ゆーか、何かを諦めたよーな虚無感を漂わせていて。
……こいつら、見た目より苦労してる?
「……お前ら、こっち見てたんだろ?」
そう言うと、人ネコどもはこっくりと頷いた。
ちなみに。
ベースになった猫は、小さい順に白・黒・茶トラのよーだ。
耳と髪の色が同じだ。
あと尻尾も。
「まあ、見てたんなら分かると思うが。あの通り、あの変態はヨワッヨワになって、今はただのガリガリのおっさんだ。何つーの? 今までにアレにやられた事をやり返すんなら、今がチャンス──おすすめだぞ? あの変態、どーせお前らにやりたい放題やらかしてたんだろーし。少しくらいはお返ししてもいいと思うぞ? 俺らの間じゃ、ケンカの借りとか恨みつらみは、基本相場の3倍返しなんだが。……この辺の相場は知らないな。一人でやるのが怖いなら、3人でやりゃあいいと思うが、どーか?」
まあ、言外にやるなら今だ、とけしかけてるワケなんだが。
「そこいらに隠れてる人イヌどもだって、言いたいことくらいあるんじゃねーの? ……全部ぶちまけちまえよ。あ、後、殺すのは無し、な。死んで楽になんかさせるな。……後の事は、ギルドあたりがナンとかするだろーしな」
人ネコどもは、顔を見合わせて──って。
何だ?
ミヤさんの方から、人ネコどもがビクッとするくらい、大きな音がした。
振り向くと、ミヤさんは立ち位置をちょっとだけ変えていて。
ミヤさんが立っていたはずの所には、変態が床にべたん、とうつ伏せに倒れ込んでいた。
……あー、ミヤさん?
何が起きたし?
ミヤさんは、変態をそのまま放置してこっちに歩いてきた。
「急にボルテージ上がって、僕に飛びかかってきたんだよ、あの変態。だから避けるついでに、足に糸を絡みつかせて転がしたんだけど」
さっきのは、その音かよ。
ものの見事に車に引かれて、平たくなったカエルみたいになってる変態は。
「うぅ……」
呻いていた。
思いっ切りよく顔面から行ったらしい。
ま、どーでもいいか。
「なぁミヤさんや。もうここに用は無いよな? さっさとギルドに行こうぜ。スズ達が待ってるだろーし」
これ以上、コイツに関わる気も無いわ。
完全に、やる気をなくした俺に、ミヤさんは。
「あー……うん。アキたんだね、君……。じゃ、行こうか……」
半笑いになってた。
と、いうわけで。
俺らはさっさと館を出た。
後ろの方で、何やら叫ぶ声がしてたんだがスルーで。
後の事は、ラクナギルドに丸投げ、でいいか。
あの変態の技術とか知識とか、ギルドで取り込むのか、国が出てくるのか知らんけど。
地味に需要があるっぽい人獣どもの生みの親だ。
たとえその辺で色々やらかしてるとしても、すぐに排除、とはならないだろーよ。
少なくとも、人獣どもに関する様々なノウハウを握ってる間は、な。
何処かの組織に洩らした時点で用済みになるだけだ。
その後、どーなるか……。
明るい未来は無いだろうな。
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