190 / 381
vs. 王族あんど……。
先制攻撃?
しおりを挟む
お貴族サマって人種は、何はともあれ上っ面を取り繕ってナンボってイキモノじゃないのか?
どう見ても年齢一ケタのお子様はともかく、じーさんばーさんににーさんと小僧っこは、感情むき出しで実に分かりやすい。
……って言っても、どこぞの侯爵サマほどじゃないケドな。
なんか読めないのは、ひっそりと気配を消して、“あ、うん、居るね”ってコトだけ分かるセリス伯爵の嫁。
……ナニ考えてる?
ついつい観察する目で、セリス伯爵一家を眺める私。
セリス家側も、こっちを見ている。
お互いに、しばし無言でお見合い状態が続く。
にらみ合いってほど険悪なモノにならないのは、涙目のじーさんとキラめく目付きのお子様の存在故かね?
な~んか、気が抜けるね、どーも。
「……もう良いかな?」
何度か咳払いをして、セリス伯爵が口火を切った。
なんとなく固まってた空気が動き始めた。
……じゃ、先制攻撃と行きましょうか、ね?
正直、こんな形で姫とのお遊びがお役立ちになるとは思いもしなかったな。
私は、セリス伯爵一家の前に出ると。
「……え?」
「ほう」
「嘘……」
「……」
お貴族サマレベルどころか、王公貴族の礼を取った。
今は亡き古えの、カサンドラ姫が生きていた頃の王族の立ち居振舞いでもって、完璧に、な。
妄想まみれのばーさんに見せつけるよーに、な。
……お貴族サマの礼儀作法とか、さほど変化してないぞーって組合長が言ってたし。
「初めてお目にかかります。私は、オンタリオ皇国はサンタンジェロにございます、冒険者組合サンタンジェロ支部所属の上級冒険者にして迷宮探索者、コーラルと申します」
そして、深々と礼。
きっかけと細かい経緯はともかく、上級の位階と迷宮探索者の資格は、私が頑張った結果だ。
他人サマに、はっきり自分の立場っつか、立ち位置を宣言できるのってスバラシイ。
少なくとも、誰かの名前に便乗してるワケじゃない。
自力でもぎ取ったモノだ。
……組合職員(仮)、は、今回はスルーで。
カサンドラ姫にきっちり仕込まれた、王公貴族の礼に、セリス伯爵をはじめ、ご家族御一同はまた固まってた。
ばーさんなんか、呆気にとられて口がぽかーん、と開きっぱになってる。
予想通りじゃなくて、悪かったな?
そして、そこに追い打ちをかけるのがナガツキさんだ。
「失礼? ……自分は、コール……コーラル嬢と同じく、オンタリオ皇国は冒険者組合サンタンジェロ支部所属の特級冒険者、ナガツキと申す者。サンタンジェロ支部長、“岩切りサミー”ことサマンサより、使命依頼を受けてコーラル嬢付きとして共に参った。……あ、当然、迷宮探索者でもありますぞ?」
ナガツキさんの口調がワケ分からんくなってる件について。
あと、いつもの不可思議な笑みに妖しさがプラスして、得体の知れないナニかになってる。
特級冒険者って聞いて、にーさんと小僧っこがピクッとした。
ついでに、私は置物……とばかりに気配を消してたセリス伯爵の嫁が、何故か動揺してる。
ってゆーか、ちょっとうっすらと頬染めちゃったりしてないか?
アンタ、人妻だろ?
更に、グロリアが追撃する。
私らはすっかり慣れ親しんだ、思いの外低音ボイスで貴婦人の礼を取ったグロリア。
「ご無礼致します。アテクシ、グロリアと申します。我が主人たるナガツキ様の命で、コーラルお嬢様付きとして、お側に控えさせていただいております」
セリス伯爵一家は、動揺している。
……セリス伯爵当人以外のご家族御一同が、な。
そして、再び固まる空気。
そんなに予想外だった? 私ら?
どう見ても年齢一ケタのお子様はともかく、じーさんばーさんににーさんと小僧っこは、感情むき出しで実に分かりやすい。
……って言っても、どこぞの侯爵サマほどじゃないケドな。
なんか読めないのは、ひっそりと気配を消して、“あ、うん、居るね”ってコトだけ分かるセリス伯爵の嫁。
……ナニ考えてる?
ついつい観察する目で、セリス伯爵一家を眺める私。
セリス家側も、こっちを見ている。
お互いに、しばし無言でお見合い状態が続く。
にらみ合いってほど険悪なモノにならないのは、涙目のじーさんとキラめく目付きのお子様の存在故かね?
