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3話 チュートリアル
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「それにしても、時間掛けすぎちゃってゴメンね?」
「いえいえ、みんな同じようなものですよ。中には話を聞かずに予め決めてた物で行くから早く!早く!って言ってた人も数名居ましたけど、他の人達はのんびり納得が行くまで考えていますよ。…キャラクターは作っている時が一番楽しいのでしょう?ふふっ」
「いやまぁ、そういう側面もあるんですけど。」
アーレリアは微笑ましい、といったような笑顔を僕に向けると、キャラクターメイキングの下着姿だった僕に幾つかの装備の詰まったバックパックを渡してきた。
「初期装備は耐久度が減らない作りになってるわ。ココットには近接戦闘スキル向けの装備一式と、罠解除用の道具一式、弓関連の道具一式に、魔法使い用の装備一式、生産者の装備一式、と一杯渡せるわね。本当なら、スキル構成から一番使うであろう装備一式だけなんだけどね、特典ボーナスがね?」
「…特大のアイテムボックスがついてくる理由がわかりました。荷物がいっぱいになるからですね?」
「ふふっ、そうみたいね。いきなりこんなに渡されても持ち歩くだけで大変よね。
…例えば近接戦闘装備一式と罠解除の道具なら、胴鎧を着て適切な武器を選んだらあとは道具類を鎧の入っていたバックパックに入れて背負えば終わりなのよね。アイテムボックスの小は八ポイントで取れるから、戦闘だけしたい子でも一応取れるわよ。小だと小さなウォークインクローゼットひとつ分だからそんなに入らないけれど、人が背負える分よりは全然多いですからね。」
「小でも結構大きいんですね。」
「ええ。」
僕はとりあえず生産者向けの装備一式を開いて、その中にあったツナギと安全靴を引っ張り出して装備した。うん。
「一応チュートリアルもあるわよ。…それじゃあ頑張って世界を楽しんでね? ココット。」
「ありがとうございました。」
またしてもホワイトアウトしていく視界には、笑顔で手を振るアーレリアの姿があった。さすがにアーレリアとはデータ引継ぎがなかった時のベータテストとかの時にしか会わないんだろうなぁ。
視界が正常に戻ると、僕は天井が高い所でぽっかりと空いた洞窟の中に立っていた。初期ゾーンということだろうか、ほんわかしたような音楽が流れている。
僕の周りにはいろんな種族の恐らくプレイヤーだと思われる人達も立ったり座ったりしていて、ステータスをみたりしてるのだろうか、じっとしている人が多い。僕も一応眺めてみようとステータスを開いた。
==========
ココット・ジェリー
ドラグーン
Lv 1
HP 80
MP 200
ST 40
STA 8
STR 5
AGI 5
DEX 36
INT 20
WIS 20
LUK 35
CHA 15
スキル
SP 0
経験値補正+200%、スキル上限突破、アイテムボックス特大、エルフ・ドワーフ・ハーフリング・ヒューマン・ドラグーン共通語、素材消費軽減(大)、神の血肉、初級素材箱、初級生産設備室、魔力消費軽減(中)、範囲拡大(魔法)、威力拡大(魔法)(中)、鍛冶(1)、木工(1)、裁縫(1)、革細工(1)、宝石細工(1)、錬金術(1)、料理(1)、建築(1)、付与術(1)、剣術(1)、斧術(1)、棍術(1)、槍術(1)、弓術(1)、格闘術(1)、盾術(1)、火魔法(1)、水魔法(1)、風魔法(1)、土魔法(1)、光魔法(1)、闇魔法(1)、召喚魔法(1)、伐採(1)、採掘(1)、植物採集(1)、サルベージ(1)
所持金 0
==========
やっぱりチートだよなぁ。まぁ、スキル達はとりあえずあるけど最大値だったりするわけじゃ無いから、全部鍛えないとならないけどね。僕は一応アイテムボックスから片手剣を取り出すと、剣帯を使って腰にぶら下げた。…重い。
「お前達、訓練に来たのだろう? ちょうど前のグループが終わった所なんだ。剣術のスキルがある奴はついて来い。」
