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vs. 王族あんど……。
比較してはいけない。
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なんか自分に都合良い事ばかり考えてる侯爵だが。
「……コーラル?」
ナガツキさんとグロリアに、冷静に突っ込まれて涙目になって、すがるような目を私に向けてくる。
うん、おっさんキモい。
こっち見んな。
いい年した大人が、かまって欲しそーにこっちに視線を向けてくる。
……本当に、あり得ない。
うちのおやじ殿とはえらい違いだ。
「テオドール殿……テオ」
侯爵の醜態を見かねたのか、一応仮にもお貴族サマがナニやってんだ? と注意したいのか、セリス伯爵は侯爵に。
「君のそういう……何というか、甘えたなところが、コーラルは嫌なんじゃないかな?」
何かを悟ったような表情のセリス伯爵。
それを聞いて、愕然とする侯爵。
「……確かに銀狼さんとは真逆だよな」
「銀狼様については、さほど詳しくはございませんが、確かに旦那様はご自身の事についてはこう……」
納得するナガツキさんに、思いあたるトコがあるらしいグロリア。
何なんだろーね?
「……なんつーの? 落ち込んだと思ったら、次の瞬間天まで高く舞い上がり、すぐさま地の底まで叩き落とされて……。なのに、もうこの有り様か」
「旦那様は、打たれ強いんです」
呆れる私に、グロリアが言った。
打たれ強いってのとは、だいぶ……かなり違うんじゃないかな?
自ら穴掘って埋まります的な勢いで、ずーん……と落ち込んでだ侯爵だったが。
今、フルーツ盛り盛りあんどホイップクリーム増し増し三段重ねパンケーキを前に、超ゴキゲンになっている。
子供か。
そんな侯爵を、ナガツキさんとグロリアが生温かく見守り。
お前ら、今までどこ行ってたの? なダニエルとアレクが戻ってきたところで、私は改めてセリス伯爵に聞いた。
アレだ。
本当なら、この場で一番身分が高い侯爵が使いモノになんないから、一番マトモそーなセリス伯爵に聞くのである。
「で? ここの辺境伯……えーと、ザカリアス辺境伯、だっけ?」
「それはこの領地の名前だね」
セリス伯爵もまた、盛りあんど増しなパンケーキを前にしている。
が、侯爵とは違い、落ち着き払って優雅に食していらっさる。
侯爵の方は……うん。
花、飛んでるね。
こう……ぱあぁっ……と。
なんかそんな雰囲気。
乙女か。
「コーラル……君は、ザカライアス辺境伯が、何を思って我々を招き、何を話してきたのか気になるのかな?」
セリス伯爵は、茶を口に含み、口中をさっぱりさせると話し始めた。
「長々とした時候の挨拶とか、ザカリアス領に立ち寄った理由とか……中身の無い前置きが続いた後で、君の話になったよ」
えー。
「……コーラル?」
ナガツキさんとグロリアに、冷静に突っ込まれて涙目になって、すがるような目を私に向けてくる。
うん、おっさんキモい。
こっち見んな。
いい年した大人が、かまって欲しそーにこっちに視線を向けてくる。
……本当に、あり得ない。
うちのおやじ殿とはえらい違いだ。
「テオドール殿……テオ」
侯爵の醜態を見かねたのか、一応仮にもお貴族サマがナニやってんだ? と注意したいのか、セリス伯爵は侯爵に。
「君のそういう……何というか、甘えたなところが、コーラルは嫌なんじゃないかな?」
何かを悟ったような表情のセリス伯爵。
それを聞いて、愕然とする侯爵。
「……確かに銀狼さんとは真逆だよな」
「銀狼様については、さほど詳しくはございませんが、確かに旦那様はご自身の事についてはこう……」
納得するナガツキさんに、思いあたるトコがあるらしいグロリア。
何なんだろーね?
「……なんつーの? 落ち込んだと思ったら、次の瞬間天まで高く舞い上がり、すぐさま地の底まで叩き落とされて……。なのに、もうこの有り様か」
「旦那様は、打たれ強いんです」
呆れる私に、グロリアが言った。
打たれ強いってのとは、だいぶ……かなり違うんじゃないかな?
自ら穴掘って埋まります的な勢いで、ずーん……と落ち込んでだ侯爵だったが。
今、フルーツ盛り盛りあんどホイップクリーム増し増し三段重ねパンケーキを前に、超ゴキゲンになっている。
子供か。
そんな侯爵を、ナガツキさんとグロリアが生温かく見守り。
お前ら、今までどこ行ってたの? なダニエルとアレクが戻ってきたところで、私は改めてセリス伯爵に聞いた。
アレだ。
本当なら、この場で一番身分が高い侯爵が使いモノになんないから、一番マトモそーなセリス伯爵に聞くのである。
「で? ここの辺境伯……えーと、ザカリアス辺境伯、だっけ?」
「それはこの領地の名前だね」
セリス伯爵もまた、盛りあんど増しなパンケーキを前にしている。
が、侯爵とは違い、落ち着き払って優雅に食していらっさる。
侯爵の方は……うん。
花、飛んでるね。
こう……ぱあぁっ……と。
なんかそんな雰囲気。
乙女か。
「コーラル……君は、ザカライアス辺境伯が、何を思って我々を招き、何を話してきたのか気になるのかな?」
セリス伯爵は、茶を口に含み、口中をさっぱりさせると話し始めた。
「長々とした時候の挨拶とか、ザカリアス領に立ち寄った理由とか……中身の無い前置きが続いた後で、君の話になったよ」
えー。
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