な~んか、気が抜けるね、どーも。
「……もう良いかな?」
何度か咳払いをして、セリス伯爵が口火を切った。
なんとなく固まってた空気が動き始めた。
……じゃ、先制攻撃と行きましょうか、ね?
正直、こんな形で姫とのお遊びがお役立ちになるとは思いもしなかったな。
私は、セリス伯爵一家の前に出ると。
「……え?」
「ほう」
「嘘……」
「……」
お貴族サマレベルどころか、王公貴族の礼を取った。
今は亡き古えの、カサンドラ姫が生きていた頃の王族の立ち居振舞いでもって、完璧に、な。
妄想まみれのばーさんに見せつけるよーに、な。
……お貴族サマの礼儀作法とか、さほど変化してないぞーって組合長が言ってたし。
「初めてお目にかかります。私は、オンタリオ皇国はサンタンジェロにございます、冒険者組合サンタンジェロ支部所属の上級冒険者にして迷宮探索者、コーラルと申します」
そして、深々と礼。
きっかけと細かい経緯はともかく、上級の位階と迷宮探索者の資格は、私が頑張った結果だ。
他人サマに、はっきり自分の立場っつか、立ち位置を宣言できるのってスバラシイ。
少なくとも、誰かの名前に便乗してるワケじゃない。
自力でもぎ取ったモノだ。
……組合職員(仮)、は、今回はスルーで。
カサンドラ姫にきっちり仕込まれた、王公貴族の礼に、セリス伯爵をはじめ、ご家族御一同はまた固まってた。
ばーさんなんか、呆気にとられて口がぽかーん、と開きっぱになってる。
予想通りじゃなくて、悪かったな?
そして、そこに追い打ちをかけるのがナガツキさんだ。
「失礼? ……自分は、コール……コーラル嬢と同じく、オンタリオ皇国は冒険者組合サンタンジェロ支部所属の特級冒険者、ナガツキと申す者。サンタンジェロ支部長、“岩切りサミー”ことサマンサより、使命依頼を受けてコーラル嬢付きとして共に参った。……あ、当然、迷宮探索者でもありますぞ?」
ナガツキさんの口調がワケ分からんくなってる件について。
あと、いつもの不可思議な笑みに妖しさがプラスして、得体の知れないナニかになってる。
特級冒険者って聞いて、にーさんと小僧っこがピクッとした。
ついでに、私は置物……とばかりに気配を消してたセリス伯爵の嫁が、何故か動揺してる。
ってゆーか、ちょっとうっすらと頬染めちゃったりしてないか?
アンタ、人妻だろ?
更に、グロリアが追撃する。
私らはすっかり慣れ親しんだ、思いの外低音ボイスで貴婦人の礼を取ったグロリア。
「ご無礼致します。アテクシ、グロリアと申します。我が主人たるナガツキ様の命で、コーラルお嬢様付きとして、お側に控えさせていただいております」
セリス伯爵一家は、動揺している。
……セリス伯爵当人以外のご家族御一同が、な。
そして、再び固まる空気。
そんなに予想外だった? 私ら?
11
お気に入りに追加
407
あなたにおすすめの小説
【完結】『サヨナラ』そう呟き、崖から身を投げようとする私の手を誰かに引かれました。
仰木 あん
ファンタジー
継母に苛められ、義理の妹には全てを取り上げられる。
実の父にも蔑まれ、生きる希望を失ったアメリアは、家を抜け出し、海へと向かう。
たどり着いた崖から身を投げようとするアメリアは、見知らぬ人物に手を引かれ、一命を取り留める。
そんなところから、彼女の運命は好転をし始める。
そんなお話。
フィクションです。
名前、団体、関係ありません。
設定はゆるいと思われます。
ハッピーなエンドに向かっております。
12、13、14、15話は【胸糞展開】になっておりますのでご注意下さい。
登場人物
アメリア=フュルスト;主人公…二十一歳
キース=エネロワ;公爵…二十四歳
マリア=エネロワ;キースの娘…五歳
オリビエ=フュルスト;アメリアの実父
ソフィア;アメリアの義理の妹二十歳
エリザベス;アメリアの継母
ステルベン=ギネリン;王国の王
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?
つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです!
文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか!
結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。
目を覚ましたら幼い自分の姿が……。
何故か十二歳に巻き戻っていたのです。
最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。
そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか?
他サイトにも公開中。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる