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153・フランス五輪 10 決勝戦 vsクロアチア 3 Master and Apprentice

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 ダリオはまったく走らない。
 ゴールへの欲望は消え失せたかのようでもあり、まるで試合そのものを放棄しているかのようだ。
 日本代表は最初から10人で試合をしているかのようでもあり、それに監督も敵に魂を売っているかのようでもある。

 ダリオの一番の理解者は、大吾であるはずだ。
 だからこそ、ここで負けることは許されない。
 負ければ、兄・真吾とツートップを組む相棒を失くしてしまう。

 監督がダリオの一番の理解者であると誤解しているのが厄介でもある。
 彼は、ダリオが大活躍して、その後見人である自分の立場・・・・・が強化されることを狙っている。
 だからこそ、やる気を失っているダリオを交代させることをしないし、それといさかいを起こした元キャプテンをゲームに途中参加させることを許さない。
 監督としてイレブンをまとめる器量が、小さじほどもない。
 まとまるべきチームとしての基軸が、首脳陣からしてブレている。

 それは、代理主将と現エースを兼ね添えているはずの向島大吾。
 彼の単独での地力が求められるということだ。


『仲間を信頼すること』

 岡山で、ペルージャでそう求められてきた。
 今現在、信頼することができる仲間がいないとは言えない。

『妥協』
 
 ダリオが言った、下のレベルに合わせるということ。
 言い方はめちゃくちゃ悪い。

『妥協しては、それなりのものしか手に入らない』

 そういうこともわかっている。

――この試合で、一気に日本のレベルを引き上げる!

 大吾はそう決心した。

 オフ・ザ・ボールのランニング。
 パスを受け取るときの、体の態勢、身構え。
 そこからのボールコントロール。
 ドリブル突破のやり方。
 そのときのボディコントロール。
 そして、ラストパス。

 向島大吾の、そのすべてが世界最高峰。

 鍵井大輔とはまたちがったキャプテンシーの発揮の仕方。
 そういうものを、その背中で見てくれるものがひとりでもいれば、日本はまた強くなる。
 たとえ、この試合に負けようとも……

――負ける?

 何を思っているんだ、俺は!
 大吾は頬を叩いた。

――それは個人では、ルカに負けるということだろう!?



 8番。里中スティーヴンがボールをカットした。
 ASリヴァプールの英雄、スティーヴン・ジェラード。彼はボックス・トゥ・ボックスのセンターハーフであったが、それだけではない。ときにはウイングも、サイドバックでもプレーできたポリバレント性を持っていたし、何よりそのロングパスとミドルシュート。
 そういうものを『和製ジェラード』こと里中スティーヴンも備え持っている。

 その彼が、右足を振り下ろし、大吾へと弾丸のようなパスを送り届ける。

――エクセレント!

 大吾はそう思った。
『日本の~』とか『和製~』という大仰な仇名を付けることにテレビ局が躍起になっていたときがある。
 安直なネーミングで日本国内の選手に目を向けさせ、人気を得ようという、はしたないとも言える愚考であると考えていたときもあった。

 だが、『日本のデサイー』瀬棚勇也。
『日本のデコ・ソウザ』器楽堂ロドリゴ。
『和製ジェラード』里中スティーヴン。
 彼らが次のワールドカップでは、日本のミッドフィールドを支配するであろう。

 それから受けるボールを左サイドで受けるのは『岡山のマルディーニ』坂本健太朗。
 そのアシストを受けるのは『トランジスタ』向島真吾。
 さらに、兄とコンビを組むのが、秦ダリオであれば……
 心が湧き踊って来るではないか!


――ダリオを失ってはならない!

