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……で? っていう。

なんだかとっても帰りたい。

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垣根の影から転がるような勢いで出てきたのは、ちょっと頭部が寂しいおっさんだった。

え、誰?
会った事あったっけ?

見た事あるような、無いような……?

キョトンとした私だったが、おっさんの後に続いて元婚約者が。

「……」

ものすご~く物言いたげな表情で出てきた。

あぁ……。
頭部の寂しいおっさん、ブラン侯爵じゃないか。
元婚約者の父親の。



おっさんの正体発覚したところで、垣根に隠れてたらしい王サマが、王弟と近衛を引き連れてぞろぞろと出てきた。

……隠れてた意味あるの?
最初っから王妃サマと一緒にスタンバイしてた方が、良かったんじゃない?
何やってんの、王族サマ方あんどブラン侯爵。

思わず、遥か遠くに視線を向けた私だ。

うん、天気良いな……。




王妃サマが、王サマに出てくるのが早い、と愚痴っている。
そしてケーリッシュ嬢が。

「……予定より早うございますわ」

などと、王サマ方に物申している。

なんてゆーか。

この場に集まった面子を見るに、これまた主旨の違った茶番劇の予感が……。



侍女やら従僕やらが、増えた人数分の席やら茶やら菓子やらの支度をサクッと済ませ、そそくさと退場。

改めて。

王弟サマ──ケーリッシュ嬢の新たな婚約者だそうだ。
おっさんだけど、いいのか? ケーリッシュ嬢よ。

なんでそんなまだ発表されてない話を私にするのか。

……さっきから私に圧を飛ばしてたのは、王弟だったもよう。

おっさんが若い娘を嫁にもらうって、はりきっちゃったのか。
今から若い嫁溺愛の方向なのか。

柄の悪い、商人崩れな令嬢(笑)なんかと交流して、嫁が悪影響受けたらマズいって?

とりあえず。王弟サマには生温かい視線をプレゼントして。

今更何か用でもあるんですか?

ブラン侯爵家のお二人?




侯爵家同士の婚約破棄──いや、今回の場合は解消か?
元婚約者と非常に仲睦まじかった義妹は、魔術塔から生きて出てこられるかすら不明な状況だし。
今更何事もなかったかのように、婚約継続とか無い。

何故か、すがるような目でこっちを見てくるブラン家の人々。

そして、王族サマ方とケーリッシュ嬢からも様子を伺われている私。

なんだ、これ?

私、帰ってもいい?







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