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vs. お貴族サマ。

……叔父?

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頭に血が昇ったなみなみ貴族は、血迷ったコトを喚き出そうとして、後から出てきた男にアタマをドつかれた。



お貴族サマも、強めにアタマをドツく……って雑なツッコミ入れるんだね。

不穏なコトをぶつぶつ言ってた、なみなみ貴族に思いっ切りよくツッコんで、ちょっとやらかそうとしてたなみなみ貴族を引き止めたのは。
濃い茶色の髪を短くキレイに整えた、目元涼しげなお貴族サマだった。
年の頃は40前後?
ダニエルと同年代か?
落ち着いた紳士ってカンジかな。
なみなみ貴族にがっかりした、肉食系の女子達が色めき立っている。

でもね?

うん、なんとなくデジャブ。

私がちょいと小首を傾げていると、おにーさまとおねーさまがひそっとナイショ話を始めていた。

「……なんか、どっかで見たことあるような?」
「リックもそう思う? 私も、何か……」

2人揃って首を傾げている。
ちなみに、リックとはリカルドさん──おにーさまのコトだね。



まぁ、それはそれとして。

このヒト、誰?

なみなみ貴族にツッコミ入れられるってコトは、そこそこ親しい間柄ってコトだよね?

その場に居た全員──なみなみ貴族とダニエルを除く──が、一点集中。
その中心は、後から増えた紳士だ。
その人は、呆れた様子を隠しもせずに、なみなみ貴族に。

「君は、しばらく黙ってなさい」

きっぱりと命令した。

……うん、立場的に、こっちの紳士の方がエラい人?
侯爵の上って、何だっけ?

首を傾げたまま、この状況を観察していたら。

「……コール、無事か?」

おや、おやじ殿。
いつの間に?



予想以上に早く帰ってきたおやじ殿。
何故か、ナガツキさんも寄ってきた。
……面白そーな見世物を、かぶり付きで見たいらしい。

「依頼の方は、ちゃんと片付けてきたんだろーね? おやじ殿?」

私がそう問うと、おやじ殿は。

「おう。即行の速攻で瞬殺よ」

めっちゃ良い笑顔で右手を握って親指を立てて見せるおやじ殿。
ゴキゲンである。
どーやら、溜まっていたモヤモヤを一気に発散してきたよーだ。

「ちゃ~んと討伐証明部位も拾ってきたぜ」
「よし」
「……コールがめっちゃ上からなんだけど」

ナガツキさんがツッコんできた。
うるさいよ。

などと、身内──ナガツキさんは違うけど──でジャレてたら。

「ちょっと! 君は誰だい? 僕のコーネリアに、何を気安く……あだっ!?」
「黙ってろって、言っただろう?」
「義兄上?」
「……君が妹を──クラウディアをあっさりと切り捨てた時点で、そんな関係は切れているよ」

意外と容赦なく手を出すんだね、紳士。
そして、思いの外冷めた目でなみなみ貴族を見る紳士。
やっぱりこの人お貴族サマだよな。
しかも、発言内容を鑑みると、どーやらこの紳士は……。

「初めまして。コーラル……だったね? こちらはその義父君かな。そちらの東輝蘭の方はともかく。妹が……クラウディアが、お世話になったようだ。ありがとう」

おや?
この人、結構……。

「わたしはサルファー王国で伯爵位を賜っている、セリス伯爵家の次期当主、シルヴェスター・セリスという……コーラル。君の、叔父、という事になるかな」

どーやら、こっちのお貴族サマは、マトモなアタマのよーだね。







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