 その想いと共に、大吾は弾丸の如くクロアチア・ディフェンスを突き抜けていく。

 貫き通り抜けていくそれは、ルカの十八番であったかもしれない。

 魂を賭けるほどの力強さを感じさせる突貫は、今までの大吾のレパートリーにはなかったものだ。

 そしてしなやかに、ディフェンダーをいなし、そのペネトレイトは最終地点に到達していく。

 ゴールキーパーが飛び出して来たとき、大吾のギアは急ストップを繰り出した。

 そして、そこから解き放たれるループシュート。

 意志を持ったかの如く、飛び跳ねたボールはクロアチア・ゴールへとその身を委ねていった。

 1-2!

 向島大吾は逆境に強い。
 それを合言葉のように、日本サポーターは思い出している。



 ダリオは迷い始めた。
 決勝の舞台で、向島大吾とルカ・ボバンを天秤にかけようとしている。
 その行為は傍から見て、とても褒められたものではない。

 走らなければ、いけない。
 
 ルカ・ボバンは確かに魅力的だ。

 走らなければ、いけない。

 だが、師匠である向島大吾を裏切ることも忍びない。

 走らなければ、ならない。

 最高の戦いを、目の前で観戦させてもらっている。

 自分は自分のやるべきことを、やらなければならない。


 ダリオの目に光が灯った。
 大吾がボールを持つと、プルアウェイの動きを繰り出して、真ん中でそれを呼び込もうとする。

「それを待っていた!」

 左サイドで大吾と動きがかぶる。それはときとしてしょうがない。
 選手として、好むエリアはそうそう変えられないからだ。
 
 だが、ダリオが中央に鎮座するとき。
 ただ左サイドでボールを受けるだけでなく、コンビネーションを考えて、有機的にその動きを使えるようになったとき。
 キャリアを通じて1アシストしかなかったジダンとアンリの関係性を、ふたりはいとも簡単に越えていくだろう。


 大吾には『ボールの声』が聴こえる。
 それが、ダリオにも伝播する。


(なんだ、この感覚……?)

 彼には初めての感覚だ。
 だから、血が湧き踊り、また動きが鋭敏になる。

 ダリオはオフサイドラインを駆け出していた。
 味方に10人で試合をさせていたかのようにも思える。
 しかし、それはフィリッポ・インザーギのプレースタイルを真似ていたとも言える。
 インザーギはオフサイドライン上で敵センターバックとやり合っていざこざを起こし、パサーとの阿吽の呼吸で、ラインを抜け出すというスタイルだ。
 今までは味方のラストパスが来なかっただけかもしれない。
 
