記憶は儚く消えてゆく

Kyupipi

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記憶が消えて

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    あれ?ここは何処だろ。
少し薄暗い部屋で洗濯物が干してあった。横向きになると、キッチン?で青年が立って料理を作っていた。青年は、料理を持ってこっちに来た。

「起きた?良かった~、心配したんだよ。5日も寝てたから病院連れて行こうかと思ったよ。大丈夫?優貴ちゃん」

青年は、サンドウィッチを机の上に置いて言った。

「私は、優貴というの?あなたは、誰?どうして私はここにいるの?何故私のことを知っているの?」

慌てて起き上がると頭が痛かった。立ち上がるとふらついていた。

「落ち着いてくれ、とりあえずサンドウィッチ食べよう」

私は、サンドウィッチを口に入れた。青年もサンドウィッチを口に入れた。

「美味しい!私の名前は優貴というのね?あなたは?」

青年は涙目だった。

「俺は榊原リツキ。優貴ちゃんの婚約者だよ。記憶が消えているのか?本当に、何も憶えていない?」
「はい、5日前の記憶も憶えていない、私以外のことはえっと基本的なことは分かります。サンドウィッチ美味しかったです。ありがとうございます」

リツキは、お皿を持って片付けに行った。何も思い出せないまま一週間を過ごした。しばらくは、動くと大変だろうからとリツキは一緒に部屋で過ごしてくれた。

「なぁ、今日良い天気だからお花見しようか?」

リツキは、サンドウィッチを籠に入れて手を繋いで外に出た。
  外の空気は、忙しそうだった。歩いて10分の公園に着いて、ベンチに座って籠を開けた。サンドウィッチを渡すと食べた。

「美味しいなぁ!本当に良い天気だね、嬉しいよ桜も満開で外で食事。ねぇ、リツキ5日前のこと知ってたりする?」

ゆっくり立ち上がって綺麗なフワフワの髪を耳にかけて言った。

「分からないんだ。俺は、優貴ちゃんが旅行から帰って来たら突然倒れて寝てしまったんだよ。それから、5日も寝てたから心配したんだよ。まさか、記憶喪失になるとは思わないよ。」

そうだよね、リツキは心配してくれたんだ5日も今は聞かないようにしよう。

「ありがとう心配してくれて」

でも、何か大事なことを忘れているような気がしていた。
       
      お花見は、楽しかった。公園の広場で、犬と遊んだり、子供達と鬼ごっこしたり、他の人とお花見一緒に見たり、1日が短かった。帰って来て、私は寝た。

「おはよう、優貴ちゃん」

リツキは、朝ごはんの用意してくれた。毎日楽しかった!

「おはよう、ごめんね。リツキ、私昨日はお花見だったよね?」

カレンダーに書いてあるのを見て言った。それをリツキは、見逃さなかった。

「うん、そうだよ。どうかしたの?」

リツキは、不安を感じた。

「あのね、私昨日のお花見のことだけ憶えていないの」

私は、朝ごはんを食べ終わるとお皿を持って片付けに行った。
リツキは、こっちに来て言った。

「気にしないで、だけど困るね色々。これから、学校行くんだけど休む?無理して行かなくて良いよ。そしたら、俺も休めるからな」

その日から、しばらく二人は休むことにした。
リツキは、何となく毎日が不安だった。優貴ちゃんが俺の記憶が消えてなくなるのは、嫌だ。もし、優貴ちゃんの記憶が戻ったらどうなるんだろうと。

「そうだ、テレビゲームしないか?」

そう言って、テレビをつけて用意した。

「はい、勉強とかしなくて良いの?」

テレビゲームをやりながら言った。そういえば、優貴ちゃんは自分が頭良いの知らないのかな?まさか、記憶をなくして頭悪くなったってことはないよなぁ。

「うーん、優貴ちゃんは頭が良いんだよ。学校では、成績優秀学年毎回3位以内には必ず入っているんだ。まぁ、俺は決まって7位だけど。」

リツキは、笑いながら言った。

「そうなの!私、頭良いんだね。良かった~」

待て、忘れる!?予想はしていたがまさかそう思い本棚から問題集を持ってきて渡した。

「あのさ、この試合終わってからで良いからここのページからここまで解いてほしい」

リツキは、また不安を感じながら言った。

「うん、今から問題やるよ。それからテレビゲームしよっか。」

笑いながら言って、渡された問題集を解き始めた。
20分後、リツキに問題集を渡した。リツキは、答えを見ながら丸付けをした。驚いたことに答えが全部あっていた。ほっとため息を吐くと

