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第二章

25話

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急いで屋敷に戻り、昼食を家族で囲った。
部屋に戻るとソランがテミニエル様からいつも受け取ってくれているオーナー報酬から200万デル程使うことを決めてティエラと部屋を出た。

壺を出せるようになりたいけれど今はジェノシーのことも心配だ。
ルークは既に陣を書いて座ってリーツを高めることに集中していたけれど私たちに気がついたのか急に帰ったにも関わらずそっと振り向き「おかえり」と笑顔で迎えてくれた。

「ごめんねルーク!!お母さまに黙って来てるからどうしても食事はみんなで取らないといけないの。」

「この間もそうだったけど…ナーシャはレアロナ夫人と何かあったの?いや。話せ無いならいいけど昔は夫人のこと大好きで親子仲も良くて何でも話してたイメージだったから……」

「……そうね。色々ありすぎたくらいよ…。」
私は大まかに妹が産まれてからお義父さまから暴力を振るわれていたこと、暴力を振るわれていた理由がそのボリスと契約しようとしているメイドが原因だったとティエラとソランのおかげで気づけたこと。
お義父さまとの仲はぎこちないものの少し回復してきているけれど、お母様はわたしが暴力を振るわれていることを知っていたこと。最近はお母様が私を外に出すのも嫌がっていること。全てを話した。

「メイドの話はウィンから聞いていたけど…そんな……そんなことになっていたのか……辛かったよな」

私は自分のことを話していて少し気まずくなり下を向こうとするとフワッと身体が包み込まれた。

力強いけれど、優しい温もりを感じる。

「ふふ。でも今は面白いくらいにお父様は人が変わったように子供の頃一緒に過ごした頃のようなのよ。ただ、やっぱり今まで知ってたこともそうだし……異常に心配するお母さまに……少しどう接すればいいか悩んでるの……」

「ナーシャは夫人のこと大好きだったもんね…。けどナーシャはナーシャの思うままに動けばいいんだよ。心配してるからって全て我慢する必要はないし。だから公爵も外出することに反対していないんだろう?それにその……公爵はきっと……」

「きっと?」

「呪術をかけられてたんじゃないかな。と思うんだ。…メイドといる呪術師とか怪しいんじゃないかな。それなら最終手段にボリスと契約したのも……」

「呪術に……確かにそれなら辻褄が合うかもしれない……いままでと全然違うもの。それなら……お母様も呪術に掛けられてるのかもしれないわ。絶対呪術師を問い詰めてやらないと」

「うん!その意気だ!まずは壺を見つけないとね。 」

「頑張ってみる!」

私は目を閉じ、ソランとティエラの太い光を感じる。

その奥に……壺は……見つからない。
どうして?いったいどこにあるの?

「違う!!」

「びっくりした。どうしたの?」

「ごめんね、私、ジェノシーが心配で……でも色々調べが着くまで何も出来ないのも嫌だから…たくさんお買い物したいの」

「街のみんなのためにお買い物……か」

「そう!流石にお金を配るのはまた違うかなって……病人達には……お義父様を今度呼んでみようかしら。お買い物してからだとスッキリして壺を見つけられるかも」

「確かに気分がスッキリしてる時の方がいいかもしれないね。分かった。じゃあ行こう。」

「ええ!ありがとう」

「ううん。ジェノシーが心配なのは僕も同じだから。でもあまり時間も無いから明日はウィン1人に頼もう」

「~なんで僕が1人で……ティエラもいるじゃん?」

「ティエラはリーツを感じる役だよ」

「……それを言うなら僕が初めにナーシャのリーツに気がついたんだよー」

「それは知らなかったなあ。なあティエラ」

「ええ。私も知らなかったわ~」

「ふふふふふ。2人ともウィンに意地悪したら可哀想よ」

「ナ~シャ~。」

「とりあえず行きましょう。最後は叔父様の所へ行きたいの……」

3人は頷いてくれて二手に分かれてたくさん買い物をすることになった。
食べ物を中心に購入したものは配り歩いた。
街の人達はみんな喜んでくれて少し安心した。
だけどこうやって買い物をしても数日暮らしが楽になるだけで解決策には向かうことは無い。
「ナーシャ。こっちは終わったよ。買い物しながらそろそろその叔父様のところへ向かおうか」

「ええ。そうね」

叔父様が住んでいた屋敷へ向かう中、どんどん人気が無くなっていく。
昔は……ここも馬車が走っていたりドレスショップや宝石店などもあったはずなのにお店は閉まっていて物静かだ。

「あったわ。確かここ……よね?」

「ああ。僕はうろ覚えだけどここだったよ」

草木の手入れもされておらず、誰もいないために凄く暗い雰囲気に見える。
屋敷の柵は頑丈に閉められ、メイド1人いない。
これは……人が住んでるかすら分からず訪問なんて出来なさそうな状態だ。
「これは……きっと会うのは難しいね…そもそも居るのかすら分からない…」
「ええ……どうしよう。誰に工場を渡したのか調べたかったのに。」
"ナーシャ。今出来ることは他にもあるわ。出来ることからやりましょう。私を何の精霊だと思ってるの♪"

「そう…よね。うん!行きましょう!」

ぶどう園に向かったものの……木は元気も無くなり瀕死状態、
小麦畑には芽さえ生えることもない状態だった。

"…土に少し海水が加えられてるわねぇ"

「どういうこと!?」

"目の前が海って訳では無いし地中から入っていったわけでもないわ"

「……誰かが故意でかけたってこと?」

「可能性はあるわ。それにぶどうの方は海水に少し活性剤が混ざってるわね」

「もしかして…わざとブドウの木を枯らして…ぶどう園や小麦畑まで吸収する気で……?」

"だったらものすごーく悪どいわよね"

「ナーシャの叔父様のこともわざとカジノで騙して奪うところまで奪い尽くしたんだな。」


「元からぶどう園やワイン丸ごと奪うつもりで……。」

「ってことはぶどう園も犯人はカジノに誘った奴で決まりだな」

「絶対捕まえなきゃ!ジェノシーは私の故郷だもの」

「そうだね。リーツを高める修行と同時進行は大変だろうけどジェノシーがこんな状態のなか集中することは出来ないよな。」


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