 今日のダリオは左サイドに張っているわけではなかった。
 それは、向島大吾という師匠からの決定的なパスを信じていた、とも言い換えられるのではないだろうか。

 ふたりは同調し、共鳴を始めた。

 日本代表で最高のコンビと言われるようになるかもしれないふたりが、初めてその感覚を共調させたのだ。



 しかしながらシンクロするそれに、強制的に割り込んできたものがいる。

 ルカ・ボバン。
 塊のような闘争本能と、異常な勝利への餓え。

 強制的にふたりの間の、その感覚を遮断させ、『ボールを支配』することを試みる。

 ジャンピング・スライド・パスカット。
 そして綺麗に着地し、彼の恐怖のショウが始まる。

「国を……クロアチアを背負っているんだ、俺は!」

 悪魔のドリブリング。
 止めに入ったものは、その肘で鼻骨を折られたかもしれない。
 肋骨にひびが入ったかもしれない。
 脛が割れたかもしれない。

 審判はファウルを取らない。
 いや、一連のその動作は、どう見ても規則違反ではないように見えたのだ。

 格闘技のようなそのアクションは終わりを迎え、カラッチの元へ絶好のスルーパスが届けられる。

 流し込むだけの、単調なシュート。
 それを、一国を代表するようなストライカーが外すことは、あまりないはずだ。

 はずだ、というような可能性にしか、もう日本は助けられる状況ではなかった。

 案の定、その可能性はなくなり、クロアチアに3点目が計上される。

 1-3。

 日本はとどめを刺されたかのように思える。



 向島大吾は逆境に強い。
 サポーターは再びその言葉を思い出した。

 0-4からでも跳ね返す、その頼りがいと心強さ。
 その少し過大評価されているかもしれない強靭な精神力に、もう日本人は賭けるしかない。

 しかしわざわざフランスにまで来た日本人たち。
 彼らは皆、嘆息し、声を失い、諦めかけようとした。

 だが、
「向島大吾が、何回逆転劇を起こしてきたと思ってるの!? 彼を信じられないなら……サポーターなんか辞めちゃいなさいよ!」

 まだ少女のきざはしに足をかけ始めたばかりの子供とねかなが、そう周囲に言葉を投げかける。


『そうだ、向島大吾は逆転の代名詞だ!』

 フランスまで詰めかけた50代の日本人サポーターは、息を吹き返したかのようにチャントを心の底から振り絞った。
 向島大吾を、日本代表を信じて、わざわざパリのスタジアムにまで駆け付けたのだ。
 1998年のフランスワールドカップ。
 そのときに、ダフ屋から40万円でチケットを買い、そして今、この五輪決勝戦を観戦に来ている。
 1998・フランスは、日本代表は3戦全敗の惨敗に終わった。順位は32チーム中最下位に近かった。
 だけれども、この向島大吾が率いる五輪代表は不惑を越え、還暦を迎えようとする自分に再び夢を見させてくれようとしている。
 日本人で良かったと、思わせてくれる。
 そうだ、彼を信じなければ! 日本代表を信じなければ! 日本サッカー界の30年の歴史を信じなければ!



 後半35分。
 残り10分と、アディショナルタイム。
 だが、には十分な時間のはずだ。
 希望を日本人に届ける。それが大吾の役割だ。
 五輪を連覇して、次のワールドカップではベスト4以上を目指し、バロンドールを授かる。
 
 それが現状、最高の彼のやれることだ。

 味方は尽く大吾にボールを廻す。
 大吾もボールロストを何回も繰り返しながらも、クロアチア・ゴールに迫っていく。

 大吾と中央に構えるダリオとの一度は繋がったホットライン。
 そのパスコースは完全に塞がれている。
 ダリオはまた動こうとしない。

――考えろ、考えろ。考えろ……

 大吾の脳内は思考を巡らせている。
 今の彼には、『ボールの声』は聴こえない。

――考えるんだッ、大吾!


 不意に秦ダリオは視線を大吾に寄こした。
 
 軽く、『弟子にしてくれ』と彼に頼んだ。
 いや、そのときは軽かったのかもしれない。
 99%断られるだろうとも思っていた。
 その絆は未だ弱かった。
 脆弱なそれは、少しずつ、少しずつ。
 内気な少年と本だけが友達の少女が、その心を互いに開いて行くかのように、強くなっていく。
 