「良かった。優貴ちゃんは、頭は異常ないみたいだね。ありがとう。さてと、この試合が終わったらサンドウィッチ食べようか」
「ねぇ、それってどういう意味?」
「え、あっ違うよ!優貴ちゃんはやっぱり頭良いなって思っただけだよ!」

二人は、テレビゲームの試合を楽しんだ。リツキと優貴の試合記録はどっちも、引き分けだった。
リツキは、サンドウィッチを作るためキッチンに向かった。

「リツキは、サンドウィッチ好きなの?」

リツキは、こちらを向くと

「優貴ちゃんは、サンドウィッチ好きなの?」

と、同じことを聞き返した。

「リツキが作ってくれる、サンドウィッチは凄い好きよ。毎日、食べても飽きないかも」

笑いながら、そう言うとキッチンに向かいリツキの隣に立った。リツキは、嬉しそうにサンドウィッチを作った。完成して、机の上に置いて二人は

「「いただきます」」

と、言って食べた。

「優貴ちゃん、口にサンドウィッチついてる。」

リツキは、そう言って口についてるサンドウィッチを取って自分の口に入れた。顔が赤くなっていた。

「あ、ありがとう。リツキ、明日一緒に学校行きたいなぁ~。」

リツキは、驚いた。

「しばらくは、休んでも良いと思うよ。でも、なんで急に?」

リツキは、残りのサンドウィッチを口に入れた。まぁ、俺が休みたいだけだけど。

「私は、5日間寝てて5日前は旅行行ってたとしたら凄い学校行っていないのでしょう。それに何かあってもリツキがいるんでしょ。なら、大丈夫じゃないかな?」

サンドウィッチの終わったお皿を持って立ち上がった。そして、キッチンに向かい片付けた。

「しばらくは、さすがに休んだ方が良いと思うよ。俺は、優貴ちゃんが心配なんだ。もう少し、記憶喪失の特徴とか分かって来たら学校行こう。今、行って倒れても大変だろうから。」

リツキも、サンドウィッチの終わったお皿を持ってキッチンに向かい片付けた。
しばらくして、ドアのチャイムが鳴った。リツキが、外に出ると同じクラスの女子がいた。同じクラスの女子は、片手に沢山の手紙を持っていた。

「ありがとうございます。良かったらサンドウィッチどうですか?」

同じクラスの女子は、微笑むと

「大丈夫ですか?優貴ちゃんいるのでしょ。記憶のことは先生から聞いたの、私凄い心配です。まだ、会わない方が良いみたいですね。」

同じクラスの女子は、優貴ちゃんとは友達だった。
そして、手紙を渡すと帰って行った。

「友達から、手紙届いたよ。机の上に置いとくね。」

そう言って、机の上に置いた。

「友達?私は、友達もいるんだね。凄いなぁ」

リツキは、笑っていた。そこまで、記憶喪失とはびっくりしていたがもう笑うしかなかった。

「マジで、そこも記憶喪失なの?本当に、大丈夫か?やっぱり、病院行った方が良いかもしれないよなぁ」

リツキが、そう言うと嫌がるような顔でこちらを見ていた。それでも、リツキは凄く不安だった。

「リツキに、渡したい物があるの待ってて」

部屋の奥から持ってきたのは少し大きめの段ボール箱だった。そして、段ボール箱を開けると中から可愛い大きなぬいぐるみが入っていた。

「え?待て、これを俺に?」

リツキは、焦った。

「リツキ、可愛い大きなぬいぐるみでしょ。気に入った?」

確かに、小さな子供とかだったら喜ぶ。まぁ、優貴ちゃんがあげると言ってくれてるから貰おう。リツキは、爆笑した。

「ありがとう。嬉しいよ、部屋に飾っとくな。」

そう言って、部屋に飾った。俺はあの時ちゃんと説得してでも無理やりでも病院に連れて行くべきだった!
5月になった。
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