26 / 109
……で? っていう。
何もしてくれなかったし。
しおりを挟む
飛竜の魔石。
高濃度の魔力の塊。
魔術師はもちろん、魔道具の職人が全力で欲しがる素材だ。
いや~靴と扇作るのに、飛竜素材持ち込んだら、代金いらんから、余った素材──革とか骨とか──をくれ!って懇願されたもんな。
素材の出どころ秘密にしてくれるんなら、爪も付けようって言ったら、職人達、その場に五体倒地した。
まぁ、そのくらいの高価かつ希少な素材なワケだよ、竜種の素材って。
当然、王家とはいえそうそうお手軽にゲットできるようなモノじゃないし。
この機会に、可能な限り差し出させて、そして……。
な~んて、まだ手にしてない飛竜素材の使用法をウキウキ企んでるっポい垣根の向こう。
なんか浮かれた気配がしてる。
気が早いんじゃね?
あと。
確かに、私はやろうと思えばいつでも飛竜を狩る事は可能だけどさ。
どんだけキレイ事並べられても、国の為に働く気はない、かな。
いやだってさ?
ウチの領地が──まぁウチだけじゃなかったけど──大変な事になってるって知ってるはずの王家の方々も、一応名ばかりの婚約者のところも。
めちゃくちゃ困ってるって知ってて華麗にスルーしてくれやがったもんな?
知らんかった、とは言わせないよ?
ん?
と、垣根の奥に軽く威圧を飛ばしてみたら。
すっごくわたわたしたようで。
多分、王族サマの護衛騎士なんだろうなぁ。
垣根の脇からにゅっと足が出た。
次の瞬間、すっげ勢いで引っ込んだ。
何だ?
やるか?
目の前の倒れそうな貴婦人──ケーリッシュ嬢な──と、垣根を挟んでにらみ合いを始めた私と、多分護衛騎士。
威圧の余波が、ケーリッシュ嬢にも。
ごめん、ケーリッシュ嬢。
貴女が悪いワケじゃないよ?
たまたまだよ、たまたま。
単純に、立ち位置の問題だから。
あぁ、固まっちゃって……。
場の雰囲気を変える為か、ものすごいわざとらしく咳ばらいする王妃サマかいた。
そして、王妃様は威圧の余波を受けて、固まってるケーリッシュ嬢に目配せを。
なんだ? 素材の話はいいのかね?
我に返ったケーリッシュ嬢が、私に振ってきた話は。
「ゴルディアス嬢には、婚約者の方がいらっしゃいましたよね?」
あ?
「……ええまぁ、一応?」
なんで今その話?
ってゆーか、今さら?
高濃度の魔力の塊。
魔術師はもちろん、魔道具の職人が全力で欲しがる素材だ。
いや~靴と扇作るのに、飛竜素材持ち込んだら、代金いらんから、余った素材──革とか骨とか──をくれ!って懇願されたもんな。
素材の出どころ秘密にしてくれるんなら、爪も付けようって言ったら、職人達、その場に五体倒地した。
まぁ、そのくらいの高価かつ希少な素材なワケだよ、竜種の素材って。
当然、王家とはいえそうそうお手軽にゲットできるようなモノじゃないし。
この機会に、可能な限り差し出させて、そして……。
な~んて、まだ手にしてない飛竜素材の使用法をウキウキ企んでるっポい垣根の向こう。
なんか浮かれた気配がしてる。
気が早いんじゃね?
あと。
確かに、私はやろうと思えばいつでも飛竜を狩る事は可能だけどさ。
どんだけキレイ事並べられても、国の為に働く気はない、かな。
いやだってさ?
ウチの領地が──まぁウチだけじゃなかったけど──大変な事になってるって知ってるはずの王家の方々も、一応名ばかりの婚約者のところも。
めちゃくちゃ困ってるって知ってて華麗にスルーしてくれやがったもんな?
知らんかった、とは言わせないよ?
ん?
と、垣根の奥に軽く威圧を飛ばしてみたら。
すっごくわたわたしたようで。
多分、王族サマの護衛騎士なんだろうなぁ。
垣根の脇からにゅっと足が出た。
次の瞬間、すっげ勢いで引っ込んだ。
何だ?
やるか?
目の前の倒れそうな貴婦人──ケーリッシュ嬢な──と、垣根を挟んでにらみ合いを始めた私と、多分護衛騎士。
威圧の余波が、ケーリッシュ嬢にも。
ごめん、ケーリッシュ嬢。
貴女が悪いワケじゃないよ?
たまたまだよ、たまたま。
単純に、立ち位置の問題だから。
あぁ、固まっちゃって……。
場の雰囲気を変える為か、ものすごいわざとらしく咳ばらいする王妃サマかいた。
そして、王妃様は威圧の余波を受けて、固まってるケーリッシュ嬢に目配せを。
なんだ? 素材の話はいいのかね?
我に返ったケーリッシュ嬢が、私に振ってきた話は。
「ゴルディアス嬢には、婚約者の方がいらっしゃいましたよね?」
あ?
「……ええまぁ、一応?」
なんで今その話?
ってゆーか、今さら?
10
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
(完結)親友の未亡人がそれほど大事ですか?
青空一夏
恋愛
「お願いだよ。リーズ。わたしはあなただけを愛すると誓う。これほど君を愛しているのはわたしだけだ」
婚約者がいる私に何度も言い寄ってきたジャンはルース伯爵家の4男だ。
私には家族ぐるみでお付き合いしている婚約者エルガー・バロワ様がいる。彼はバロワ侯爵家の三男だ。私の両親はエルガー様をとても気に入っていた。優秀で冷静沈着、理想的なお婿さんになってくれるはずだった。
けれどエルガー様が女性と抱き合っているところを目撃して以来、私はジャンと仲良くなっていき婚約解消を両親にお願いしたのだった。その後、ジャンと結婚したが彼は・・・・・・
※この世界では女性は爵位が継げない。跡継ぎ娘と結婚しても婿となっただけでは当主にはなれない。婿養子になって始めて当主の立場と爵位継承権や財産相続権が与えられる。西洋の史実には全く基づいておりません。独自の異世界のお話しです。
※現代的言葉遣いあり。現代的機器や商品など出てくる可能性あり。
結婚相手の幼馴染に散々馬鹿にされたので離婚してもいいですか?
ヘロディア
恋愛
とある王国の王子様と結婚した主人公。
そこには、王子様の幼馴染を名乗る女性がいた。
彼女に追い詰められていく主人公。
果たしてその生活に耐えられるのだろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる