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悪意
悪意
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「結姉さんと同じで彼女もマタニティブルーで情緒不安定だったみたいだ。そんなときに夫がひた隠しにしてきた過去を知り愕然となった。信じていた夫に裏切られたんだ。ショックで立ち直れなかったはずだ。夕貴さんは自分の存在自体を消そうとしていたのかも知れない」
「何で?それじゃあ、こはるちゃんがひとりぼっちになっちゃうよ」
「自殺を考えるくらい精神的に追い詰められていたんだよ。きっと。駆け落ち同然で一緒になっても、親からは結婚を認められず、挙げ句に勘当され、頼みの綱の夫も逮捕されてしまった。身重の体でなにもかも全部抱え込んでしまい、心が悲鳴をあげてしまったんだと思う。こはるちゃん、お風呂からあがったみたいだ。機嫌がいいうちに歯みがきしてくるよ」
「お願いします」
こはるちゃんが野菜の次に苦手なのは歯みがきだ。とにかくじっとしていられないのだ。仕上げ磨きするだけなのに、かなりの体力を消耗するって彼が話していた。子育ては体力勝負だ。それが毎日ともなると……。
世の中のお母さんたちは偉い。称賛していた。僕もそう思う。
「何で?それじゃあ、こはるちゃんがひとりぼっちになっちゃうよ」
「自殺を考えるくらい精神的に追い詰められていたんだよ。きっと。駆け落ち同然で一緒になっても、親からは結婚を認められず、挙げ句に勘当され、頼みの綱の夫も逮捕されてしまった。身重の体でなにもかも全部抱え込んでしまい、心が悲鳴をあげてしまったんだと思う。こはるちゃん、お風呂からあがったみたいだ。機嫌がいいうちに歯みがきしてくるよ」
「お願いします」
こはるちゃんが野菜の次に苦手なのは歯みがきだ。とにかくじっとしていられないのだ。仕上げ磨きするだけなのに、かなりの体力を消耗するって彼が話していた。子育ては体力勝負だ。それが毎日ともなると……。
世の中のお母さんたちは偉い。称賛していた。僕もそう思う。
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