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八十、つつまれて

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六月一日の夜、そして夏休みのラブホに続いて、三たび、ふーちゃんと一糸纏わぬ姿になってベッドに横たわる。俺の腕の中で、ふーちゃんの胸と肩と背中が、ゆっくりと息づく。いつもながらの高い体温も伝わってくる。
「ふーちゃん…」
「論理くん…」
お互いの名を呼び、ぎゅっと抱きあう俺たち。そして唇を重ねる。
「んっ…ん…」
「んんー…」
舌を絡ませ、互いの唾液を溶けあわせる。これからふーちゃんと俺、こうしてディープキス、何度でもするんだ。そう思うと、嬉しさが湧き起こってくる。長く舌を交わし、唇を離す。お互いの唾液が、どろりと糸を引く感触。
「うふふ、論理くん」
ふーちゃんは笑って手を動かすと、俺のをもっちりとつかんだ。その手の熱さが血流に変わって、一気に俺のの中に流れ込む。
「準備万端ってとこかな」
「うう…、ふーちゃん…」
早くも俺の中の男性が、下腹に湧き上がってくるのを感じる。そんな俺のを握りながら、ふーちゃんが熱い息を漏らす。相変わらずふーちゃんの匂いがする吐息。
「論理くん。恋人どうしだね私たち。もう一夜限りのじゃないもん」
「うん。ずっと恋人だよ。でも…」
少し気になっていることがある。
「でも?」
「ふーちゃん、俺でよかったの?ふーちゃん面食いじゃないか。俺、自分の顔には自信ないし」
「面食い?ああ、そっかぁ。私面食いだったねぇ」
今思い出した、というような顔を見せるふーちゃん。
「そんなこといいもん」
俺のを握る手に、ふーちゃんはさらに力を加えた。
「いいの?真理くんのほうがかっこいいんでしょ?」
「確かに、ね。でも、論理くんめちゃかわいいしぃ、見てたらほっとけないしぃ。面食いだとかどうとか、もうどうでもよくなったもん。それくらい──」
ふーちゃんの手が、俺のを軽くしごく。あ…、それだけで気持ちいい。
「論理くんのこと、好きなんだもん」
「ふーちゃん!俺も、ふーちゃん大好きだよ」
小さくそう叫んで、俺はふーちゃんの柔らかくて白い身体を抱きしめた。
「論理くん…。私の穴も、濡れてきた」
「今日も、穴?」
「うん」
俺の腕の中で、ふーちゃんがうなずく。
「私の穴に、生で出して。論理くんの、いっぱい」
ふーちゃんは熱っぽくそう言うと、俺のから手を離し、ベッドにうつ伏せになった。そして膝を立て、お尻を高く突き出す。
「さあ、論理くん」
「うん」
俺も起き上がり、ふーちゃんのお尻の前に陣取る。括約筋が引き締まり、「菊」の俗称そのものになっているのが見える。
「ふーちゃん、開けて見せて」
「わかった。…んっ」
ふーちゃんのかわいくて熱い脳が、括約筋を動かした。くちゃっ、と肉の音がして、ふーちゃんの穴が開く。下宿の明かりの下に現れる、直径三センチの「下の口」。その向こうに、ふーちゃんの内臓がある…。それが熱い。俺のが、どくどくとたぎってくる。
「論理くん、私の匂い、嗅いで」
「もちろん」
俺はふーちゃんの穴の前に顔を近づける。
「いくよ論理くん」
「うん」
「んっ…」
ふーちゃんが下腹をぐっとふくらませる。と同時に、すはあああっと、下の口に息が吸い込まれた。その音は上の口で息を吸うときと同じだ。
「ぶーっ」
下腹を絞るふーちゃん。大きな音とともに、ふーちゃんの下の吐息が俺の顔に吹きつけられる。ああ…、ふーちゃんの生命の、強い匂い。この匂いが愛おしいんだ!
「感じてくれた?論理くん」
「うん!びんびん、に。もっかい感じたい」
「わかった。いくよ」
再びくちゃっと音がして、ふーちゃんの穴が一層開く。
「んんっ」
声を漏らして、ふーちゃんはまた下腹を動かす。すはあああっ、と大量の空気が穴に吸い込まれていく。
「んっ…んっ…」
息を吸い尽くしても、ふーちゃんは小さくうなりながら、なお吸い込もうとがんばってくれる。そんなふーちゃんが俺をさらに刺激する。
「ぶーっ」
懸命に吸い込み尽くしたふーちゃんが、一気に下の息を吐き出す。熱風が俺の顔を包んだ。
「どう、論理くん」
「ありがとう!ふーちゃんの下の息、熱いよ。匂いも粘っこい。ふーちゃんを感じる!」
俺はそう叫んで、ふーちゃんの穴を見つめた。茶色い粘液が三筋、黒い穴から垂れ流れている。うんちだ。ふーちゃん、萌えるよ!
