モブがモブであるために

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(最終話)エピローグ〜それから〜

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「おらー席つけー」

 俺は朝からすっかり疲れきって机に突っ伏していた体を無理矢理引き起こした。教室に入ってきた担任の柿崎先生が、まだ騒がしくしている生徒を注意している隙にこっそりと伸びをする。
 今朝もショートホームルームまでに一日分の精神力のほとんどを使い切った気分である。寮ではあれこれと世話を焼いてくれる颯真の小言に一応殊勝な態度を示し、寮を出てから学校に着くまで生徒会メンバーと遭遇しないよう細心の注意を払い、学校に着いてからは篁先輩による護衛という名の精神攻撃に耐え、教室に着いたら最近少し様子のおかしい草太のやや過剰なスキンシップに羞恥心を煽られる。こんな毎日が週に五回も繰り返されるのだ。体を起こすのもやっとなほどに疲れてしまうのも仕方ないだろう。
 俺大丈夫かな、卒業写真で俺だけおじさんになってたりしない……? 心配になるほど毎日の過労がひどい。

「今日は転校生を紹介すっから」

 そんな疲れた体ですら思わず跳ねてしまいそうな、驚きの言葉を先生が放った。一気に教室内がざわめき立つ。
 この色んな意味で特殊な私立男子校への転校生など聞いたこともない。新学期でもない中途半端な時期だし、一体どんな生徒なのかと、先生が手招きする廊下の方をみんながじっと見つめる。
 ガラリ、と勢いよく教室の扉が開き、クラス中の注目を物ともせず、その人物は入ってきた。

「今日からお世話になります。よろしくお願いします」

 ペコリと静かに礼をした頭は、もじゃもじゃの毛玉のような髪。姿勢良く頭を起こせば、顔の面積の半分を覆う大きな分厚い瓶底メガネ。昭和の漫画から飛び出してきたのかな? と疑いたくなる風貌だった。先ほどまで浮かれていた教室内も一気にしん、と静まり返る。おそらくみんな反応に困っているのだろう。無理もない。
 そんな時が止まった空間の中で、俺一人だけが驚きのあまり椅子からずり落ちた。俺の挙動にびっくりしたらしい隣の席の橋本が小声で心配してくれたが、なんでもないとしか答えられない。いや、だって、これはもうちょっと理解の範疇越えすぎていて俺もなにがなにやらわからない。だって、その人物は風貌こそ変わっているもののどう見ても――。

「っつーわけで、寄鳥雪くんだ。みんな仲良くしろよー」

 先生がそう言って、転校生は空いている一番後ろの席へ向かって歩き出す。そして俺の横を通り過ぎる時に、ちらりとこちらに視線をよこし、俺と目が合った。
 おま、おまえ……! お前なにやってんの!? まじなにやってんの!? は!?!?!?
 俺の声にならない絶叫をまるでしっかり聞き取ったかのように、雪は口の端を吊り上げていつものように笑ったのだった。


「……最近忙しいってなかなか連絡取れなかったのはこういうことか……。俺はてっきり術後の経過が悪いのかと心配してたのに……」

 俺は頭を抱えてテーブルに肘をついた。
 衝撃の朝から午前の授業を放心状態で過ごし、いつの間にか昼休みになっていた。学校案内を強要してくる謙虚さ皆無の転校生に、俺は学食へと連れて来られていた。
 同じテーブルには俺を心配した草太も着いている。雪と草太はにこやかに初対面の挨拶を交わしていたが、たまに妙に張り詰めた空気感になるのはなぜだろうか。

「驚く蛍の間抜け面が見たかったんだよ。計画通りのそれは見事な間抜け面だった」
「……ご満足いただけたようでなによりです……。いやだって転校生にも驚いたけど、なんなんだよそのおかしな見た目は」
「やっぱり様式美は大切にしたいから」

 またなにか訳のわからないことを言っている。これは表情から察するに深追いすると後悔する例のアレだ。雪の悪癖のBがLのアレ関係だ。そっとしておこう。

「結局、二人は従兄弟ってことなの?」

 すっかり置いてけぼりになっていた草太が、戸惑いがちに聞いてくる。

「そうだよ。なによりも近い存在であり且つ血の繋がりが交際になんの障害ともならない従兄弟だ」

 ノンブレスでよくわからない肯定の仕方をする雪に、やっぱり場の空気感がおかしいなと俺は首を傾げる。草太は「そっか」とだけ呟いて微笑んだが、その笑顔がどこかぎこちなく、雪のこの傲岸不遜な態度のせいだろうなと大変申し訳なく思った。
 不自然に静かになった空間を打破すべく、俺はわざとらしいほど明るい声を出した。

「ほら、冷めちゃうし食べよう! いただきます!」

 俺のハンバーグ定食から立ち昇る湯気がか細くなってしまっている。雪のパスタも、草太のカツ丼も、美味しい内に食べてあげなければ食材がかわいそうだ。それにこのバカ高い値段設定のせいで普段寄り付きもしない学食にせっかく来たのだから、少しでも味を堪能して元を取りたいと俺の庶民魂が叫んでいる。
 早速ナイフとフォークでハンバーグを切り分けて、溢れ出る肉汁に喉を鳴らし一口目を口に運ぼうとしたその時だ。学食内に悲鳴のような歓声が響いた。

