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遺体発見
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アスターの街から外れた森の中で、ディウィンは荷馬車の馬を杭に繋いだ。
冬が近い早朝の森は、土と落ち葉の匂いがする。これからこの空の荷馬車に倉庫の中の荷物移し、街中に配達しなければならない。
昔は清々しいと思った朝の雰囲気も、今は辛い仕事が始まる合図でしかなかった。
できればそろそろ引退したい。だが、後を継ぐ息子もいない。親戚の誰かに家業をゆずるか?
そんなことをぐだぐだと考えながら落ち葉を踏み分け、レンガ造りの倉庫に向かう。
うつむきがちだった顔をあげたとき、倉庫の小さな異変に気付いた。
「おや」
鉄扉に取り付けられた、暗証番号式の南京錠が、開いたまま取り付け用の穴にぶら下がっている。
「おかしいな、鍵はかけたと思ったが」
まさか泥棒でも入ったのだろうか? 嫌な予感がする。
扉の前に立つと、開ける前から焦げ臭い匂いがした。
「まさか、火事!」
慌てて取っ手に手をかける。
中は意外にも静けさで満たされていた。恐れていた燃え盛る炎も、火の粉も見えず、奥にあるはずの酒樽は闇に沈んでいる。
とりあえず火事ではないらしい。でも、中を調べておいた方がいいだろう。それにどの道、これから仕事をしなければならないのだ。ディウィンは恐る恐る倉庫の中へ入る。
何かがおかしい。
両脇に並ぶ棚をさっと眺めると、歯が抜けたように所々納められた商品の一部がなくなっていた。
まさか、本当に泥棒?
棚に気を取られていたディウィンは、何かにつまづき、転びそうになった。
床に、横たわる長い足があった。粗末な布と皮で作られた靴。細い足首。脛(すね)から上を隠す、ローブの裾。そのまま上に視線を移せば、若い男の上体に繋がっている。その顔は横を向いていて、血だらけの髪に覆われてほとんど見えない。
どう見ても死体だった。
「う、うわ!」
ディウィンは震える足で外へ飛び出した。
冬が近い早朝の森は、土と落ち葉の匂いがする。これからこの空の荷馬車に倉庫の中の荷物移し、街中に配達しなければならない。
昔は清々しいと思った朝の雰囲気も、今は辛い仕事が始まる合図でしかなかった。
できればそろそろ引退したい。だが、後を継ぐ息子もいない。親戚の誰かに家業をゆずるか?
そんなことをぐだぐだと考えながら落ち葉を踏み分け、レンガ造りの倉庫に向かう。
うつむきがちだった顔をあげたとき、倉庫の小さな異変に気付いた。
「おや」
鉄扉に取り付けられた、暗証番号式の南京錠が、開いたまま取り付け用の穴にぶら下がっている。
「おかしいな、鍵はかけたと思ったが」
まさか泥棒でも入ったのだろうか? 嫌な予感がする。
扉の前に立つと、開ける前から焦げ臭い匂いがした。
「まさか、火事!」
慌てて取っ手に手をかける。
中は意外にも静けさで満たされていた。恐れていた燃え盛る炎も、火の粉も見えず、奥にあるはずの酒樽は闇に沈んでいる。
とりあえず火事ではないらしい。でも、中を調べておいた方がいいだろう。それにどの道、これから仕事をしなければならないのだ。ディウィンは恐る恐る倉庫の中へ入る。
何かがおかしい。
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床に、横たわる長い足があった。粗末な布と皮で作られた靴。細い足首。脛(すね)から上を隠す、ローブの裾。そのまま上に視線を移せば、若い男の上体に繋がっている。その顔は横を向いていて、血だらけの髪に覆われてほとんど見えない。
どう見ても死体だった。
「う、うわ!」
ディウィンは震える足で外へ飛び出した。
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