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vs. おじょーサマ。

誰も教えてくれない。

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おっさんは、組合長に気付いて顔色を悪くして。
微かに震える声で言った。

「……超級冒険者、岩切りサミー……」
「おや、組合員でもないのに良くご存知じゃな。かなり昔の話じゃと言うに」

組合長は、ほえほえと笑っている。

……正直なトコ、組合長の過去話ってあんまし知らないんだよね。
大人達に聞いても、おやじ殿に聞いても、微妙に話を反らされる。
視線はあさっての方に向くし、違う話で流そうとするし。
まあ、流されちゃう私も私、なんだけどね。
……話を聞こうとした人の中には、顔面蒼白になってガクガクぶるぶる震える人も居たりして。
確か、サワラヌ神にタタリ無し──って、こーゆー時に使う言葉だったっけ?

ま、今の組合長は陽気なばーちゃんだけどね。

このおっさんは、組合長の過去話知ってるのかな?
詳しいのかな?
詳しいんなら、是非とも語ってもらいたい。
組合長ご本人を前にした上で。

さあ、どーぞ。

「「「ムチャ言うなよ」」」

その場に居た組合員全員に、ぐるっと取り巻かれて突っ込まれた。

えー。
こんな機会はめったにないのに。



そんなコトしていたら。
おねーさまに、わし、と肩を掴まれた。

「コールぅ……。今、そんな話してる場合じゃないわよねぇ……?」

痛い。
地味に痛い。

おねーさま、そんなに指先に力入れたら、せっかく綺麗に整えた爪が割れるよ。

「あら、ヤだ」

ヤだ、じゃないよ。

てへってカンジで舌をちらっと出して、すっと手を離したおねーさまを、じとっとした目で見ていると、今度はおにーさまが言いだした。

「コール……確かに今、そんな場合じゃない。あのお嬢様を保護者のところに持ってってもらわないと。……ジャマじゃないか」

…………。
さりげなく、アナタが一番ヒドいコト言ってる気がします、おにーさま。
口調も元に戻ってるし。



で。

そんなカンジで皆で仲良くわいわいやってたら。
領主様のところから、おじょーさまのお迎えがやって来た。
なんてゆーの?
こー、執事的な人が。
……親はどーした。
親は来ないのか、親は。
ナニしてんだ親は。

「……仕事してるんだろう。一応仮にも領主様、なんだから」

おにーさまの冷めきった言葉と態度に、皆で納得。
お貴族サマってのは、立場とかあってメンドくさいね。



とにかく。
面倒なヤカラは持ってってもらおう。
あ。
おっさんは、どーするの?

「……いや、おれにも一応、ちゃんとした名前が。……覚える気、皆無か」
「うん」

なんだかな~って顔してるおっさんに、言った。

だって別に必要ないでしょ?
お貴族サマの専属が、組合職員に何の用があんのよ。
無いでしょ?

「いや、それもそうなんだが。……なんだこの釈然としない感じ」

おっさんは、眉間にシワ寄せてなんかぶつぶつ言ってるが。
知らん。







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