「生徒会の皆さんだ!」
「えっ、珍しい! めったに学食には来ないのに」
「勢揃いされてるじゃないか! あぁこの日ここいた自分を褒め称えたい!」

 野太い歓声がそこかしこから上がる。みんなの注目の先は、入り口から入ってきた遠目からでもキラキラした集団だ。俺はすぐに背を向けて縮こまった。
 なぜだ、いつも教室やら中庭やらで捕まるから学食はセーフだと思ったのに!
 どうか見つかりませんようにと俯いて冷や汗を流していたが、明らかにざわめきの渦の中心がこちらに近づいて来ている。フォークとナイフを握りしめたままひたすら祈る俺の耳に、隣の雪の呟きが届いた。

「来やがったな。お約束のBL展開がこんなに胸糞に感じる日が来るとはな……クソ」

 不穏。意味はよくわからないが不穏な気がする。もう雪がキレてる時点できっとよくないことなんだろうとわかる。一体これからなにが起こるというのか。

「今日来た転校生って、お前?」

 てっきり俺が絡まれると思っていたら、意外にもノレンの開口一番の台詞は雪に対してのものだった。そこでやっと俺は恐る恐る顔を上げた。生徒会メンバー勢揃いのキラキラ発光具合に、一瞬目が潰れかけた。一体何ルーメンあるんだ。

「そうだけど?」

 雪は座ったまま見返して言った。相変わらず不遜な態度にブレのない雪である。不機嫌を隠そうともしないノレンを前にしてのその強メンタル、少し分けてほしい。

「うちの副会長が世話になってるみたいだな?」

 そう言って、ノレンが俺を見た。
 俺は少しぼんやりとノレンを見上げていたが、ノレンの言う”副会長”が俺を指しているのだと気づいて慌てて手を振った。

「いやいやいや、色々誤解があるようで……! こいつは――」

 俺が説明をするより先に、皐希先輩が

「蛍くんの従兄弟でしょ」

 と言い、その言葉を受けて

「この前電話してた奴もこいつだな」

 と光希先輩が補足する。なんでそこまでわかるんですか……? 純粋に怖い。

「今はそんなだけどなかなかのイケメンなんだよね」
「……なに、企んでいる……」

 貼り付けたような笑顔の城之内先輩と、眉間に皺を刻んだ悠悟さんが続ける。
 え、なに、怖い怖い怖い。個人情報大漏洩で生徒会全員が雪を把握している上に、尋問のようなこの雰囲気。なんなの、雪は指名手配犯かなにかなの? 敵国から送り込まれたスパイなの?

「別になにも。敢えて言うなら、俺の従兄弟が執着強めの当て馬攻めにしつこく言い寄られて困っているのを助けに来た感じですかね」

 また雪の専門用語のせいであまり意味がわからなかったが、相手に対して失礼な言葉だと言うことだけははっきりわかる。雪、お前ってやつは本当に……よく今まで無事に生きて来られたな? 一気に緊迫した場に、俺の胃がキリキリと痛む。もうやだ、これからの雪との高校生活不安しかない。

「フーン……おもしれぇ奴」

 片頬を上げてノレンはそう言うと、おもむろに手を伸ばし顎を捕らえた。俺の顎を。
 いや、おかしくない? この流れでなんで俺? そこは雪の顎に行くべきなんじゃないですか、この手はさ!?
 引き攣った笑みを返しつつノレンの挙動を見守っていると、その整った顔が近づいてくる。
 嘘だろ……。もう何度目かわからない俺の唇の貞操の危機だが(そして紙一重でかわしてきたが)、さすがにこんな衆人環視の場所では初めてだ。貞操云々の前に、周囲からの殺意のこもった視線が突き刺さっている。俺の今後の高校生活の人権が今まさに失われようとしている……! 待って、もう本当勘弁してくれ!
 渾身の力で身をよじろうとするも叶わず、できたのは神に祈ることだけだった。信仰心なんてないのに十字を切ろうとした時、急に体が傾いた。隣にいた雪が勢いよく俺の肩を引き寄せたのだ。そしてその勢いのまま俺の片頬に唇をつけた。
 周囲の怨嗟の声が、戸惑いのどよめきに変わる。
 俺は状況が理解でず、ただぱちぱちと何度か瞬きをするだけだった。

「……てめぇ、上等だ」

 低い声で絞り出すように言ったノレンの後ろからは、他の役員たちの鋭い視線がこちらを向いている。明らかに、怒ってらっしゃる。震え上がる俺とは対照的に、やっと唇を離した雪は肩を組んできて俺にべったりとくっついて得意気に笑っていた。ほんと、お前のメンタルどうなってんの……?
 そうこうしている内に、入り口の方からは「なにをしている!」と叫ぶ篁先輩と颯真はじめ風紀委員が雪崩れ込んでくるし、同席していた草太は椅子を倒す勢いで立ち上がってなにか言い出すしで、もうめちゃくちゃだ。

 一体どうしてこうなった。俺はただモブとして可もなく不可もなく、平凡な高校生活を送りたいだけなのに。状況は一向に悪くなるばかりだ。頭痛を感じて頭を抱える。
 しかしどんなに嘆いてみても結局抗う術など持たないモブの俺は、お祭り騒ぎの学食の中で、まだ温かなハンバーグを口に含むことしかできないのだった。

 なお、ハンバーグはくっそうまかった。
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