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24話 一度目のログアウト
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物納のクエストをし、バーニィとスワリナが訓練をしながら僕はのんびりする。そしてたまにミラルダさんとお茶をして、その時にミラルダさんのお菓子やご飯と自分達が作ったものや釣って来た魚をトレードする。偶に冒険者ギルドに行って依頼を幾つかこなす。そんな暮らしが二週間ほど続き、予定の最初のログアウト時間を迎えた。現実ではバーニィの住んでいるタイムゾーン時間でちょうど十二時である。
「じゃあちゃんとご飯を食べて、トイレに行ったりとか諸々を済ませて再集合で。一時間半くらいかな?」
「れっとみーしー、マミィにはランチ頼んであるんだけどっ。遅くなるようならログイン出来る時間メールするっ。」
「了解。そいじゃあまた後でね?」
バーニィは僕に抱き着くとキスをし、手を振りながらログアウトしていった。僕はスワリナにも別れを告げる。
「じゃあスワリナ、暫くログアウトするから。また後でね。」
スワリナも僕に抱き着いてキスをし、手を振る。バーニィと違って僕がログアウトするのだけどね。
◇◇◇◇◇
あ、スワリナを送還してないなぁ、と思いながらヘルメットを置いた。バーニィのタイムゾーンでは十二時だけれど、日本では朝の四時。コンビニももしかすると弁当とかスッカラカンかも知れない、と予め買って来てあった弁当とサラダを食べ、トイレとかを済ませてしまう。時差については何日も前から体を慣らして、というほどではないけれど、取り敢えずシャワーを浴びる事で眠気も飛んで行く。
窓のカーテンから外を覗いてみるも、漸く空が白み始めたといったところだった。さっさとやるべき事をこなしたせいか、時間は五時を回ったところで、約束の時間までには少々時間がある。何となしにスマホを取り出すと、メールが二通来ている事に気が付いた。…うーん、あれだなぁ。ゲーム内でメールの確認は出来たはずだから、転送する設定にしておこうかな。
一通はTA時代の友人から。自分もアルファテストに参加するから合流しよう、か。これはバーニィと要相談だな。まぁ、ラザロだからバーニィも良いっていいそうだけど。もう一通は何だこれ、スパムかな。『新しい世界で生きてみませんか。』って何だこりゃ。差出人はアーレリア。…TAVRで最初に会った誕生を司る女神って、こりゃ胡散臭い。それに、もうTAVRの中で充分新しい世界で暮らしてるっつーに。
スパムっぽいメールはじっくり読む意味もないとサクッと削除し、僕はTAVRについて書かれた記事をザッと調べる。日本語のサイトではあれか、Five-Gamers辺りで今日からアルファテストが開始、みたいな記事がある程度でそこまで記載のあるページはないかな。アルファテストに参加してるプレイヤー自体少ないし、その中でも日本人プレイヤーはもっと少ないだろうし。居ても一人か二人ネトゲ関連の記者が紛れているかいないかだろうなぁ。英語のネトゲポータル系のサイトではTAVRの専用ページで記事が幾つか上がって来てるけど、サーバファーストでSPが得られるけど、スタートダッシュした人だけが得する形のボーナスは如何なものか、という論調の物が出てる。…確かに、プレイヤーが増えるに従ってそういう余地が無くなって行くだろうし、初回ボーナス以外でもある程度貰える形にしないと不満と強さの差が出来ちゃうだろうなぁ、とは思う。ベータに移行したり、本番に移行する際にキャラリセットは掛かるんだろうけど、それでも重課金というか、一定以上寄付した人は成長に三倍の補正が掛かったりしてるわけだし。レベルはカンストもあるだろうけどスキルについては上限突破が云々ってことはある程度青天井だろうしね。
僕はタイマーをセットして、稀に書いていたブログにプレイ日記っぽい物を上げるべく書いていく。幾つか日常のシーンをキャプチャーしてあったから、それを紹介する形にする。…一応宣伝になるからなのか、プレイ動画や画像の公開についてはあまり制限が掛かって居ないからね。こうやって記事を書いておけば、TA時代の友人や、ほんの少しかじった他のゲームでの友人なんかもオープンベータ辺りから参戦してくるかもしれない。僕みたいにちょっと休憩、とログアウトしているプレイヤーの目にも止まる可能性もあるしね。