「濡れてる、ふーちゃん」
「うんっ」
ふーちゃんは、その白くてふっくらした身体を、小さく揺らす。
「私も…、論理くん、感じてるもん!来て」
「え…。でもフェラもクンニも、してないけど」
「いい!私、早く論理くんが欲しい!」
枕に顔を突っ伏したまま、ふーちゃんが叫ぶ。くちゃっと穴が一瞬引き絞られ、また大きく開いた。すると穴から粘液が、また一筋垂れ、ふーちゃんの秘部にぼとりと伝い落ちていく。かすかに匂ってくるふーちゃんの便臭が愛おしい。
「今夜は論理くんが…、すはあああっ、恋しくてならないんだもん!欲しいもん!すはあああっ、今すぐに!」
独特のブレス音を目立たせながら、ふーちゃんが身を悶えさせる。突っ伏したふーちゃんの背中が、息を吸うたびに大きくふくらむ。その様子が、俺を一層刺激する。
「よし。ならいくよ、ふーちゃん」
「うんっ」
俺は立ち上がり、台所からサラダ油を持ってくると、俺のに塗る。そして、ふーちゃんにも塗ろうと、油を付けた指でふーちゃんの内側に触れた。その瞬間、
「あああんっ‼︎」
びくりと身体に電撃を走らせ、ふーちゃんがのけぞる。ふーちゃん…、穴全部で感じてるんだ。俺は指を動かし、さらにふーちゃんの内側に触れる。
「ああんっ、ああっ!ああっ…、すはあああっ、ああああんっ‼︎」
ふーちゃんの喘ぎ声が、氷雨の雨音と混じりあいながら、俺の下宿に響く。ふーちゃんが激しく息を吸い込むたび、穴の中がしとどに濡れていき、茶色い粘液がまた垂れる。これならサラダ油いらないと思うけど。
「よし。油塗った」
「はあ…、すはああっ、はあ…、すはああっ、論理…くん…」
豊かな肉感を放つ肩と背中が、胸式呼吸をしながら大きく波打つ。ふーちゃん、俺にそこまで感じてくれてるんだね…。そう思うと、俺のも一層たぎってくる。
「来て…。私の穴に…、すはああっ、入れて…、出してだもん」
「うん。じゃあいくよふーちゃん」
俺は立ち膝になり、俺のをふーちゃんの穴に近づける。奥歯を噛みしめると、俺のが一層勃ち、岩のように固くなった。そんな俺のを今、ふーちゃんの穴の縁に付ける。ふーちゃんの「きゃあああっ」という嬌声を聞きながら、俺は穴の中に俺のを沈み込ませていく。ぬるっと熱いふーちゃんの茶色い粘液が俺を迎え入れる。
「はあああっ、ふーちゃんっ!」
「論理…すはああっ、くんっ!」
お互い、肩と胸と背中を激しくふくらませながら、名を呼びあう俺たち。そしてさらに、俺のがふーちゃんの中を進む。時折穴がぎゅっと締まり、俺の男性が溢れそうになる。いや、まだだ…。射精するのを抑えつつ、ついに俺のを全部ふーちゃんの穴に入れる。
「論理くんっ、…入った?」
「うん入った。動かすよふーちゃん」
「うんっ、来て!」
「わかった。行くよっ」
ゆっくりとストロークを始める俺。ふーちゃんの中は粘液で溢れ、俺のにも茶色いものがべっとり付いてくる。その茶色いものが、ストロークとともに穴から漏れ出し、穴の周りの括約筋を濡らしていく。立ち上る便臭に、俺のが一層沸き立つ。ふーちゃん!俺、ふーちゃんの生命を感じてる。ふーちゃんの身体から出てきたものが、こんなにも愛しい!さらに突き上がる俺の男性。ふーちゃんの熱い直腸が、時に締まり、時に緩みながら俺のを包む。ああ…。ふーちゃんにつつまれて…。その波動に誘われて…。昇っていく俺。ストロークが勢いづく。
「ふーちゃん、ふーちゃんっ、はああああっ!熱い…、熱いよ…」
「すはあああっ!論理くん、論理くんーっ、すはあああっ!気持ち…すはっ!いいよぉ…。もっと、すはあああっ!もっとぉーっ」
「ふーちゃんっ‼︎」
その呼びかけにふーちゃんは、穴をぎゅっと締めて応える。ふーちゃん!ダメだ溢れるっ。極限まで激しく腰を振る俺。
「ふーちゃんっ、イく…イく…、出るよっ」
「論理くんっ!私も…私も…」
そしてふーちゃんは次の瞬間、「すはあああああっ‼︎」と胸いっぱいに激しく息を吸い込んだ。
「論理くんイくうううううううううっ‼︎」
その叫びとともに、ふーちゃんの括約筋がぎゅううっと俺のを締めつける。その力が、起爆剤になった。
「ふーちゃんっ、ふーちゃんっ…‼︎ぐうっ…あぐうっ…ぐっ、ぐううっ‼︎」
俺の精嚢の中のすべての精液が、ふーちゃんの穴に、ドクドクと熱く放たれていく。押し寄せる快楽が、俺の全身を駆け巡る。ふーちゃん!気持ちよすぎて、身体が痙攣してきたよ。俺、ふーちゃんと一つになれて、こんなにも嬉しい。こんなにも気持ちいい。
「はあっ…はああああっ、ふー、ちゃん…」
俺はふーちゃんの背中に倒れ込んだ。お餅のように滑らかで、しっとりと潤ったふーちゃんの背中。相変わらず体温が高い。
「はあっ、すはあああっ、論理くん…」
その背中が大きく波打つのがかわいい。息を弾ませながら俺は、俺のをふーちゃんの穴から抜く。精液がどろりと穴から流れ落ちてくるのを感じる。
「気持ち、よかったね、論理くん」
「ああ。ふーちゃんとまた気持ちよくなれて嬉しい。俺たちこれからもこうして、何度も、ね」
「うん。もちろんだよ」
俺の胸がふーちゃんの背中を押し、ふーちゃんの背中が俺の胸を押す。ふーちゃんと俺の、胸式呼吸。そんな呼吸を交わしあうことが、俺たちの絆だ。ふーちゃん…。博美とも遥とも通じあえなかったけれど、ふーちゃんとなら、お互い繋がっていられるよね。俺、信じてるから。
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