歩いて近づいてきた革鎧を着た大柄な女性が鞘に入ったままの片手剣を肩に乗せながら言った。普通のヒューマンぽいね。顔立ちはロシアっぽい感じの美女だけれど、その迫力はハンパ無い。周りからは、お姉様…とかいう言葉も聞こえて来る。僕は一応生産と魔法に重きを置いてキャラクターを作ったけれど、取り敢えずチュートリアルを受けておいても良いかな、という気持ちでついて行く事にする。視界の隅っこにチュートリアルのクエストダイアログが表示され、自動的に受領のマークが点滅する。
「…、…、六人か、ちょうど良いな。おい、そこのツナギの、お前だ。ちょっと来い。」
「は、はい。」
「よし、まず適当に構えてみろ。」
何故かトップバッターになった僕は取り敢えず、左足を一歩前に出し、腰を下げて左手を前に構えた。剣は振りかぶれる用に注意する。お姉様は僕の構えを手で、さ、さ、と動かして矯正する。
「ま、構えはそんなもんだろ。盾が使えるなら持っても使える構えだ。よし、それじゃああの案山子に向かって剣技を発動してみろ。スキルを持っていれば一番基本の『斬撃』が使えるはずだ。スキル名を意識するんだ。」
「はい。」
僕は踏み込んで剣を振り上げると、スキルを使うイメージをして袈裟懸けに振り下ろした。剣の周りには細やかだけれどもエフェクトが表示されていたけれど、手に感じる感触は殆ど無く、布を裂くかのように案山子を切り裂いた。
切り裂かれた案山子は光の粒になって消えて行ったけれど、次の瞬間には同じ場所にリポップした。勢い余って地面に剣を叩き付けてしまったものの、慌てずに土をささっと払って鞘に収める。お姉様はパチパチと笑顔で拍手をしてくれた。
「お前、中々筋が良いな。DEXが高いのか? 一発目はタイミングが合わなくて失敗する事もそれなりにあるんだがな。」
「生産もするつもりだったので、DEXは高くしてます。」
「そうか、中々良い判断だ。…よし、次ぃ!お前来い!」
そうして六人全員がこなした後、クエストダイアログにステージ更新のマークが踊った。あれ?完了じゃないの? クエストダイアログを確認すると、次の達成目標がお礼に掃除をしよう、になってる。
「よし、お前らちょっとついて来い。教えてやったんだからちょっと労働力を提供して貰うぞ。」
僕達プレイヤーは顔を見合わせた。今までのTAであれば、基本的にクエストをこなせばその内容如何に関わらず、何某かこちらのプラスになる様な物が貰えるのが通常だった。チェーンクエストの様な続き物の中であっちの手伝いをして来いとかこれを手伝ったらこれをやるみたいな物は普通だったけれど、それは基本的にこちらの労働の対価として何かを貰うという形から外れたものではなかったと思う。それが金銭だけじゃ無くて、物だったり、評判だったりはしたけどね。まぁ、ゲームの中で考えるからおかしいと思うんだよね。普通に生活をしていたなら、教えて貰ったり、何かをして貰ったのに更に何か貰うのを当然とかって事にはならないからね。そんな事をプレイヤー達で話をしながらお姉様に着いて行くと、炉であったり、織り機であったりそういった生産設備が並んでいる辺りに連れて行かれた。
「お前とお前、あの辺道具が散らばってるから、壁に提げてある場所に戻しておけ。戻す場所には道具の絵が描いてあるからわかるだろ。それとお前、あそこの道具入れから箒と塵取りを持ってきてそこの通路のゴミを綺麗に掃いておけ。ゴミは道具入れの脇にそれぞれ分類が書いてある箱が置いてあるからそこに入れろ。ちゃんと分別するんだぞ。」
「オイっす!」
「よし、残りの三人は、炉の周りと、あそこの革細工のテーブル周りと木工の机のところの掃き掃除だ。生産職の人の邪魔すんじゃねえぞ。あくまでお前らは奉仕活動なんだからな。」
「了解です!」
サーイエッサーとか言いたくなる様な勢いでみんなはバタバタと走っていく。さっさかと掃除をして木屑を燃えるゴミに突っ込んで、道具入れに箒と塵取りを戻して、とお姉様の所に戻ると、よし、行っていいぞと木で出来た小さなタグを渡されて解放された。クエストダイアログも完了になってる。ふーむ、と思いながら今度は生産のチュートリアルを受ける事にした。