記事をアップし終わり、追加で情報を探して居たところにバーニィからメールが一通送られて来たのに気が付いた。もう少し掛かるから先にログインしててくれ、か。父ちゃんが来ちまったんなら仕方ないよな。ということで、僕はバーニィにラザロのこともメールで送り、先にログインする事にした。
◇◇◇◇◇
窓から射し込む光は柔らかく、誰も居ない部屋を照らしていた。ベッドは綺麗に整えられ、机の上もしっかり片付けられている。…そういえば送還していなかったスワリナはどうしているだろうと思ったのだけれど、自分の周りにもいないし、部屋の中にもその気配はない。取りあえずミラルダさんに挨拶に行く事にし、一階に降りるとそこにはお茶をしているスワリナとミラルダさんの姿があった。
「おはようございます。」
「あ!主!!」
「おはよう。」
カウンターの前の椅子に座ると同時に、ミラルダさんがどこから出したのといいたくなるような速度でお茶を出してくれる。うん、いい匂い。紅茶かな。
「ありがとうございます。」
「バーニィちゃんは?」
「それが、お父さんが来たらしくて、もう何日か帰ってくるのは遅くなりそうです。」
「そう、寂しいけど仕方ないわねぇ。」
「あ、あたいも居るさね。」
スワリナが照れたような顔でそう言うと、ミラルダさんはニッコリと笑みを浮かべ、スワリナのカップに新たなお茶を注いだ。
「それはそれ、これはこれ、よ。」
「そんなもんさね?」
「そんなものなのよ。」
随分息が合ってるなぁ、と思いながら、僕は気になっていた事を切り出してみる。
「ところで、スワリナ。確か送還するのを忘れてたような気がするんだけど。」
「そうさね、忘れていったね。」
そう頷いたスワリナは淡々と今日までの出来事を説明してくれたけれど、基本的に毎日家の掃除をしたら後はミラルダさんの手伝いをしていたらしい。何も指示を出していないのに自分で食い扶持を稼いで凌いでいたとは良く出来たゴブリンである。
「よく頑張ったね。」
「う、そ、そうさね、でもこんなの朝飯前さね。」
僕の言葉に顔を真っ赤にしながら強がるスワリナの頭を撫で、スワリナが差し出して来たおそらく財布と思しき小さな袋を一旦受け取り、袋の口を開いて中を見てからスワリナへと返す。
「これはスワリナの稼いだお金だから、好きな事に使うといいよ。」
「そうさね、それじゃあ今度嫁が帰って来たら一緒に買い物にでも行くさね。」
「それがいいね。」
袋の中には殆ど無いとはいえ金貨も見えたし、銀貨や銅貨がじゃらじゃらと沢山入っていたので買い食いしたり、小物を買うくらいなら充分間に合うと思うんだよね。TAではこれまでと違ってトラッシュ…ゴミアイテムを売買可能なNPCが無条件で買い取ってくれる訳では無いから、これまでゲーム中では使用しなかったような家の中で使う様な道具なんかはちょっとした依頼をこなしたくらいで買えるだろう金額に収まっている。トラッシュが高価で売れる、というような事もないだろうし、おそらくその逆も無いんだろうな。…芸術品についてはよくわからないけど。
取りあえず、今日の御用聞きも終わったらしいスワリナと釣りにでも行こうかと話していると、ミラルダさんがそう言えばと、魚を卸せるフィッシャーマンズ・オアシスという店を紹介してくれた。視界の片隅では発生したクエストを受けるかどうかのダイアログが出ているけれど、僕がありがとうございます、と言った段階で自動的に受領されたらしく、視界の隅にあるクエスト一覧が表示されるエリアに一行追加された。
”タングル・ライバーの小さな店”
僕は飲みかけていたお茶を吹き出しそうになった。タングル・ライバーと言えば、TAで釣り好きなら知らぬ人はいない有名人である。時にはジャングル奥地で、時には開拓地の近くの川で、またある時にはダンジョンの最奥地にある地底湖で、彼に出会っては釣り関連のクエストを何度も何度もする事になる(クエストを受けずにスルーするという選択肢もあるにはあるけれど)。彼の名前の付いた釣竿や、釣り餌が無限に取り出せる魚籠等が報酬で貰える事もあり、それには釣りのスキルが大幅に上がる補正が付いていたりして、そういう僕も彼のクエストはしっかり全部こなして釣竿や魚籠も使っていた。
