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知らない野郎だ。
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ミヤさんが扉を蹴破ると、そこは。
「……理科室?」
周囲に漂う薬品臭。
全体的に、白い部屋。
理科室でよく見る器具──ビーカー、フラスコ、試験管などがずらっと並んでいる。
得体の知れないイキモノ(多分)の標本が、瓶詰めになってずらずらっと……。
それに、そこら中に金属やら鉱石やらナニかの部位やら転がって……。
とりあえず、アレだ。
映画なんかで良く見る、マッドなサイエンティストの実験室だな。
本人だけが楽しい、イカれた遊び場だ。
その実験室の奥の方。
ムダに立派な椅子に、でん、と座って……。
……椅子に迫力負けしてる、なんか貧相なヤツが、どーやら諸悪の根源のよーで。
自分の膝の上に1人、左右に1人ずつ、人イヌを侍らせ──って。
人イヌじゃない。
人ネコか、アイツら。
耳尖ってるし、尻尾細いし。
そして、全員もれなく目が死んでいる。
なんだこの犯罪臭……。
「……この変態錬金術師……本当に変態なんだね。あの人ネコども、子供じゃないか」
ミヤさんが、汚物を見る目で変態を見ている。
変態が膝の上に乗っけてるのは、幼稚園児ぐらいの子供の姿で。
左右に居るのも小学生くらい……。
イヤそーにしてるミヤさんに、ちょっと聞いてみた。
「こーゆーのもロリコンって、言うんですかね?」
ミヤさんは、あ~イヤだ、と言わんばかりに顔をしかめて。
「ロリコンってのは、女の子対象だったと思うけど……。詳しく知りたいんなら、後でリッカ君に聞けばいいんじゃないかな」
余計なコトまで教えてくれると思うよ。
そー言って、ミヤさんは、力無く笑っている。
まぁ……笑うしかないのか……な?
膝の上に乗せた、死んだ目をした幼稚園児くらいの人ネコの、あちらこちらを撫で回しながら変態錬金術師はニヤニヤと笑っている。
見た目、20代前半。
日陰育ちのひょろひょろしたモヤシ、みたいな男。
……コイツ、50年前からこっちの世界で色々やらかしてるんだよな?
なんでこんな見た目なんだ?
……まぁ、どーでもいいか。
俺には関係ないわ。
んじゃ、とにかく〆るか。
さて、と身構えた俺らに、変態錬金術師は。
「久しぶりだよねえ、マコト君~?」
……は?
俺は、自分の眉間にくっきりとシワが寄ったのを感じた。
「コウ? 知り合いかな?」
「いやまったく知らんです」
ミヤさんが怪訝そうに聞いてくるのに、速攻で答えた。
冗談じゃない。
あんな変態、知り合いにいるもんか。
俺らが冷たい目を変態に向けてると、変態は。
「え、マコト君? ボクだよ、ボク!? 知らないはずは無いよねぇマコト君!」
妙に慌てている。
いや、知らないって。
初対面だって本気で。
「ウソだよぉ……。だってボク達は……」
膝の上にいた人ネコが、つるっと逃げ出したことにも気付かず、1人ヘコんでいる変態。
「よーし、人ネコども。痛い目見たくなきゃ、どっかに逃げとけ~。俺らに手ぇ出さないんなら、こっちも何もしないぞ~」
「部屋のすみっこにでも、固まってればいいよ。僕らの邪魔にならないように、ね」
俺らの言葉に、人ネコどもは顔を見合せて頷き合うと、たたたーっとこの実験室のすみっこに行って。
……おお、机と椅子でバリケード作って、……あれ、隠れてるつもりか?
尻尾が出てるぞ。
あと、こっちの様子を覗くなとは言わないから、モグラたたきみたいにヒョコヒョコするのはヤメい。
なんか笑える。
1人、妙に落ち込んでる変態。
なんだか気持ち悪いコトを、ぶつぶつと呟いている。
今のうち、だな。
ミヤさん、あの変態の動きを封じてくれませんかね?
