レイブン領の面倒姫

庭にハニワ

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ちょっとした疑問が浮かんだ。

「魔術君」
「…だから…まあいいです。何でしょう?」
「君自身とあの逆ハーメンバーにも婚約者っているんでしょう?兄はこのとおりだから、レイブンに馴染める女性探しも兼ねて、王都の学院に入ったケド」
「あ~っはっはっはっ」

魔術君、頭をガシガシとかいている。
せっかく式典用に整えていたんだろうに、グチャグチャになっているぞ。

「あの方々はとっくの昔に婚約破棄されていますよ。自身の立場もわきまえず、自分勝手ばかり押し通そうとするのに呆れ返ってさっくりと。あの女に、政略結婚なんか不実です~、なんて言われてましたし。…政略結婚の意味すら忘れて恋…なのか今だに不明ですけど…恋に浮かれるバカなど不用、だそうです」

…お姉様方…。

「…私の方は、『任務とはいえ貴方がワタクシ意外の女性と一緒にいる事に耐えられない』
とか、『そんな任務などワタクシの為にやめて』とか。本気で言っているから、残念ながらこちらから破棄させて頂きました。…国の仕事を何だと思っているんでしょう?好き嫌いでどうこう出来る問題じゃあないでしょうに」

こっちはお花ちゃんか。

頭に花が咲いている。

「王都にも色々な人がいるんだね。兄よ、嫁候補はどうなっている?」
「はっはっはっ」
「笑ってゴマかすな」

しかし。

「あの王子殿下?自分が本来婚約していた令嬢のことも、さっくりと婚約破棄されたことも綺麗に忘れて、私が自分の婚約者で、今日この大人数の前で婚約破棄しなければならない、とか思い込んでいたみたいだけど」
「あー…」
「何故初対面の妹さんが、その対象になったのでしょう」
「なんか明確な名前と共に婚約破棄を叫んでたからねぇ…。何の根拠があったんだろうか」

ま、予想はついてる。

「そういえばレイブン」
「ん?」
「今更ですけど、君の名前はウィルフォード・レイブンですよね」
「おお」
「ウィルフレッド・フォン・レイブンなどと言う人はーーー」
「妹」

あのね…。

「ちょっとは頭を使え、兄…。ウチの一族に、生きてるウィルフレッドさんはいない。フォン、なんてウチが成立した時から付いてない」

きっぱり。

じゃあ種明かしを。

「あの逆ハー女は、フェアリーテイルシンドロームだ」

または、おとぎ話症候群、とも言う。













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