これは絶対に行かなければならない、と思いながらも、バーニィ抜きで行くのはそれはそれで悪い気もしていた。なにせ、釣りに掛ける情熱は僕よりもなぜか上なのだ。まぁ、今度連れて行けばいいか、と僕はミラルダさんにお暇する事を告げ、スワリナと一緒にミラルディ・ハイドアウトを後にした。
「じゃあちゃんとご飯を食べて、トイレに行ったりとか諸々を済ませて再集合で。一時間半くらいかな?」
「れっとみーしー、マミィにはランチ頼んであるんだけどっ。遅くなるようならログイン出来る時間メールするっ。」
「了解。そいじゃあまた後でね?」
バーニィは僕に抱き着くとキスをし、手を振りながらログアウトしていった。僕はスワリナにも別れを告げる。
「じゃあスワリナ、暫くログアウトするから。また後でね。」
スワリナも僕に抱き着いてキスをし、手を振る。バーニィと違って僕がログアウトするのだけどね。
◇◇◇◇◇
あ、スワリナを送還してないなぁ、と思いながらヘルメットを置いた。バーニィのタイムゾーンでは十二時だけれど、日本では朝の四時。コンビニももしかすると弁当とかスッカラカンかも知れない、と予め買って来てあった弁当とサラダを食べ、トイレとかを済ませてしまう。時差については何日も前から体を慣らして、というほどではないけれど、取り敢えずシャワーを浴びる事で眠気も飛んで行く。
窓のカーテンから外を覗いてみるも、漸く空が白み始めたといったところだった。さっさとやるべき事をこなしたせいか、時間は五時を回ったところで、約束の時間までには少々時間がある。何となしにスマホを取り出すと、メールが二通来ている事に気が付いた。…うーん、あれだなぁ。ゲーム内でメールの確認は出来たはずだから、転送する設定にしておこうかな。
一通はTA時代の友人から。自分もアルファテストに参加するから合流しよう、か。これはバーニィと要相談だな。まぁ、ラザロだからバーニィも良いっていいそうだけど。もう一通は何だこれ、スパムかな。『新しい世界で生きてみませんか。』って何だこりゃ。差出人はアーレリア。…TAVRで最初に会った誕生を司る女神って、こりゃ胡散臭い。それに、もうTAVRの中で充分新しい世界で暮らしてるっつーに。
スパムっぽいメールはじっくり読む意味もないとサクッと削除し、僕はTAVRについて書かれた記事をザッと調べる。日本語のサイトではあれか、Five-Gamers辺りで今日からアルファテストが開始、みたいな記事がある程度でそこまで記載のあるページはないかな。アルファテストに参加してるプレイヤー自体少ないし、その中でも日本人プレイヤーはもっと少ないだろうし。居ても一人か二人ネトゲ関連の記者が紛れているかいないかだろうなぁ。英語のネトゲポータル系のサイトではTAVRの専用ページで記事が幾つか上がって来てるけど、サーバファーストでSPが得られるけど、スタートダッシュした人だけが得する形のボーナスは如何なものか、という論調の物が出てる。…確かに、プレイヤーが増えるに従ってそういう余地が無くなって行くだろうし、初回ボーナス以外でもある程度貰える形にしないと不満と強さの差が出来ちゃうだろうなぁ、とは思う。ベータに移行したり、本番に移行する際にキャラリセットは掛かるんだろうけど、それでも重課金というか、一定以上寄付した人は成長に三倍の補正が掛かったりしてるわけだし。レベルはカンストもあるだろうけどスキルについては上限突破が云々ってことはある程度青天井だろうしね。
僕はタイマーをセットして、稀に書いていたブログにプレイ日記っぽい物を上げるべく書いていく。幾つか日常のシーンをキャプチャーしてあったから、それを紹介する形にする。…一応宣伝になるからなのか、プレイ動画や画像の公開についてはあまり制限が掛かって居ないからね。こうやって記事を書いておけば、TA時代の友人や、ほんの少しかじった他のゲームでの友人なんかもオープンベータ辺りから参戦してくるかもしれない。僕みたいにちょっと休憩、とログアウトしているプレイヤーの目にも止まる可能性もあるしね。
記事をアップし終わり、追加で情報を探して居たところにバーニィからメールが一通送られて来たのに気が付いた。もう少し掛かるから先にログインしててくれ、か。父ちゃんが来ちまったんなら仕方ないよな。ということで、僕はバーニィにラザロのこともメールで送り、先にログインする事にした。
