ハ―シャッド・デザイア

遭綺

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解心(かいしん)

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巧翔は真輝に優しく抱っこされながら、彼の寝室へ招かれた。
もう二人を縛るものはない。
止まる事も出来ない。
ベッドの上で貪るように二人は唇を重ねる。
気持ち良さとお酒の力が混ざり合い、頭の中がぼんやりする。
「巧翔、くん」
「真輝、さん」
何度も互いの名前を呼び合いながら、耳や首筋などに舌を這わせ合う。
どんどん心が満たされていく感覚になる。
服を剥ぎ取り合うと、互いの上半身が露わになった。
初めて見るそれぞれの裸体に思わず息を呑む。
「本当に巧翔くんの身体は綺麗だね」
巧翔は昔から太れない体質の為、無駄のない身体をしていた。
SNSで何度か彼の裸を目にしたが、こうして実物を見るとまるで絵画を見るような感覚になった。
「真輝さんも、鍛えているんですね」
そんな真輝はと言うと、程よく筋肉が付いた大人の色気ある身体をしており、巧翔は眩暈がした。
「少しだけだよ…。歳に抗いたいだけ」
互いの身体の総評(?)をし合うと、急に可笑しくなったのか、笑ってしまった二人。
真輝は両手を伸ばし、巧翔を抱き寄せる。
「凄い今、この時間が愛おしいって思ってます」
「俺もだよ」
肌が触れるのがこんなにも心地よいなんて、と初めて巧翔は感じた。
そのまま巧翔を優しく横にすると、彼の胸に顔を埋める。
突起部分に舌を這わせると、巧翔は声を発した。
それは演技ではなく、本能のままの反応だった。
何度もそこを攻める度に、彼の身体が跳ねる。
余りにも厭らしい光景に真輝の気持ちも昂る。
そのまま真輝は巧翔から服を全て剥ぎ取り、彼の陰部へと顔を近づける。
「今まで、男性との経験がないから上手くないかも知れないけれど、巧翔くんなら、俺…」
「真輝さん、無理しな、くても…。あっ…」
巧翔の心配を他所に、真輝は彼の起立した陰部を口に含んでしまった。
強い刺激が全身を駆け抜ける。
あの整った顔の真輝が、今、一心不乱に自分のモノを咥えている様は夢見心地と共に背徳感があった。
「気持ちいい? 痛くない?」
真輝がそう尋ねて来る。
本当に自分の事を第一に考えてくれている。
こんなにも優しい逢瀬は今まであっただろうか。
「はい。凄く、気持ち良すぎて、可笑しくなりそうです」
「良かった。もっと気持ち良くなって」
だんだんと真輝の表情も変わって来る。
目がトロンとして、巧翔を攻め立てる。
「真輝さんも、一緒に気持ち良く、なりましょう」
巧翔はすぐさま体制を変え、真輝の残された服に手を掛ける。
「巧翔くん…」
「真輝さんの全てがみたい。僕に見せて」
巧翔の言葉に真輝は観念したようで、下着を剥ぎ取る。
初めて目にする真輝のモノに巧翔は呼吸を忘れてしまった。
そのまま巧翔は真輝を攻める。
形成逆転となる構図だ。
「あっ…。ちょ、巧翔、くん…」
同性からの的確な攻めに、真輝の身体は震える。
SNSで美しいと思っていた青年が目の前で、厭らしい行為に耽っている。
余りにも卑猥な光景に真輝は意識を飛ばしそうになった。

身体を捩りながら、彼らは互いの陰部を加え、攻め合う。

何度も達しそうになるのを堪えながら、まるで自分の気持ちを吐露するように激しく刺激する。
すると、
「真輝さん、あの、お願いがあります」
突然巧翔は声を上げる。
呼吸を整えながら、真輝は静かに頷く。


「僕に、その、挿れて欲しいんです」


「えっ?」
あまりの事に、真輝は動きを止める。
確かにそういう事をするのは知っていたが、いざとなると、目の前の巧翔を傷つけてしまう気がして躊躇してしまう。
「巧翔くん…」
「もっと、真輝さんを感じたいんです。もっと、真輝さんで僕をいっぱいにして欲しいんです」
後退りする真輝に巧翔は詰め寄る。
「真輝さんが、欲しいんです。ダメ、です、か?」
巧翔の蕩ける目が真輝を逃がさない。
心の奥底が鷲掴みされる気持ちに真輝は襲われ、一度目を閉じた。
「じゃあ、俺からも一つお願いがあるんだけど」
真輝は鋭い目つきで巧翔を見つめる。
「もう、他の誰かにキミの身体を委ねる事をしないで欲しい。それだけ約束してくれないか」
「真輝、さん?」
「巧翔くんは変われるよ。多分、もう気付いているはずだ」
彼の言葉の一つ一つを噛み締めながら、巧翔は小さく頷いた。
「はい。本当に僕は、真輝さんと出逢えて良かった」
目に涙を浮かべながらそう言った巧翔を真輝は今まで以上に力強く抱き締めた。
「大切にするよ、キミとの時間」
「僕も。真輝さん…好きです…」
二人は口づけを交わしながら、更なる高みへと向かう。

彼の孔は真輝の指を簡単に受け入れた。
巧翔の張り詰める陰部の先端から漏れ出る愛液を使い、彼の中を溶かして行く。
悶える巧翔の姿に真輝も理性をだんだん保てなくなって来る。
「真輝さん、もう…。早く、挿れて…欲しい」
泣きそうな顔で懇願する巧翔を見て、真輝は静かに頷く。
真輝の起立したモノが、巧翔の中へと入って行く。
彼の熱い体温が直接伝わって来るかのような感覚と、強すぎる刺激に真輝は顔をしかめる。
「巧翔くんの中、ヤバ、い…」
「真輝さんが僕の中に入って…あっ…」
二人は最早、獣のように互いの身体を求め合っていた。
愛のある行為に、巧翔は初めて心の底から気持ち良いと感じ、また、真輝と言う存在を大切にしたいと想った。


部屋中に響き渡る二人の嬌声。


「俺、そろそろ逝きそう…」
「真輝さん、僕の中で逝って…」
「巧翔くんも、一緒に」
「うん」
体勢を変え、真輝は絶頂へ向けて腰を激しく打ち付けながら、巧翔の陰部を扱く。
今まで感じた事のない強烈な刺激に巧翔は仰け反る。

そして彼らはほぼ同時に達した。
時間が止まったかのような感覚に二人は包まれた。

ベッドに身体を預けたまま、無意識のうちに二人の手は強く握り締め合っていた。



巧翔が目を覚ますと、隣には真輝が居た。
彼の整った寝顔に胸が鳴る。
記憶が定かではないが、あのまま眠ってしまったらしい。
二人とも白く汚れた裸のままだった。
すると、真輝が目を開けると、そのまま彼を無言のまま抱き寄せた。
「おはよう、巧翔くん」
「おはようございます、真輝さん」
なんて充実した時間なのだろうか。
(僕は本当に幸せ者だな)
巧翔はそんな事を想いながらも、一点、どうしても決着を付けなければならない事に気付く。
真輝に見せない所で、彼の意思は確固たるものへと変わっていた。

だが、今はこの穏やかな時間を噛み締めたい。
巧翔はそう思いながら、真輝に身体を預けるのだった。
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