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vs. お貴族サマ。

飽きたワケじゃない、多分。

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いやはや。

尋問続けて喉が渇いたな~。
普通に何も盛ってない茶でも飲むかな。

……いや、茶の気分じゃないわ。

私は、自分の魔法収納袋から──いつも持ってますよ~──冷やした炭酸入りの水を取り出して、一口。
うん、さっぱりしゅわしゅわ。

「あ、コール、オレにも」

ナガツキさんがご所望だ。
はい、喜んで~。



只今の状況。
目の前で、オクスリと術がばっちりキマッテいる呆けたお貴族サマ2人。
口論とまでは言わないが、きゃんきゃんとじゃれてるおやじ殿と組合長。
部屋の隅っこで、寝トボけたまんまで放置されてるお付き2人──こっちも未だにオクスリが切れる気配なし。
そして。
そんな状況を眺めている、私とナガツキさん。

……なんだこれ。

思わず遠くを見る目になった私に、ナガツキさんは炭酸水を飲みながら。

「ま、ばーちゃんらが落ち着くまで一休みってコトで、いいんじゃね?」

そう言って、へらっと笑った。

……。
そーですね。
そーしましょー。
じゃ、炭酸に合うよーなしょっぱい系の菓子でも──。



きゃんきゃんと、しばらくじゃれ合ってたおやじ殿と組合長だったが。
途中で私とナガツキさんが飲んでる炭酸水の方に意識が向いたよーだ。

「コールや。婆にも分けておくれ」
「あ、コール。俺にも」

元気に騒いで、喉が渇いたらしい。
……あいよ~。

2人にも、炭酸水を渡した。
ら。
果汁で割りたいだの、酒はないかだの言い出した。

緊張感のカケラもないな。



とりあえず、状況の整理といこうか。

1。
サルファー王国から、どーやら私と血の繋がった父親らしいお貴族サマと、叔父さんらしいお貴族サマがやってきた。
と、言っても別に一緒に来たワケじゃないらしい。
どーでもいいけどさ。

2。
お貴族サマ達の目的は、私をサルファー王国に連行する事。
父親と称するなみなみ貴族は、私を娘として侯爵家に。
叔父さんらしい紳士は、姪として伯爵家に引き取るつもりらしい。

3。
なみなみ貴族は、ブラナンとか侯爵家の血を引く者がサルファー王国外に居るのはマズい、と思っての。
紳士の方は、手頃な政略結婚のコマが欲しい……ってトコかな。



まぁ、とりあえず。
ムカつく。

2人とも……っつーか、2家ともに、お亡くなりになった母の──クララこと、クラウディアの事なんか、これっぽっちも気にしてない。
そして私の意志なんか、マルっと無視だ。
それに、さ。
2家とも、私が素直に言う事聞かなけりゃ、本当に無理やりかっさらっていこうと企んでいたそーだ。

そりゃ、おやじ殿キレる(寸前)わ。

未だに過保護が抜けきってないんだよね、おやじ殿。
今も、真剣な顔して組合長に。

「……転移陣のミスで、どっかヤバい所に飛んだって事にして、この貴族ども何とか出来ねーかな。例えば、ニェスの蟲沼とか」
「お主……あの沼、好きじゃの~」







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