◇◇◇◇◇
窓から射し込む光は柔らかく、誰も居ない部屋を照らしていた。ベッドは綺麗に整えられ、机の上もしっかり片付けられている。…そういえば送還していなかったスワリナはどうしているだろうと思ったのだけれど、自分の周りにもいないし、部屋の中にもその気配はない。取りあえずミラルダさんに挨拶に行く事にし、一階に降りるとそこにはお茶をしているスワリナとミラルダさんの姿があった。
「おはようございます。」
「あ!主!!」
「おはよう。」
カウンターの前の椅子に座ると同時に、ミラルダさんがどこから出したのといいたくなるような速度でお茶を出してくれる。うん、いい匂い。紅茶かな。
「ありがとうございます。」
「バーニィちゃんは?」
「それが、お父さんが来たらしくて、もう何日か帰ってくるのは遅くなりそうです。」
「そう、寂しいけど仕方ないわねぇ。」
「あ、あたいも居るさね。」
スワリナが照れたような顔でそう言うと、ミラルダさんはニッコリと笑みを浮かべ、スワリナのカップに新たなお茶を注いだ。
「それはそれ、これはこれ、よ。」
「そんなもんさね?」
「そんなものなのよ。」
随分息が合ってるなぁ、と思いながら、僕は気になっていた事を切り出してみる。
「ところで、スワリナ。確か送還するのを忘れてたような気がするんだけど。」
「そうさね、忘れていったね。」
そう頷いたスワリナは淡々と今日までの出来事を説明してくれたけれど、基本的に毎日家の掃除をしたら後はミラルダさんの手伝いをしていたらしい。何も指示を出していないのに自分で食い扶持を稼いで凌いでいたとは良く出来たゴブリンである。
「よく頑張ったね。」
「う、そ、そうさね、でもこんなの朝飯前さね。」
僕の言葉に顔を真っ赤にしながら強がるスワリナの頭を撫で、スワリナが差し出して来たおそらく財布と思しき小さな袋を一旦受け取り、袋の口を開いて中を見てからスワリナへと返す。
「これはスワリナの稼いだお金だから、好きな事に使うといいよ。」
「そうさね、それじゃあ今度嫁が帰って来たら一緒に買い物にでも行くさね。」
「それがいいね。」
袋の中には殆ど無いとはいえ金貨も見えたし、銀貨や銅貨がじゃらじゃらと沢山入っていたので買い食いしたり、小物を買うくらいなら充分間に合うと思うんだよね。TAではこれまでと違ってトラッシュ…ゴミアイテムを売買可能なNPCが無条件で買い取ってくれる訳では無いから、これまでゲーム中では使用しなかったような家の中で使う様な道具なんかはちょっとした依頼をこなしたくらいで買えるだろう金額に収まっている。トラッシュが高価で売れる、というような事もないだろうし、おそらくその逆も無いんだろうな。…芸術品についてはよくわからないけど。
取りあえず、今日の御用聞きも終わったらしいスワリナと釣りにでも行こうかと話していると、ミラルダさんがそう言えばと、魚を卸せるフィッシャーマンズ・オアシスという店を紹介してくれた。視界の片隅では発生したクエストを受けるかどうかのダイアログが出ているけれど、僕がありがとうございます、と言った段階で自動的に受領されたらしく、視界の隅にあるクエスト一覧が表示されるエリアに一行追加された。
”タングル・ライバーの小さな店”
僕は飲みかけていたお茶を吹き出しそうになった。タングル・ライバーと言えば、TAで釣り好きなら知らぬ人はいない有名人である。時にはジャングル奥地で、時には開拓地の近くの川で、またある時にはダンジョンの最奥地にある地底湖で、彼に出会っては釣り関連のクエストを何度も何度もする事になる(クエストを受けずにスルーするという選択肢もあるにはあるけれど)。彼の名前の付いた釣竿や、釣り餌が無限に取り出せる魚籠等が報酬で貰える事もあり、それには釣りのスキルが大幅に上がる補正が付いていたりして、そういう僕も彼のクエストはしっかり全部こなして釣竿や魚籠も使っていた。
これは絶対に行かなければならない、と思いながらも、バーニィ抜きで行くのはそれはそれで悪い気もしていた。なにせ、釣りに掛ける情熱は僕よりもなぜか上なのだ。まぁ、今度連れて行けばいいか、と僕はミラルダさんにお暇する事を告げ、スワリナと一緒にミラルディ・ハイドアウトを後にした。
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