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vs. 王族あんど……。
そして、夜。
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貴族御用達、とまでは言わないがそれなりにお高いお値段の、高級と中級の間──どちらかといえば、高級寄りの──宿を定宿として利用している東輝蘭人の3人。
コール曰く、しーのんとお付きの2人だ。
三部屋続きの、いわゆるスイートルームに陣取る3人は、とても中級冒険者とは思えないように振る舞っている。
……そう。
この宿は、中級クラスの冒険者が定宿にできるような宿じゃない。
彼女らは、冒険者として、ではなく東輝蘭の高位貴族として過ごしていた。
正しくは、貴族のお嬢様とお付きの2人として。
「……ふぅ」
しーのんこと、東雲・忍は、昼間の出来事を思い返しては何度もため息をついていた。
主賓室の窓辺に腰掛け、夜空に浮かぶ銀の月をぼんやりと眺めている。
……この場合、月は満月か三日月が相場であろう。
が、実際には半月とゆー辺り、ちょっと微妙だ。
その微妙な月に、ナニを思っているのか。
常にはない、主人の様子にお付きの2人は気が気じゃない。
何せ、組合から帰ってきてからこっち、ナニかを思ってはため息……だ。
いつもと違う事といえば、オンタリオ皇国に居るはずのコール──コーラルの義理の父たる『銀狼』こと、上級冒険者シグルドが何故か居たという事くらいか。
「……なんとなく、かの御仁と言葉を交わしてから、お嬢様の様子がおかしくなったように思われる」
「初めて威槻の宮様にお目にかかった時よりも、ひどいような……?」
楓と紅葉は、主人が心配だ。
他人事と客観的に見れば、主人の様子はまるで“恋患い”のようにも見える。
彼らの主人は、少なくとも月を見て物思いにふけるような情緒を持ち合わせてはいなかったはず……?
「……なぁ、楓。よもや、とは思うのだが」
「言うな紅葉。言葉にして、それが事実になったらどうする?」
「……でも、なぁ……」
「……言うな」
同じ顔した双子の男女は、物思いにふける主人を恐ろしいモノでも見るように眺めた。
いや、だって『銀狼』って、コールの義理の父だろう?
つまり、おっさんだよな?
忍様……歳上好みだったのか?
……え~……なんか色々と、え~……。
コール曰く、しーのんとお付きの2人だ。
三部屋続きの、いわゆるスイートルームに陣取る3人は、とても中級冒険者とは思えないように振る舞っている。
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この宿は、中級クラスの冒険者が定宿にできるような宿じゃない。
彼女らは、冒険者として、ではなく東輝蘭の高位貴族として過ごしていた。
正しくは、貴族のお嬢様とお付きの2人として。
「……ふぅ」
しーのんこと、東雲・忍は、昼間の出来事を思い返しては何度もため息をついていた。
主賓室の窓辺に腰掛け、夜空に浮かぶ銀の月をぼんやりと眺めている。
……この場合、月は満月か三日月が相場であろう。
が、実際には半月とゆー辺り、ちょっと微妙だ。
その微妙な月に、ナニを思っているのか。
常にはない、主人の様子にお付きの2人は気が気じゃない。
何せ、組合から帰ってきてからこっち、ナニかを思ってはため息……だ。
いつもと違う事といえば、オンタリオ皇国に居るはずのコール──コーラルの義理の父たる『銀狼』こと、上級冒険者シグルドが何故か居たという事くらいか。
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「初めて威槻の宮様にお目にかかった時よりも、ひどいような……?」
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他人事と客観的に見れば、主人の様子はまるで“恋患い”のようにも見える。
彼らの主人は、少なくとも月を見て物思いにふけるような情緒を持ち合わせてはいなかったはず……?
「……なぁ、楓。よもや、とは思うのだが」
「言うな紅葉。言葉にして、それが事実になったらどうする?」
「……でも、なぁ……」
「……言うな」
同じ顔した双子の男女は、物思いにふける主人を恐ろしいモノでも見るように眺めた。
いや、だって『銀狼』って、コールの義理の父だろう?
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