「あぁ、良いよ」
ミヤさんは、右手をうちひしがれてる変態に向けた。
瞬間。
「ん?」
変態は、自分に絡みつくナニかに気付いたよーだが。
……もう、遅い。
椅子に座ったまま、変態は身動き出来なくなった。
「え? 何これ、え?」
キョロキョロと周囲を見回してるが、何の意味もない行動だ。
さて、と。
じゃ、お前の体内の魔素をいただくぞ。
「……理科室?」
周囲に漂う薬品臭。
全体的に、白い部屋。
理科室でよく見る器具──ビーカー、フラスコ、試験管などがずらっと並んでいる。
得体の知れないイキモノ(多分)の標本が、瓶詰めになってずらずらっと……。
それに、そこら中に金属やら鉱石やらナニかの部位やら転がって……。
とりあえず、アレだ。
映画なんかで良く見る、マッドなサイエンティストの実験室だな。
本人だけが楽しい、イカれた遊び場だ。
その実験室の奥の方。
ムダに立派な椅子に、でん、と座って……。
……椅子に迫力負けしてる、なんか貧相なヤツが、どーやら諸悪の根源のよーで。
自分の膝の上に1人、左右に1人ずつ、人イヌを侍らせ──って。
人イヌじゃない。
人ネコか、アイツら。
耳尖ってるし、尻尾細いし。
そして、全員もれなく目が死んでいる。
なんだこの犯罪臭……。
「……この変態錬金術師……本当に変態なんだね。あの人ネコども、子供じゃないか」
ミヤさんが、汚物を見る目で変態を見ている。
変態が膝の上に乗っけてるのは、幼稚園児ぐらいの子供の姿で。
左右に居るのも小学生くらい……。
イヤそーにしてるミヤさんに、ちょっと聞いてみた。
「こーゆーのもロリコンって、言うんですかね?」
ミヤさんは、あ~イヤだ、と言わんばかりに顔をしかめて。
「ロリコンってのは、女の子対象だったと思うけど……。詳しく知りたいんなら、後でリッカ君に聞けばいいんじゃないかな」
余計なコトまで教えてくれると思うよ。
そー言って、ミヤさんは、力無く笑っている。
まぁ……笑うしかないのか……な?
膝の上に乗せた、死んだ目をした幼稚園児くらいの人ネコの、あちらこちらを撫で回しながら変態錬金術師はニヤニヤと笑っている。
見た目、20代前半。
日陰育ちのひょろひょろしたモヤシ、みたいな男。
……コイツ、50年前からこっちの世界で色々やらかしてるんだよな?
なんでこんな見た目なんだ?
……まぁ、どーでもいいか。
俺には関係ないわ。
んじゃ、とにかく〆るか。
さて、と身構えた俺らに、変態錬金術師は。
「久しぶりだよねえ、マコト君~?」
……は?
俺は、自分の眉間にくっきりとシワが寄ったのを感じた。
「コウ? 知り合いかな?」
「いやまったく知らんです」
ミヤさんが怪訝そうに聞いてくるのに、速攻で答えた。
冗談じゃない。
あんな変態、知り合いにいるもんか。
俺らが冷たい目を変態に向けてると、変態は。
「え、マコト君? ボクだよ、ボク!? 知らないはずは無いよねぇマコト君!」
妙に慌てている。
いや、知らないって。
初対面だって本気で。
「ウソだよぉ……。だってボク達は……」
膝の上にいた人ネコが、つるっと逃げ出したことにも気付かず、1人ヘコんでいる変態。
「よーし、人ネコども。痛い目見たくなきゃ、どっかに逃げとけ~。俺らに手ぇ出さないんなら、こっちも何もしないぞ~」
「部屋のすみっこにでも、固まってればいいよ。僕らの邪魔にならないように、ね」
俺らの言葉に、人ネコどもは顔を見合せて頷き合うと、たたたーっとこの実験室のすみっこに行って。
……おお、机と椅子でバリケード作って、……あれ、隠れてるつもりか?
尻尾が出てるぞ。
あと、こっちの様子を覗くなとは言わないから、モグラたたきみたいにヒョコヒョコするのはヤメい。
なんか笑える。
1人、妙に落ち込んでる変態。
なんだか気持ち悪いコトを、ぶつぶつと呟いている。
今のうち、だな。
ミヤさん、あの変態の動きを封じてくれませんかね?
「あぁ、良いよ」
ミヤさんは、右手をうちひしがれてる変態に向けた。
瞬間。
「ん?」
変態は、自分に絡みつくナニかに気付いたよーだが。
……もう、遅い。
椅子に座ったまま、変態は身動き出来なくなった。
「え? 何これ、え?」
キョロキョロと周囲を見回してるが、何の意味もない行動だ。
さて、と。
じゃ、お前の体内の魔素をいただくぞ。
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