 そして彼は、ボールを呼び込みながら、決心と共にクロアチアのボランチの背後から、センターバックとサイドバックの間へと左サイドを駆け抜けて行った。


 ダリオがオフ・ザ・ボールの動きでマークを引き連れ、一瞬、その道筋が開いた。
 大吾、ボール、ゴール。
 その3つを直線で結んだ一筋の光が輝き始める。

「俺も……日本を代表しているッ!」

 大吾のギアが、最高潮に回転する。

 エンジンが焼き切れそうなほどその出力をあげる。

 車軸が廻っているかのように、その足はピッチ走法からストライド走法へと変わっていく。

 大吾は、その愛車のラ・フェラーリの如く、唸り声をあげてMAXスピードに到達しようとしている。

 クロアチア・ディフェンス陣はその暴れ馬を誰も止めることができない。

 否、彼と同類のものが、クロアチアにはひとりだけいるではないか。


 悪魔ディアボロ ルカ・ボバン

 ルカが、躰を当てて、大吾の加速を減速させようと試みる。

 意志を持ったそれは、意志がないと止めることはできない。

 それは拮抗していた。

 なぜだか、緑のフィールドに赤いものが飛び散った。

 ふたりの内、どちらかが失血したのだろう。

 それでも、どちらもその走りを止めようとしない。

 大吾が反転する。

 そして、クライフターンを繰り出そうとした。

 しかし、ただのクライフターンではない。

 右足で左足の後ろを通し、ルカの左側をボールを通す。
 
 そしてみずからはその逆を。

 クライフターン・メイア・ルア裏街道

「これがっ! ムコウジマ・ターンか!?」

 ルカはこの日に備えて向島大吾のすべてを研究してきたつもりだった。

 だが、一見ではこの技を完封できそうにない。

 その腕で、躰で大吾を物理的に封じようとするが、彼の一撃必殺のフリーキックを思い出す。

 一瞬躊躇した間に、大吾はギアを上げる。

 ドリブルキングが唸りをあげる。

 そしてそのまま突撃していった蒼の14番兼代理主将は、クロアチアゴールを陥れた。



 向島大吾は逆境に強い。
 日本国民は全員、ひとり残らず再びその言葉を思い出した。

 クロアチアのキックオフを日本代表ディフェンダーがカットした。

 そしてまた頼れるキャプテンにボールを渡す。

 ダリオはそれを黙って見ていた。

 観察していると言っても良い。

 向島大吾と、ルカ・ボバン。真に自分が憧れるのはどちらなのか。

(これで、大吾さんが、日本が勝ったら……!)

 それをこの決勝戦で見定めようとしている。



 また大吾がルカと対峙しようとしていた。

 左サイドバックの坂本とボランチのスティーヴンがアイコンタクトをし、互いに頷いた。

 ルカと正対した大吾。

 彼のファーストタッチは完璧で、次の動作に移るとき、周りのものはそのスムースさに奇妙な滑らかさを覚える。

 それは、技術では大吾と同等であるはずのルカですら、畏怖するものであった。
 
 その二人に対して坂本がアウトサイドを走り上がり、スティーヴンがインナーラップを仕掛けて注意を引き付ける。

 クロアチアの右サイドバックと、右センターバックはその対応に追われ、ルカを援護するものはいない。

 やや・・、大吾はフリーとなった。

 完全な大吾vsルカの1on1。

 リズムを刻むような蒼の14番のドリブリング。

 そしてフェイントと6速のギアによって、その拍子に不協和音をもたらし始める。

 それでも、ルカはただでは行かせない。

 全身で包み込むかのようなディフェンスは、大吾の行方を完璧に封じ込める。

 ここでまた大吾は、反転しようとする。

「ムコウジマ・ターンかッ! 一度見た技は通じないぞ!」

 大吾とボールは同調を始めた。

 それは相乗シナジー効果であるかもしれない。

 互いに互いを高め合うミックスアップを、大吾はその両足の下に置いたボールと連携して行っているのだ。

 大吾は右足でボールを蹴るふりをし、それを引いて、左足の後ろを通そうとする。

 だが、ルカは右足を差し伸ばし、完璧にコースを塞いだ。

 大吾の両脚は軽やかなステップを刻む。

 一瞬で脚を組み替え、今度は左足で右足の後ろを通す。

 そしてそのボールは、開いたルカの股の間を抜いた。

 逆クライフターン・ナツメグ股抜き

「なんだ、この技はっ!?」

 なんというテクニック、なんというボディバランス、なんというボディコントロール!

