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vs. 使いっぱ。

姫様は。

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カサンドラ姫とうっかりご対面しちゃったのは、サンタンジェロに来て間もなくの頃。
普通に迷宮探索者としてサンタンジェロ支部の迷宮探索者と合同で、迷宮探索に行って。
順調に、魔物狩りしながら各種素材の採集しながら全部で12階層の迷宮踏破して。
最奥の、13番目の階層の玉座の間にいらっさった、黒髪巻き毛で金の瞳の見目麗しい豪奢な美女。
……の、霊魂っつーか、迷宮核に妹認定されちゃった私。
まず、誤解を解くのに時間を食い、うっかり気に入られちゃって帰らせてくれないのを説得するのに更に時間がかかり。
結局、予定された日数よりも必要以上に時間を食った。
それ以来、私が“カサンドラ城趾”に行くと、カサンドラ姫=迷宮核にもてなされると、ゆー……ある意味あり得ない事が。

いや、だってね?
半年くらい過ぎると、姫が伝言寄越すんだよ。
たまたま迷宮に潜ってた、迷宮探索者を使ってさ。
おかげ(?)で、私、一部じゃ『姫の妹』とか『迷宮っ子』とか言われてるらしい。

嬉しくねえわ。

それまでだって、『銀狼の娘』って呼ばれてたのにね。
……もう、ため息も出ないわ。



とにもかくにも。

おやじ殿と2人、“カサンドラ城趾”に行ったワケで。
馬車移動と迷宮攻略、全部合わせて最短で7日は掛かる。
はず、な~の~に~……。
私が迷宮の門に立った時点で、姫からのお迎えが来る。
半分透けてる侍女さんが、骨の騎士を従えて。
……レイスとスケルトンだよね?
妙にフレンドリーだけどさ。

そして、いろいろ諸々すっ飛ばして最奥の玉座の間に即行でお迎えられる。
満面の笑みを浮かべたカサンドラ姫が、嬉しそーに待ち受けていらっさる……。

なんだ? この状況。

私と一緒に連行されるおやじ殿が、なんとも言えない微妙な顔で姫を見ている。
が、こっちの感情なんか華麗にスルーして下さる姫……。
いつもの事とはいえ、さ~……。

これは、アレだね。
そーゆーモンだと諦める方が、精神的に楽かな? うん。
冗談抜きでさ。

そして。
本来攻略やら戦闘、採取に掛かる時間、すべてが姫のお戯れに付き合わされる事になる。
……。
うん。
おやじ殿が、一番ワリ食ってるカモ。

……いや、ちょっと待て?
私が姫に構い倒されてる間、やる事が無いってコトで。
迷宮核たる姫がいらっさる玉座の間を守っている、姫……つか、迷宮核のご意向で実体化してる元近衛兵の皆さんと、元気に戦闘訓練する日々……。
なんだかんだで、本人それなりに楽しそーである。

私もそっちの方がいいな~……。



まぁ、そんなこんなで。
今回は、往復の移動と迷宮に足止めされての計20日、サンタンジェロを留守にしていたおやじ殿と私だ。
街に帰るって時には、姫からもういいよ! って言いたくなるくらいの素材の山やら、本来戦って勝ちとるか、宝箱から得るはずの、いわゆる迷宮出土品と呼ばれる宝を土産に持たされ。
またいらっしゃい♪とにこやかに見送られ。
当然のように、門まで送迎付きだった。
……うん、ホントになんだこれ。

まぁ、いい鍛練になった、とおやじ殿がご機嫌だからいいか。
行きの微妙な顔はどこ行った? ってくらいのご機嫌さだった。

単純……げふっ。



で。
私らが迷宮に潜ってる間、サンタンジェロ支部にまた妙なヤカラが湧いてたようでさ。







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