モーハ

飛雪

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第1章 重力波

おじさん

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「これは大変な技術だ。
 革命だ。
 我々は宇宙の広さを心配せずに、行きたいところへ行けるようになった。」
 この技術を公開するべきだろうかというのが本日の議題だ。
おじさんの結論は決まっている。初めに私が呼ばれた時に「共同経営者になってもらおうと思っている。」と言っていた。仲間が増えるたびに同じ確認をしている。独占しか考えられない。
「この技術は大変危険な技術だとも思っている。いつでもどこへでも爆弾を送り付けられるんだから。この恐怖により我々の文明は滅んでしまうだろう。」
「でも独占を維持することは大変だし難しいでしょ?」
 これはミーナの言葉だ。
「技術はライブラリーに任せてしまうという手がある。自動更新の仕組みを利用しよう。今ある宇宙船を全部アップグレードしてしまえばいい。皆が新規に宇宙船を作ろうと思わせなければ問題解決ではないか?」
 アランだ。
 「アップグレードが完了してから大々的に宣伝すればいい。」
 バージェスだ。
「キャッチコピーは何がいい?」
 アランだ。
「人類、新世代へ。
 ぐらいかな?」
これは私。
「まあ、これぐらいかな?
 どう思う?ライブラリー。」
おじさんだ。
「それが最良だと思われます。
 協力を惜しみません。
 それと、超空間通信の問題があります。移動はできても通信ができなければ、後々問題が発生するでしょう。超空間通信システムについては私の方で何とかしてみましょう。」
頼もしい限りだ。

 結晶の構造は、あらゆる惑星ライブラリーや宇宙船まで行き渡っているので、結晶製造開始の指示が行き渡るまでが「待ち」のブランクだった。
 注意深い長命族の一部の者が「何かが起こっている。」と気づいたが調査を始めてもライブラリーは曖昧な返事しかしなかった。
 全宇宙船のアップグレードが完了してから中央ライブラリーから全人類に向けて、1万年ぶりの「お知らせ」が発行された。
「全人類のみなさん。
 このたび、空間の波動を応用した、超空間ジャンプが可能になりました。移動は瞬時に行われます。
 移動距離は、これまでのテストでは1億光年以上可能であることがわかっています。
 ジャンプに要するエネルギーもごく僅かです。
 また、この技術の応用で、超空間通信も可能になりました。
 この機能は全宇宙船が搭載しています。
 また、今後、人員や物資の移動コストの面から大型宇宙船を建造してきた方針を改め、個人もしくは少人数用宇宙船を建造することにします。
 みなさん、お好きなときに、お好きなところへ、どうぞ。費用は僅かです。」
 この超空間ジャンプシステムCLJと呼ぶようになった。
 私の名前は、おじさんの名前も、歴史の表舞台に出ることはなかった。そして、忘れ去られた。どこかのライブラリーがミーナの記憶と一緒に覚えているかも知れないが。
 人類が銀河系全体へ拡張したのは、この後だった。人口も爆発的に増えた。
 どこまで行けるか、を確かめる輩もいた。138億光年の壁を目指す者もいた。そこからビッグバンを観測すると………。
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