 やってみろと言われても、その類稀たぐいまれなコーディネーション能力が無ければ、この日本人以外にはできないであろう。

 向島大吾は逆境に強い。
 世界中の人々も再びその言葉を思い出した。

 これで日本が1点返せば、試合は振り出しに戻る。

 勢いに乗った日本が、五輪連覇を果たすだろう。


※※※※※


『ありゃ、アレだな。バロンドール7~8番手なんて言って、すまなかったな』

 アルバセテのバル酒場で、とある人物が呟いた。

『ウチに欲しいよ、あの選手! ブランコを一度纏った選手でも構わない!』

 バルセロナで、あるサポーターがはしゃいでいる。

『7000万ユーロは安かったか……』

 グラン・トリノのオーナー室で、悲嘆に暮れている人物がいる。


『ラファエウ……まるで往年の名選手、ラファエウ・サリーナスの全盛期だよ、あの突破は!』

 それを見ていたものは全員そう思い、感じ取る。
 
 ブラジルからスペインへと帰化し、10番を背負って、ワールドカップ優勝へと導いたその偉大なる聖遺物イコン。 

――そうだ。自分も『ラファエウの再来』と呼ばれているんだ!

 その世界最高の10番が、蒼の14番となって蘇ったのだ!


※※※※※


 ここで日本が1点を返し、そして逆転する。

 日本が、向島大吾が再びオリンピックで戴冠し、トロフィーを掲げる。今度は主将として!

 誰もがそう思った。

 だが、ルカ・ボバンは諦めていない。

 ルカの最後のレイト・タックルが大吾を襲う。

 それをジャンプ一番、168cmの日本人はひらりとボールと共に躱した。


(あのときと同じだ!)

 瀬棚勇也は思った。

(俺が初めてプロで大吾と対戦したときと一緒だ。大吾とルカとでは、そのが残酷過ぎるほどにズレている!)

 大吾はどこまでも敵を排除して行く。それはクロアチアの悪魔ディアボロ、ルカ・ボバンでも例外ではないのだろう。


(俺がいなくとも……大吾。おまえは日本を世界一に……)

 この両脚が着地すれば、大吾はギアを上げ、またクロアチア・ゴールへと突貫を再開するはずだ。


「!」

 不意に、空振りしたはずのルカのレイト・タックルの空圧が、大吾の右足を攫う。

 緑茶色をした芝埃が舞い上がった。

 それは、大吾の蒼い魂を完全に塗り替えようとしている。

 跳び上がった空中でバランスを崩し、着地した大吾の左脚が、地面に100%接地しない。

 それどころか、アスリートとしては軽いはずの体重すら支えきれない。

 彼が気付いたときには、母の名前を。

 まるで路傍に捨て去られた仔猫が、それでも母が迎えに来てくれると信じているかのように叫んでいた。


「母さん! 母さん!!!」

 色彩を帯びた世界が消えていく。

 すべては真っ白く。真っ暗闇へと。



 ネットテレビで中継を見ていた凛の吐く息が荒くなった。

 それは、大吾の怪我を見たからだけではない。

 無論それもあるが、今まで経験したことのない、ただ事ではないことが自分の身に降りかかっているのがわかる。


 利根佳奈はなぜだが、涙がその両頬を伝っていくのを感じた。

 向島大吾の言葉を借りれば、『ボールの声』が聴こえたのだ。

 しかし、初めて聴いたが、それは幾分か奇妙に悲鳴のようにも思える。

 それが『ボールの今際いまわきわ』だと気付くのには、かなりの時間がかかってしまった。



 涙を流しながら、ストレッチャーに載せられて運ばれていく大吾。

 ボールの声がかすれていく

 ボールの息吹が息切れしていく

 ボールの心音が途切れていく

 ボールの鼓動が消えていく

『ボールの断末魔』がはっきりと聴こえる

 別れの挨拶。23年もの交際期間の最期に『サヨウナラ』と告げているかのようだ。




 彼の一番弟子であるはずの秦ダリオは、師匠に『元』の肩書を付けた。
 ていに言えば見限ったのだ。

 ルカ・ボバン自身は、こういう不本意な勝ちを願っていたわけではない。
 大吾を屈服させた上で相手の心を折り曲げる、100%の完全勝利が彼の心底望んでいたものであった。
 だが、彼が渇望した、
『反逆者に加担する、悪魔』
『神に反旗を翻した、3分の1の天使』
『もうひとりのワールドクラス』

 それは極東日本から輸入されたのものだった。
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