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兄視点。1
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アイツが言いたいことだけブチまけて、サッサと逃げ出した後、ちょっとした騒ぎになった。
そりゃあそうだよなぁ。
魔術師団長の目の前で、誰にも気付かれることなく魔術発動して、何の痕跡も残さず消えた…帰ったんだからなぁ。
おお、親父が魔術師団長に詰め寄られてる。
「面白そうに見ていますが、レイブン、君の所にも来ますよ。父は何と言うか…」
「魔術オタクか?」
「それです」
思いの外キッパリ。
ザカリアス・フリード魔術師団長は、自他共に認める魔術至上主義。
この辺りの魔術師連中じゃ、妹の使った術式は理解出来ないだろうしな。
「フリード、お前も妹の…ステラの使った魔術に興味深々か?」
「そりゃあ、ね。我々は未だ無詠唱も、外部に魔力の波動を一切気付かせない術の発動も出来ないですからね。ああもあっさりと目の前で見せつけられては…」
フリードの目が…ちょっとヤバい。
あー…悪いが、な。
「アイツに聞いても、こう言われるだけだぞ。『本を読め』ってな」
アイツは本を読んで、自己流であそこまで出来るようにしたからな。
自分が出来るんだから、他の人も出来ると思っているしな。
…普通、ありえない…。
が。
ありえないを実現させるのが、我が妹アリステラで。
アイツが今までに散々やらかしてきたことーーーいにしえの魔術式発見、忘れられた料理のレシピ復活、領地経営のノウハウ、農業・工業の向上方法ーーー全部いろんな所の書庫から掘り出してきた。
…いろんな所ってのが…。
…まあ、結果的にそうなった、てだけで、アイツ曰わく書痴の結果、ってのがどうにも…。
書痴って何だ?と聞いた俺に
「本を読みたい、読まなきゃ落ち着かない、字が書いてあるモノを読むんじゃ足りない、本の形状をしていなければならない…要するに、一種の病気みたいなモノだけど、他人にうつるコトは無いから気にするな。それより…」
と、ニヤリと笑って何冊かの本を取り出し(この頃には既に、無限倉庫ーーいわゆるインベントリとかアイテムボックスとか無限鞄とかーーを習得してやがった)
「ウチの書庫でこんなモノを見つけたんだが…」
と、いわゆるエロ本、てヤツだな。それをほれほれ、と振ってみせた。
…お前ね…。
そりゃあそうだよなぁ。
魔術師団長の目の前で、誰にも気付かれることなく魔術発動して、何の痕跡も残さず消えた…帰ったんだからなぁ。
おお、親父が魔術師団長に詰め寄られてる。
「面白そうに見ていますが、レイブン、君の所にも来ますよ。父は何と言うか…」
「魔術オタクか?」
「それです」
思いの外キッパリ。
ザカリアス・フリード魔術師団長は、自他共に認める魔術至上主義。
この辺りの魔術師連中じゃ、妹の使った術式は理解出来ないだろうしな。
「フリード、お前も妹の…ステラの使った魔術に興味深々か?」
「そりゃあ、ね。我々は未だ無詠唱も、外部に魔力の波動を一切気付かせない術の発動も出来ないですからね。ああもあっさりと目の前で見せつけられては…」
フリードの目が…ちょっとヤバい。
あー…悪いが、な。
「アイツに聞いても、こう言われるだけだぞ。『本を読め』ってな」
アイツは本を読んで、自己流であそこまで出来るようにしたからな。
自分が出来るんだから、他の人も出来ると思っているしな。
…普通、ありえない…。
が。
ありえないを実現させるのが、我が妹アリステラで。
アイツが今までに散々やらかしてきたことーーーいにしえの魔術式発見、忘れられた料理のレシピ復活、領地経営のノウハウ、農業・工業の向上方法ーーー全部いろんな所の書庫から掘り出してきた。
…いろんな所ってのが…。
…まあ、結果的にそうなった、てだけで、アイツ曰わく書痴の結果、ってのがどうにも…。
書痴って何だ?と聞いた俺に
「本を読みたい、読まなきゃ落ち着かない、字が書いてあるモノを読むんじゃ足りない、本の形状をしていなければならない…要するに、一種の病気みたいなモノだけど、他人にうつるコトは無いから気にするな。それより…」
と、ニヤリと笑って何冊かの本を取り出し(この頃には既に、無限倉庫ーーいわゆるインベントリとかアイテムボックスとか無限鞄とかーーを習得してやがった)
「ウチの書庫でこんなモノを見つけたんだが…」
と、いわゆるエロ本、てヤツだな。それをほれほれ、と振ってみせた。
…お前ね…。
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