「いえいえ、みんな同じようなものですよ。中には話を聞かずに予め決めてた物で行くから早く!早く!って言ってた人も数名居ましたけど、他の人達はのんびり納得が行くまで考えていますよ。…キャラクターは作っている時が一番楽しいのでしょう?ふふっ」
「いやまぁ、そういう側面もあるんですけど。」
アーレリアは微笑ましい、といったような笑顔を僕に向けると、キャラクターメイキングの下着姿だった僕に幾つかの装備の詰まったバックパックを渡してきた。
「初期装備は耐久度が減らない作りになってるわ。ココットには近接戦闘スキル向けの装備一式と、罠解除用の道具一式、弓関連の道具一式に、魔法使い用の装備一式、生産者の装備一式、と一杯渡せるわね。本当なら、スキル構成から一番使うであろう装備一式だけなんだけどね、特典ボーナスがね?」
「…特大のアイテムボックスがついてくる理由がわかりました。荷物がいっぱいになるからですね?」
「ふふっ、そうみたいね。いきなりこんなに渡されても持ち歩くだけで大変よね。
…例えば近接戦闘装備一式と罠解除の道具なら、胴鎧を着て適切な武器を選んだらあとは道具類を鎧の入っていたバックパックに入れて背負えば終わりなのよね。アイテムボックスの小は八ポイントで取れるから、戦闘だけしたい子でも一応取れるわよ。小だと小さなウォークインクローゼットひとつ分だからそんなに入らないけれど、人が背負える分よりは全然多いですからね。」
「小でも結構大きいんですね。」
「ええ。」
僕はとりあえず生産者向けの装備一式を開いて、その中にあったツナギと安全靴を引っ張り出して装備した。うん。
「一応チュートリアルもあるわよ。…それじゃあ頑張って世界を楽しんでね? ココット。」
「ありがとうございました。」
またしてもホワイトアウトしていく視界には、笑顔で手を振るアーレリアの姿があった。さすがにアーレリアとはデータ引継ぎがなかった時のベータテストとかの時にしか会わないんだろうなぁ。
視界が正常に戻ると、僕は天井が高い所でぽっかりと空いた洞窟の中に立っていた。初期ゾーンということだろうか、ほんわかしたような音楽が流れている。
僕の周りにはいろんな種族の恐らくプレイヤーだと思われる人達も立ったり座ったりしていて、ステータスをみたりしてるのだろうか、じっとしている人が多い。僕も一応眺めてみようとステータスを開いた。
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ココット・ジェリー
ドラグーン
Lv 1
HP 80
MP 200
ST 40
STA 8
STR 5
AGI 5
DEX 36
INT 20
WIS 20
LUK 35
CHA 15
スキル
SP 0
経験値補正+200%、スキル上限突破、アイテムボックス特大、エルフ・ドワーフ・ハーフリング・ヒューマン・ドラグーン共通語、素材消費軽減(大)、神の血肉、初級素材箱、初級生産設備室、魔力消費軽減(中)、範囲拡大(魔法)、威力拡大(魔法)(中)、鍛冶(1)、木工(1)、裁縫(1)、革細工(1)、宝石細工(1)、錬金術(1)、料理(1)、建築(1)、付与術(1)、剣術(1)、斧術(1)、棍術(1)、槍術(1)、弓術(1)、格闘術(1)、盾術(1)、火魔法(1)、水魔法(1)、風魔法(1)、土魔法(1)、光魔法(1)、闇魔法(1)、召喚魔法(1)、伐採(1)、採掘(1)、植物採集(1)、サルベージ(1)
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やっぱりチートだよなぁ。まぁ、スキル達はとりあえずあるけど最大値だったりするわけじゃ無いから、全部鍛えないとならないけどね。僕は一応アイテムボックスから片手剣を取り出すと、剣帯を使って腰にぶら下げた。…重い。
「お前達、訓練に来たのだろう? ちょうど前のグループが終わった所なんだ。剣術のスキルがある奴はついて来い。」
