笑顔でナニ言ってんですか？

祭りだ、祭るぞ！

やっぱムリだった。

ただ祭りに参加しまくっただけじゃなく、迷宮にも行ってきた。

てぐすねひいて待ってたらしい姫サマのトコにも顔出して。

いやはや、相変わらず麗しい。

ちなみに、同行者はおやじ殿だけ、な。
ナガツキさんは、従兄弟どもと東輝蘭組のお目付け役で組合の修練場で対人戦の指導に勤しんでた。
多分。



私の顔を見て、すっごいご機嫌になった姫サマだが。

「あんまし時間取れないので、すぐにお暇いとまします」

って言ったら、一気にご機嫌ナナメになってしまった。
が。
不機嫌な顔で──それでも麗しい──ナニやらぶつぶつと。

「……まぁ、かの国サルファー王国にも我が手が広がって……」

って。
ちょっと待って。
ここの迷宮とサルファー王国にどんどこ増えてる各迷宮って、繋がってんの？
え、マジで？

う～わ～……。

いいの？
それでいいの？

……知～らないっと。



火山地帯──ニェスの蟲沼があるバルボアナ火山地帯じゃなく、ちょっと近めなゴルドラ火山地帯な──にも行ってきた。
姫サマのトコに顔出した時に貰った転移の魔道具──地名さえ分かればヒョイっと転移可能ってゆー、ぶっ壊れ機能な魔道具──を使ってな。
ちなみに、定員は６名。
なんでだ？
まぁいいケド別に。

で。
魔道具の持ち主たる私とおやじ殿、ナガツキさんに東輝蘭組の６人でナニしに行ったかとゆーと。

ムリだろーな～……と思いつつも、口中一果を探しに行ったワケさ。

まぁ、ね？
ナガツキさんが危険地帯に行くワケだから、もれなくナガツキさんの“手の者”達が、影になり陰になりついてきてたんだろーケドね？
そこらへんのさじ加減はカンペキだったよーで、まっっったく気付かなかった。
私と東輝蘭組は、ね。
おやじ殿とナガツキさんは、時折あらぬ方向に視線を飛ばして半笑いしてた。
伊達や酔狂で特級冒険者──おやじ殿は昇格辞退し続けてるがな──じゃ、なかったらしい。



やっぱり、口中一果は見つからなかった。
東輝蘭組は、心の底からがっかりしてた。

アレは、完全に運任せで拾えるカモ？　なシロモノだから仕方ない。

代わりに、火焔鳥の羽根はいっぱい拾えたから、冬用の羽毛布団新調しよう。
サルファー王国って、海無いしな。
冬場の気候、キビしいカモしんない。
いや、わかんないケド。