レイブン領の面倒姫

庭にハニワ

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兄視点。11

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「僭越ながら、申し上げます」

お?

ウチの…っていうか、このタウンハウスを取り仕切っている執事のシリルが参加してきた。

「若様のご友人のこと、我々がお手伝いする、というのはいかがでしょうか?」


今はこのレイブン辺境伯家の、王都にあるタウンハウスを任されている執事のシリル・エドワースは元傭兵。レイブンの大暴走討伐に何度も参加している。
引退して執事となり、屋敷一軒任されていても、いまだにレイブンで暴走と聞けばソワソワし、大暴走と聞けば愛用の武器を手に取り、嬉々として参戦する。
いいカンジに枯れた紳士然とした外見からは、とても想像出来ないアグレッシブなじーさんだ。
我々、と言うからにはメイド軍団からの参加もあり、か…。

…フリード、逆の意味で大丈夫か…?

あー、うん。

「とりあえず、教官希望者はお前以外に誰がいる?」

メンバーによってはヤバい。

マジでヤバい。

相手は物理系はシロウトのひょろいに~ちゃんだってコト、忘れるようなヤツはダメだぞ。

「近接戦闘と魔術を絡めた対人戦闘技術とーー…。そうですね…マール、ジェニファー、ガブリエラの3名でいかがでしょうか?」

シリルは、メイドを3人連れてきていた。

うん、既に決定しているよな?
ヤる気満々だな。

…ヒマか。
ヒマなのか。
…ヒマなんだな…。

レイブンのタウンハウスに忍び込もう、なんて命知らずは…王都にはいないか。
領地の方には密猟者とか来るんだけどな。
…ギルド通してなけりゃ、どうなっても知らないけどな。



教官役4人との面通しも済んで、フリードにはこまめにこのタウンハウスに通ってもらうことにする。

「ちゃんと親の了解は得てこいよ。お前、公爵令息なんだからな」
「放置気味ですけどね」

苦笑するフリード。

それでも家人の了解は取っとけよ。
執事とか、あとメイド長、料理長か。
ものすごく心配しそうだしな~。
それに、将来的にはどうするつもりだ?
ギルドに登録する、てコトは短期でもレイブンに住む、てコトになるぞ。しょっちゅうやっているとはいえ、討伐参加50回は結構時間が掛かるし、命の保障も薄い。

「大丈夫でしょう。下に弟妹もいますし」

おっと。
魔術師団長、なんだかんだで夫婦仲は良好か。

「近日中には了承してもらって…通わせて頂きます。
宜しくお願いします」

フリードは、シリル達に頭を下げた。

…教わってやるからありがたく思え、なんて勘違い目線じゃないので、シリル達の好感度も上昇だ。
…こりゃ、気合い入れてシゴかれるな。

ガンバレ~。

訓練後にご褒美的なカンジで、菓子でも食わせてやれ、な。




4年後、レイブン辺境伯爵領にて。

次期領主の結婚式が行われる。






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