歩いて近づいてきた革鎧を着た大柄な女性が鞘に入ったままの片手剣を肩に乗せながら言った。普通のヒューマンぽいね。顔立ちはロシアっぽい感じの美女だけれど、その迫力はハンパ無い。周りからは、お姉様…とかいう言葉も聞こえて来る。僕は一応生産と魔法に重きを置いてキャラクターを作ったけれど、取り敢えずチュートリアルを受けておいても良いかな、という気持ちでついて行く事にする。視界の隅っこにチュートリアルのクエストダイアログが表示され、自動的に受領のマークが点滅する。
「…、…、六人か、ちょうど良いな。おい、そこのツナギの、お前だ。ちょっと来い。」
「は、はい。」
「よし、まず適当に構えてみろ。」
何故かトップバッターになった僕は取り敢えず、左足を一歩前に出し、腰を下げて左手を前に構えた。剣は振りかぶれる用に注意する。お姉様は僕の構えを手で、さ、さ、と動かして矯正する。
「ま、構えはそんなもんだろ。盾が使えるなら持っても使える構えだ。よし、それじゃああの案山子に向かって剣技を発動してみろ。スキルを持っていれば一番基本の『斬撃』が使えるはずだ。スキル名を意識するんだ。」
「はい。」
僕は踏み込んで剣を振り上げると、スキルを使うイメージをして袈裟懸けに振り下ろした。剣の周りには細やかだけれどもエフェクトが表示されていたけれど、手に感じる感触は殆ど無く、布を裂くかのように案山子を切り裂いた。
切り裂かれた案山子は光の粒になって消えて行ったけれど、次の瞬間には同じ場所にリポップした。勢い余って地面に剣を叩き付けてしまったものの、慌てずに土をささっと払って鞘に収める。お姉様はパチパチと笑顔で拍手をしてくれた。
「お前、中々筋が良いな。DEXが高いのか? 一発目はタイミングが合わなくて失敗する事もそれなりにあるんだがな。」
「生産もするつもりだったので、DEXは高くしてます。」
「そうか、中々良い判断だ。…よし、次ぃ!お前来い!」
そうして六人全員がこなした後、クエストダイアログにステージ更新のマークが踊った。あれ?完了じゃないの? クエストダイアログを確認すると、次の達成目標がお礼に掃除をしよう、になってる。
「よし、お前らちょっとついて来い。教えてやったんだからちょっと労働力を提供して貰うぞ。」
僕達プレイヤーは顔を見合わせた。今までのTAであれば、基本的にクエストをこなせばその内容如何に関わらず、何某かこちらのプラスになる様な物が貰えるのが通常だった。チェーンクエストの様な続き物の中であっちの手伝いをして来いとかこれを手伝ったらこれをやるみたいな物は普通だったけれど、それは基本的にこちらの労働の対価として何かを貰うという形から外れたものではなかったと思う。それが金銭だけじゃ無くて、物だったり、評判だったりはしたけどね。まぁ、ゲームの中で考えるからおかしいと思うんだよね。普通に生活をしていたなら、教えて貰ったり、何かをして貰ったのに更に何か貰うのを当然とかって事にはならないからね。そんな事をプレイヤー達で話をしながらお姉様に着いて行くと、炉であったり、織り機であったりそういった生産設備が並んでいる辺りに連れて行かれた。
「お前とお前、あの辺道具が散らばってるから、壁に提げてある場所に戻しておけ。戻す場所には道具の絵が描いてあるからわかるだろ。それとお前、あそこの道具入れから箒と塵取りを持ってきてそこの通路のゴミを綺麗に掃いておけ。ゴミは道具入れの脇にそれぞれ分類が書いてある箱が置いてあるからそこに入れろ。ちゃんと分別するんだぞ。」
「オイっす!」
「よし、残りの三人は、炉の周りと、あそこの革細工のテーブル周りと木工の机のところの掃き掃除だ。生産職の人の邪魔すんじゃねえぞ。あくまでお前らは奉仕活動なんだからな。」
「了解です!」
サーイエッサーとか言いたくなる様な勢いでみんなはバタバタと走っていく。さっさかと掃除をして木屑を燃えるゴミに突っ込んで、道具入れに箒と塵取りを戻して、とお姉様の所に戻ると、よし、行っていいぞと木で出来た小さなタグを渡されて解放された。クエストダイアログも完了になってる。ふーむ、と思いながら今度は生産のチュートリアルを受ける事にした。
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