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vs. 使いっぱ。

ココロがザワメク。

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おやじ殿の話に、ざわめきが止まらない。

ざわざわの中、もうちょっと話は続いて。

おやじ殿は、なんとなく渋い顔で口を開く。

「クララがウチに来て、さほど時を置かずに赤ん坊が生まれた。村の連中は、いろんな事を無責任に言いたてたりもしたが、赤ん坊の笑顔にゃ勝てないわな。いつの間にやら、兄貴とクララは夫婦扱い、生まれた赤ん坊は兄貴の子ってコトになってた。……それが、お前だよ、コール」

その場に居た全員か、またざわざわした。

「……え? つまり、どーゆー事だよ?」
「コールのかーちゃん、銀狼の兄貴の嫁か?」
「……え、出会った時期と生まれた時期との計算が合わない……?」

ヤジ馬と化して無責任にざわざわしている組合員達はともかく。
私は。

「今の話だとさ、母は、父と会う前に……?」

私も、人の事は言えないよーだね。
私もまた、父親不明な子供だったよーだ。
父は、父じゃなくて。
命の危機真っ盛りな母を拾った、通りすがりの他人サマだったよーだ。
母の命を脅かしてた理由は、ひょっとしたら……当時、母の胎内に居た私……か?



今更ながら、血の気が滝のよーに引いた。
ざー……って。
ちょっと、くらくらするけど。
一応、確認。

「つまり、父は私と血の繋がりは無くて。おやじ殿は母の兄、じゃなくて?」
「お前が父と呼んでた、最後までお前とクララを守って死んだ男の──弟だよ、俺は」

………。

表情の消えた私を、組合長が包み込むように見つめる。

……うん、そーだね。

「……おやじ殿が、叔父さんポジションってコトは変わらないよね」

そして、私の育ての親ってコトも、変わらない。

今更、誰が父親だとか、関係無いね。
私が私として、こーやって生きているのは。
父と、母と、私を育ててくれたおやじ殿のおかげだ。
今の自分に、なんの不満もないし。
今更、自分を、生き方を変えよーとは思わないし、思えない。

出来ないコトは、しない主義だ。

だから、そこで涙目で私を一点凝視してくる金髪黒服も。
当人は隠してるつもりかもしれないケド、ものすごい敵意満載な視線を私に向けてくる茶髪黒服も。

本っ当に、関係無いね。

どこぞのお貴族サマが、ナニ考えてよーが、完璧に他人事だね。

お家騒動なら、お貴族サマだけで勝手にやってくれ。

……いや、本当マジで。








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